「就活の勝者ほど5月病にかかりやすい理由」を専門家が解説

5月12日(日)16時0分 NEWSポストセブン

 働く気が無くなり会社を辞めたい衝動に駆られる5月病。主に新社会人がかかるケースが多いが、「就活が上手くいった人ほど、そのワナにはまる」という。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が語る。


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 5月です。5月病の季節ですね。今日は就活と5月病の関係について考えてみましょう。ずばり、就活が上手くいった人ほど5月病に注意すべし、という話です。


 あらためて「5月病」という言葉について調べてみました。辞書の上での意味は次のようになっています


 新年度の4月に入学・入社した新人に、5月ごろになると現れる精神の不安定状態をいう語(出典:大辞泉)。


 そう、元々の定義では「新人」を対象としたものなのですよね。ただ、現在では年齢、年次を問わずに使われています。また、元々は「精神の不安定状態」をさしますが、最近では「ちょっとブルー」くらいの状態も含めて「5月病」と呼んでいます。なお、正式な病名ではないです。


 会社員の新人の5月病に関して言うと、特に個々数年は、実は就活が大きく影響を与えていることが考えられます。就活が上手くいかずに不本意入社した人はもちろんですが、実は就活が上手くいった(と思っている)第一志望の企業に入社した学生の方も危険なのですよね。さらには、ここにも「意識の高い学生(笑)」問題が絡んできます。どういうことでしょうか?説明しましょう。


 現在の就活は、クソゲー、無理ゲーと呼ばれるほどに大変になっています。早期化、長期化が問題となっているうえに、就職ナビの弊害で有名企業には何万人も応募が集まる中、その中から選ばれなければなりません。何度も「お祈りメール」と呼ばれる不合格メールを受け取ります。人格否定されたかのように思う瞬間も多いです。就活によるうつや自殺も問題となっています。


 その就活を上手く乗り切り、第一志望の企業に入った学生の中には、内定後、天狗になっていく人たちがいるのですね。みんなが苦労した中、頑張って志望企業に入社したわけですから。内定が出た後は、家族や友人、後輩からほめられたり、羨ましがられる上、キャリアセンターが主催する就活イベントで先輩の体験談を語ったり、内定先の企業が主催する企業説明会に内定者として登場するなど、ちやほやされるわけです。そりゃ、謙虚な人でも天狗になってしまいますよ。


 就活が楽しくて仕方ないという人もいます。早期から就活に取り組み、学生団体などを運営し、インターンシップにも積極的に参加、ベンチャー企業の社長などに会いまくる、セミナーでも必ず長い質問などをする、グループディスカッションでも司会をやりたがる、ソーシャルメディアでもプロフィールは盛りまくりなうえ、「世界に負けちゃだめだ」「ジョブズをこえる」などやたらと前のめりなのだけど、逆にそれが痛々しい意識の高い学生(笑)です。彼らは就活が大好きなわけです。


 このように、就活が上手くいった(と思っている)学生、意識の高い学生(笑)にとっては就活こそが学生時代の成功体験であり、よい思い出なのですね。


 でも、会社員になるということは、組織の一員となるということです。学生のようにお客様の存在ではなく、お客様に価値を提供する側にまわるということです。「凄い大人たちにチヤホヤされていた俺」「学生団体を立ち上げた俺」「みんなの前でかっこよくプレゼンしている俺」から、一人の平社員になるということです。


 そして、企業の社長や、採用担当者は入社すると豹変するのですよね。今までのチヤホヤモードから変わりますから。私も、入社してから人事部の採用担当者たちとメールのやり取りをした際に「骨は拾うから、頑張れ」というメールがきて、「そうか、死ぬほど頑張らないといけないのか」とブルーになった次第です。


 ブラック企業などの特徴でもありますが、入社式でいきなり「君たちはカスだ!」「君たちは1年も利益に貢献していない!」などと説教するのですね。過酷な競争をさせ、こき使い、若者を食いつぶすわけです。入社式でこんな過激なことを言われたら、そりゃあブルーにもなりますね。


 そういえば、先日、「もし、秋入学が変わって卒業、入社の時期が変わったら、5月病はなくなるのでは?」というツッコミを頂きました。私、その時は「それは、問題の先送りにすぎないでしょ(笑)」と返しましたが、あとでちょっとだけ反省しました。そう、入社してすぐにゴールデンウィークが始まるというカレンダーがよくないですね。そんな時に、大学時代の友人などと会うと、昔が懐かしくなってブルーになるわけです。「学生時代の時の俺は、輝いていたのにな」というわけです。


 研修が退屈だったり、任される仕事というか、作業のようなものを楽しめないこと、配属が希望どおりにならなかったことなども、さらに5月病を加速させるわけです。「これは僕のやりたいことじゃない!」なんて思うことも。


 この5月病ですが、深刻なパターンでは本当に心身の不調が加速します。突然、5月に入ってから会社にやってこなくなった、音信不通になるなんていうことも。


 実はこれ、上司や先輩も心配しています。せっかく採用したのに、育てようと思ったのに、すぐにやめたら困りますから。もちろん、若者を食いつぶすブラック企業もありますが・・・。


 心身の調子が悪いと思ったら、早めに上司や先輩、人事、あるいは産業医に相談することをおすすめします。もちろん、相談すると自分の評価が下がるのではないかと思う人もいるでしょう。でも、調子が悪いのはバレていますよ。自分で抱え込まずに、誰かに相談しましょう。会社の関係者に話すのが辛いなら、まず家族や友人に愚痴るのも大事です。


 一方、大学と企業はルールが違います。研修が面白くない、配属が希望どおりじゃなかった、仕事が面白くないなど色々文句を言いたくなることもありますが、まあ、最初はそんなもんです。会社や仕事はいきなり劇的に楽しいものでもありません。いちど大学時代の思い出話は禁止にして、まずは研修、仕事に没頭してみましょうよ。

NEWSポストセブン

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