流通大手イオンでカード誤請求の重大不祥事発覚も、マスコミはセブンイレブンと同じく広告タブーに屈し報道せず

5月13日(金)20時0分 LITERA

イオン株式会社HPより

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 "コンビニの天皇"と呼ばれたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が4月に辞任を表明してから1カ月、いまだその激震は流通業界だけでなく経済界全体に大きな余波を与えている。だが、これを報じた大手マスコミは鈴木氏の独裁専横や評判の悪い次男についても、"鈴木後の新体制"のブラック経営への責任についてもまともな批判はほとんどせず、通り一遍の企業人事ニュースを流しただけだった。


 これはセブンイ−レブンが新聞や雑誌にとって最大の販売ツールであり、また巨額の宣伝費を出稿してくれる大スポンサーだからだ。そのためセブン−イレブンに関する批判はマスコミタブーとなっている。


 そんな中、セブンイ−レブンと双璧をなすマスコミタブー・流通大手のイオングループにその根底を揺るがしかねない不祥事が浮上した。それが自社クレジットカード(イオンカード)の大量「過剰請求」「誤請求」問題だ。その数は2400件にものぼるといわれるが、それをイオンは長年ひた隠しにしていただけでなく、発覚後も、返還に関してあまりに消費者に対し不誠実な態度を取り続けているというのだ。一体どういうことか。


 この問題を報じた月刊誌「選択」(選択出版)2016年4月号によれば、問題が発覚したのは昨年4月のこと。グループ傘下のイオンクレジットカードサービス(CS)社の東北、北海道を管轄区域とする管理センターが、消費者に対してカード利用に伴う利息を過剰に請求していたことが顧客からの指摘で発覚。そこで金融庁が他にも同様の事案がないか、過去10年に遡って調査するようイオン側に指示を出したところ、実に約2400件もの「デタラメな利息請求」が見つかったというのだ。


 ところが、イオン側はこれを一切公にすることはなく、「利息再調査にともなう返金対応マニュアル」なる社外秘の"隠蔽マニュアル"まで作成。この社内マニュアルでは不祥事が公にならないよう、被害にあった顧客との当事者間で処理せよと指示されていた。社会的説明を一切拒否して不祥事を内々に葬ろうと画策するだけでも驚愕だが、しかも、その背景には10年間に渡っての経営責任を問われかねない事実も存在したという。


 それが管理コンピュータシステムの障害とその放置だ。発端は今から10年以上前の05年3月だった。この月、イオンCSはシステムの更新を行ったのだが、その直後からトラブルが頻発。同記事によれば、イオンカードによるリボ払いやキャッシング返済の計算が正確に行えなくなり、過大な利息や、利用額以上の金額の引き落し、果ては1円の買い物もしていないのに請求が行われるなど、消費者にとってあり得ない事態が続出したのだ。


 ところが、こうした異常事態にもかかわらず、イオンは金融庁に報告すらせずに、手作業でデータを修正、原因の究明や再発防止に向けた抜本的な改修を行っていなかったというのだ。イオンCSは社内隠蔽ため、データ修正が正確だったかも不明のまま、肝心の利息計算のシステムも「日割り計算ができない」という"欠陥品"を使い続けた。その結果、昨年4月に露見した「大量の過剰請求」を引き起こしたと見られるのだ。


 こうしたイオン側の隠蔽に次ぐ隠蔽で消費者が割を食ったわけだが、問題はまだある。イオンは昨年、金融庁からの指示で特別チームを設置したが、その調査範囲はシステム障害の起こった請求分のうち、10年間の05年8月分から。そして、上述した返金対応の社内マニュアルには、なぜ10年前からしか調査しないのかとの質問に対し、こんな想定問答が指示されていたというのだ。


「大変申し訳ありませんが、法律により時効期間が十年となっております」


 ようするに、欠陥システムの存在やその後の隠蔽を棚上げし、時効を狙ってトンズラしようというのだ。同記事によれば、その上「追跡不可能」として闇に葬りさられた事案が約1000件にのぼるという疑惑も浮上、さらなる誤請求事案が隠れている可能性があるという。


 クレジットカードはその名のとおり"信用"に基づく事業だ。イオングループのトラブルの隠蔽は顧客や社会に対する背信行為であり、クレジット業界全体を揺るがしかねない重大かつ深刻な不祥事である。


 だが、この「選択」の報道をテレビや新聞などの大マスコミは一切無視したままだ。しかも「選択」の記事が出た後、イオンCSの親会社であるイオンフィナンシャルサービスの社長が辞任したにもかかわらず、メディアはその人事をベタ記事で報じただけで、背景の不祥事には一切踏み込むことはなかった。


 なぜか。それは前述したように、イオンが大マスコミにとってセブン−イレブン同様、巨大スポンサーであるからだ。特に新聞にとってはスポンサーに加えて"チラシ"の存在もある。


「新聞の折り込みチラシってありますよね。イオンは店舗のある全国津々浦々、毎週のように多くの折り込みチラシを出していますが、新聞社にとって、これが大きな収入源となっているのです」(新聞販売に詳しい関係者)


 また、イオンはこうした"広告漬け"によるメディア支配と同時に、批判記事に対して強硬な対応をすることでも知られている。その典型例が「週刊文春」(文藝春秋)13年10月17日号が報じた「産地偽装」問題だ。「全商品の8割が中国産」と見出しをうち、イオンで販売された弁当などに国産と称した中国米が混入していたことや、ずさんな検査体制などを告発した記事だったが、これに対しイオンは謝罪と雑誌回収を要求。これを拒否されると、1億6500万円の損害賠償等を求める訴訟を起こした。それだけでなく全国のイオンやグループ傘下のコンビニに「週刊文春」を撤去するよう指示したのだ。


 これは当時言論の自由を侵害する暴挙だとして大きな問題となったが、他にも『プライベートブランド食品の危険度調べました』(渡辺雄二/三才ブックス)、『食べるなら、どっち!? 不安食品見極めガイド』(渡辺雄二/サンクチュアリ出版)も、イオン関連店で店頭に並べないという手段に出たことまであった。


 批判的な報道や言論を徹底的に弾圧する、そんなイオンの体質が現れた一件だったが、今回の"イオンカード隠蔽問題"に関しても、多くのマスコミはこうした"イオンタブー"に屈して、沈黙を守っている。現在でもその影で多くの顧客が不利益を甘んじているにもかかわらず、自社の利益を優先して真実を伝えない。


 ハリボテの"信用"で消費者をだまし続けているのは大マスコミも同じなのだ。
(田部祥太)


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