鉄鋼大手3社は減益見込み…日本製鉄は42・9%減、中国での過剰生産に加えトランプ関税の影響も
2025年5月13日(火)9時27分 読売新聞
鉄鋼大手3社の2026年3月期の連結業績予想が12日、出そろった。中国での過剰生産による市況低迷や米国のトランプ政権による関税措置の影響などにより、全社が最終利益の減益を見込んだ。最終利益の予想は、日本製鉄が前期比42・9%減の2000億円、JFEホールディングス(HD)が18・4%減の750億円、神戸製鋼所は16・8%減の1000億円となる。
トランプ政権は自動車や鉄鋼・アルミニウム製品の輸入に対する25%の追加関税のほか、幅広い品目を対象とする「相互関税」を発動している。国内鉄鋼大手は、米国向けの鋼材輸出は少ないが、自動車や建設用機械メーカーに大量の鋼材を供給している。
日鉄の今井正社長は9日の決算記者会見で、「直接輸出より、自動車を中心とした間接的な影響が非常に大きい」と述べた。関税の影響により、本業のもうけを示す事業利益は数百億円押し下げられるという。
JFEHDも、関税により粗鋼生産量が50万トン程度のマイナスとなり、事業利益で120億円の減益要因となる見通しを示した。神戸製鋼は算出が困難として、関税影響を織り込まなかったが、電力事業の減益などが響く見込みだ。
一方、25年3月期連結決算は、日鉄とJFEHDの最終利益が大幅減益となった。中国勢の過剰生産などが要因で、JFEHDの北野嘉久社長は8日の記者会見で、トランプ関税も重なり「想定を上回る事業環境の悪化で、鉄鋼事業の収益は大幅に未達だ」と強調した。
事業を多角化している神戸製鋼は機械や電力事業が堅調で、最終利益が過去最高の1201億円だった。