シャープ亀山第2工場売却、液晶パネル事業が重しに…家電・通信事業に注力へ

2025年5月13日(火)7時21分 読売新聞

亀山第2工場の売却について説明するシャープの沖津雅浩社長(12日、堺市で)=同社提供

 シャープは12日、スマートフォン向けなど中小型の液晶パネルを生産する亀山工場(三重県亀山市)の第2工場を、親会社の台湾・鴻海ホンハイ精密工業に2026年8月までに売却すると発表した。亀山工場は「世界の亀山モデル」としてシャープの知名度を高めた液晶工場だったが、競争力が低下し、業績の重しとなっていた。(杉山正樹)

 沖津雅浩社長は12日のオンライン決算説明会で、「構造改革に取り組み、成長へのスタート台に立てた。飛躍に向けた確かな基盤を構築する」と話し、液晶パネル事業の構造改革に一定のメドをつけ、家電や通信事業などに注力する考えを示した。

 亀山第2工場の売却額は今後、詰める。譲渡後も生産を続けるかどうかは、鴻海が判断する。

 液晶事業では、中小型パネルを生産する亀山第1工場は、シャープが引き続き、収益率の高い車載向け専用として稼働させる。白山工場(石川県白山市)も操業を続けるが、三重第3工場(三重県多気町)は生産を終える。液晶事業は中国、韓国勢の台頭で競争力が低下し、業績低迷の要因となっており、液晶を生産するのは2工場だけとなる。

 シャープは24年3月期までの2年間で、計4108億円の最終赤字を計上した。24年8月には、テレビ向け大型パネルを手がけていた堺工場(堺市)の生産も終了し、関連施設をソフトバンクとKDDIに売却した。

 構造改革を進めた結果、12日に発表した25年3月期連結決算は、最終利益が360億円の黒字(前期は1499億円の赤字)と3年ぶりに黒字を確保した。27年3月期には液晶事業単独での黒字化を見込む。

 シャープは28年3月期までの経営計画も発表し、家電や通信など「ブランド事業」への投資額を前計画より2倍以上に増やす方針を明らかにした。28年3月期に営業利益を25年3月期の3倍の800億円に引き上げたい考えだ。

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