すき家 アルバイト不足解消せずとも「合理主義」は揺るがず

5月16日(金)7時0分 NEWSポストセブン

牛丼チェーン「すき家」 深夜のワンオペが人手不足に拍車?

写真を拡大

 アルバイト店員の深刻な人手不足に陥っている牛丼チェーン大手の「すき家」。かねてより深夜帯に接客から調理まで一人で勤務させる「ワンオペレーション(ワンオペ)」が問題視されてきたが、ここにきて「究極の効率運営」のツケが一気に回ってきた形だ。


 人員不足に拍車をかけたのは、2月に投入した「牛鍋」だった。


 度重なる牛丼の低価格競争で疲弊した各社の“切り札”として、吉野家もメニューに追加して人気を博す牛鍋。しかし、調理に手間がかかることで少人数勤務を強いられているすき家のアルバイト店員の不満が噴出。大量に店員が辞めたことで2月から4月にかけて120店以上が休業し、今も28店で再開のメドが立っていないという。


 すき家の親会社であるゼンショーホールディングス(HD)が5月14日に発表した2014年3月期決算では、休業店舗が業績に与えた影響が売上高で5億円、営業利益で2億円もあったことが明かされた。外食ジャーナリストの中村芳平氏がいう。


「居酒屋チェーンのワタミも人手不足により労働環境の改善を迫られていることを見ても分かる通り、安い労働力を確保しながらやみくもに店舗数を増やして売上高を上乗せしていくビジネスモデルは完全に崩壊しています。


 ただでさえ生産年齢人口が年々減少していく中、いまや何千という単位の店を一律に動かしていくチェーンオペレーションが通用しない時代なのです」


 ゼンショーHDの小川賢太郎社長は厳しい雇用環境に対応するため、すき家の運営を全国7地域に分社化し、各300店ずつがアルバイトの採用や販売促進などに権限を持つ体制に改めるとしている。


 いちばんの解決策は少人数オペレーションを緩和させ、アルバイトの待遇を良くしていく以外にないのだが、「基本的にすき家の合理主義は揺るがない」と見る向きもある。


「そもそもワンオペをしていた店も、本社が決めた厳しい売り上げノルマを達成できないから。小川社長は始めに戦略ありきで、採算が乗らなければ人や店舗を切っても仕方ないという考えの持ち主。


 そういう意味では、今後も売り上げや商品価格を維持できる範囲内で人件費をどこまで上げられるかが経営の肝であることに変わりない。場合によっては店舗の統廃合も決断するはず」(全国紙記者)


 確かに、かつて『日経ビジネス』(2010年9月20日号)の取材でワンオペについて聞かれた小川氏は、<売り上げに対応する科学的なシフト、労働投入を組み立てている>と語っている。


 全国に2000店まで拡大させた巨大牛丼チェーンの勢いは、このまま人材難をきっかけに止まってしまうのか。前出の中村氏は「たとえ牛丼チェーンが落ち込んでもゼンショーグループの拡大路線は続く」と断言する。


「小川氏はフード業界世界一を目指して、牛丼のみならずファミレスの『ココス』や回転寿司の『はま寿司』、スーパー『マルエイ』などを次々と買収し、いずれも業績を急回復させた革命家。グループの売上高はこの10年で20倍以上の4683億円に拡大。さらに1兆円企業を目指して、最近では介護サービス事業のM&Aにまで手を広げています。


 いま、景気回復の流れに乗って外食業界も軒並み収益が改善し、“おいしい”買収案件が多数転がっている状況です。できるだけ人件費を抑えた形でキャッシュフローを溜め込んで、すぐにでも新たな投資につなげたいというのが小川氏の本音でしょう」


 とことん貪欲に拡大路線を突き進むゼンショー。カリスマ経営者、小川氏の大志にどれだけの“人財”がついてくるかによって、そのスピードも変わってくるだろう。

NEWSポストセブン

「すき家」をもっと詳しく

「すき家」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ