今日できることは今日やるか、明日でいいか…ストレスゼロで成功する人が頻繁に口にする"12文字の口癖"
2025年5月17日(土)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DjelicS
※本稿は、船見敏子『結局、いいかげんな人ほどうまくいく』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
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■忙しいときこそ休むチャンス
音楽番組が毎日のように放送されていた2000年代初頭。メディアで見ない日はないほどの売れっ子だったアーティストは、「忙しすぎたのでちょっと休みたい」と、2年間の休養を取りました。
また、ヒットを連発していた歌手も、「疲れたから小休止します」と突然、活動休止宣言をし、1年半ほど休みました。
ふたりとも、ノリに乗っている一番いい時期。しかも当時は、休む=引退と解釈される雰囲気もありましたから、世間は騒然としました。
私も、この人たち、いなくなっちゃうんだ……と悲しい気持ちになったのを覚えています。
ところが、ふたりとも復帰するやいなや、当時の人気を取り戻しました。
それどころか、休業前以上に揺るぎない地位を築きました。
私は、復帰後のふたりにインタビューしました。どんな思いで休みに入ったのか尋ねると、
「仕事を続けて体調を崩すより、未来のために今休もうと思った」
「スタッフには悪いと思ったけど、曲が作れなくて苦しかったから」
と、胸の内を明かしてくれました。思い切って休んだからこそ、失ったエネルギーを充電でき、復帰後の大活躍につながったのです。
■疲れてから休むのではなく、疲れる前に休む
日本人は休み下手です。体調が良くないけど、同僚に迷惑をかけるから休めない。みんな有給休暇を取らないから、申請しにくい。いろんな不安があって、休めません。そうして頑張り続けて、「慢性疲労症候群」に陥る人も少なくありません。
疲労は、放置すると蓄積します。蓄積段階が進むと、うつ状態に陥りやすくなります。予防のためには、疲れてから休むのではなく、疲れる前に休むことが大切です。
忙しい時期に休んでも、どうってことないのです。そのことを、絶頂期に長期間休養を取ったふたりのアーティストが教えてくれました。
写真=iStock.com/west
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■不要に時間をかけて仕事しない
締め切りを作ることは大事だと言われていますが、やたら締め切りを早める人がいます。私が以前、よく一緒に組んでいた編集者です。
彼女は、ライターやデザイナーに伝える締め切りをサバを読んで1週間前に設定するだけでなく、自分自身の締め切りも早めるのです。1週間で仕上げればいいものを3日で終わらせようと計画を立て、実行してしまうのです。
どうしてそんなに生き急ぐの? と思ってしまいますが、「期限を長くしても短くしても同じ。終わらせようと思えば終わる」と彼女は言います。
イギリスの歴史・政治学者、シリル・ノースコート・パーキンソンは「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則を提唱しました。時間があればあるほど、仕事の量は増えるという「パーキンソンの法則」です。
これは、イギリスの行政組織で、仕事の量や難易度に関係なく公務員の人数が一定の割合で増加し続けていたことから発見された法則。
本来なら1時間で終わる作業を1日かけていいと言われると、結局1日かかってしまうような現象を表しています。
■締め切りを作ることで集中力と効率が高まる
今から25年ほど前、毎日残業禁止というルールを作った会社を取材しました。残業できなくなった社員は、最初は戸惑ったそうです。
ところが、定時が締め切り、という発想が定着すると、自然に優先順位や効率を考えるようになり、残業しなくても仕事が終わるようになったと言います。
締め切りを作ることで集中力が高まり、効率が高まります。
写真=iStock.com/Ralf Geithe
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時間が足りない、人手が足りないと悲鳴を上げる職場は多いですが、時間や人を増やせばいいというものでもないのです。
締め切りをやたら早める編集者は、仕事をサクッと終わらせて、好きなアーティストのライブに行ったり、話題の店に足を運んだりと、自分の時間を満喫していますよ。
いいかげんのすすめ
デッドラインを決めると仕事は終わる
■今日できることも明日やる
締め切りを早める人がいる一方、真逆の方法で成功している人もいます。
私が以前、一緒に仕事をしていた人は、いわゆるルーズな人。ギリギリにならないと動かないし、集まりにはいつも遅刻してきます。それを悪いとも思っていないようで、席に着くなり食事を始めたりするのです。その人の口ぐせは「今日できることも明日やる!」でした。
その人がギリギリまで動かないので、こちらも動くことができず、「いやいや、何を言っているの? 今日できることは今日やってよ」と、何度思ったことか。
私は彼女に振り回されてイラっとしていたわけですが、それもそのはず。
私は典型的な「タイプA行動パターン」だったからです。
船見敏子『結局、いいかげんな人ほどうまくいく』(PHP研究所)
人は、生まれ持った性格によって行動パターンが異なります。
そのひとつ、タイプAは、競争心が強い、仕事に熱中する、攻撃的、イライラしやすいという特徴があります。仕事熱心なので社会的に認められるものの、ストレスをためやすい傾向があります。
一方、彼女は、「タイプB行動パターン」。ゆとりがあり、時間に追われず、怒りや敵意もなく、のん気で、競争的ではないという特徴があります。ストレスをためにくい、おおらかなタイプです。
■イライラしていた自分を「器が小さい」と反省
彼女は、のんびりしているので仕事をため込みがちですが、なぜかいつも締め切りギリギリに仕事を仕上げます。帳尻合わせがうまいのです。
私は1週間かけたのに、彼女は3日間で仕上げてしまうなんて。私はがっくりし、イライラしていた自分を「器が小さいなぁ」と、反省するのでした。
今はときどき、「今日できることを明日やる」に挑戦しています。
結果、時間に余裕ができた感覚が持てて、ストレスが減りました。ちょっとぐらいほったらかしにしても、なんとかなるのだとわかりました。
いいかげんのすすめ
放置してもたいていのことは何とかなる
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船見 敏子(ふなみ・としこ)
メンタルヘルス・コンサルタント
公認心理師、元雑誌記者。大手出版社で雑誌編集に携わり、1,000名超の著名人を取材。インタビュアーとしてのスキルを身につけるべくカウンセリングを学んだことを機に、2005年にカウンセラーに転向。以後、全国の企業・自治体等でカウンセリング、研修などを通じメンタルヘルス支援を行う。これまでに1000社・10万人の支援をしてきた。産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士などを保有。株式会社ハピネスワーキング代表取締役。著書に『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)、『幸せなチームのリーダーがしていること』(方丈社)など。モットーは「幸せに働く」。
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(メンタルヘルス・コンサルタント 船見 敏子)