備蓄米あらたな入札方法“優先枠”を設けることでコメ価格は下がる?経費・利益を上乗せしていた卸売業者を通さない取引…スーパーと精米店からは懸念も【news23】
2025年5月17日(土)15時46分 TBS NEWS DIG
なかなか市場に流通しない備蓄米について、農水省が卸売業者を通さずに小売業者に販売できる仕組みなどを導入することを発表しました。「入札の優先枠」を設定することが盛り込まれていますが、これでコメ価格は下がるのでしょうか。
備蓄米スーパーなどに“優先枠”も「玄米で届いても精米できない」
備蓄米を早く、広く、スーパーや町のお米屋さんに届けるため農林水産省は”優先枠”を設けることを発表しました。
江藤拓農林水産大臣(16日)
「集荷業者が卸を通さずに、あらかじめ計画された小売店に直接販売するもの。入札の優先枠を設定することで備蓄米がよりスピーディーに消費者に届くようにいたします」
これまでの流通経路とは違い、卸売業者を通さずに小売業者に販売できる仕組みなどを導入。放出される10万トンの備蓄米のうち、『4万トンはスーパー』に、『2万トンは町のお米屋さんなど』に行き渡る予定で、すでに販売先が決まっている集荷業者に優先的に販売する枠を設けるということです。
これまで備蓄米が届いていないスーパーの担当者は、”優先枠”はありがたいと話す一方で卸売業者を通さない取引に懸念も…
スーパーマルセイ牧田一真専務取締役
「さすがに集荷業者とのやりとりは今まで一度もない。案内とかがないことにはこちらとしてはどうすればいいんだろうというところはあります。卸業者が精米をして袋につめて出荷してくれているので、卸業者を挟まないと玄米のままで届いたらうちとしては精米できないしというところもある」
販売計画を提出「早く作業が進むか疑問」
また、”優先枠”で入札するためには集荷業者が備蓄米を1か月以内にどのスーパーやお米屋さんで販売するかなどの販売計画を提出する必要があります。
おにぎりの販売もおこなう都内の精米店。
店主の飯塚さんは集荷業者がひとつひとつのお米屋さんと連絡を取り合い“販売計画を作るのは現実的ではない”と話します。
飯塚精米店飯塚隆夫さん
「手間がすごくかかるんじゃないかと。自分らの組合でまとめて出すのか、卸先を通じて注文を取るのか、そんなにこう早く作業が進むかどうかは疑問ですけどね」
一方、農水省は備蓄米の流通過程でどのくらいの経費がかかっているかを発表しました。
集荷業者が60キロあたり『2万1246円』で政府から買った備蓄米は『3万3111円』で小売店などに販売されていました。
特に卸売業者の経費・利益は農水省の資料によると60キロあたり『7593円』。例年のコメでは『約2200円〜4700円』の経費・利益だったことから例年より『2900円〜5400円』近く上乗せしていることがわかりました。
江藤拓農林水産大臣(16日)
「あまり攻撃的なこと言いたくないので具体的数字を避けますが、国民の財産である備蓄米を放出している。通常のコメのディール(取引)とは違うんだということをぜひ(卸売業者に)ご理解いただいて、できる限り企業努力をしていただければ」
卸売業者を通さずに小売店に並ぶことになる備蓄米。価格は今後下がっていくのでしょうか。
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