相変わらず「目標管理がうまくいかない」という話から

5月18日(金)14時37分 財経新聞

 最近ときどき人事制度がらみの話を交えて講演することがあります。そんな中で「目標管理制度」は必ず出てくる話です。
 「目標管理制度」とは、期初に上司と合意の上で目標設定をし、期末にその達成度を評価して、その結果を処遇反映しようというもので、わりと多くの企業でおこなわれています。
 ただし、これがうまくいっているという話を聞くことはなかなか珍しく、ほとんどの会社が何かしらの問題を抱えながら試行錯誤しているというのが実情です。これは仕組みが整っていない中小企業ばかりでなく、結構な大企業であっても同じような状況が見られます。

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 うまくいかない理由には、その会社固有の問題はもちろんありますが、「目標管理」がそもそもマネジメントツールとして考えられたものなのにそれを評価に使っているとか、自己管理目標が前提なのに上からノルマが下りてくるとか、そんな運用や活用の仕方の問題もかなり大きなウエイトを占めています。
 ただ、それに代わる評価の仕組みがなかなか作れない、まったくなくしてしまうと今まで以上に惰性的な仕事ぶりになる恐れがあるなど、簡単にはやめられないのもまた現状です。

 先日お話を聞いた人も、自分の会社では「目標設定がいい加減」「そもそも上司がちゃんとやっていない」などと言っていましたが、これはどこの会社でも似たようなところがあります。
 制度の「形骸化」というものですが、私の経験上ではだいたい3年くらい何の工夫もしないでやり続けると、「前年と同じコピペの目標を上司がそのまま受け入れる」「運用の手抜きが横行して中身がない結果の用紙だけが提出される」など、ほぼ100%の確率で形骸化が始まります。

 しかし、では毎年やり方を変えれば良いのかというとそうとも言えず、今度は制度の定着という面で支障が出てきます。ある程度慣れないとうまく運用できないし、慣れてしまうと手抜きや形骸化が起こるということで、変えるものと守るもののさじ加減は非常に難しいところです。

 ただ、ここで「3年」が形骸化するサイクルだとすると、おおむねその頻度で仕組みを見直していくのが妥当ということになります。これは見直しによる変化の度合いがどのくらいかにもよりますし、最近の事業環境の変化のスピードからすると、もう少し早いサイクルでも良いかもしれませんが、私の実感として「およそ3年以内」というくらいの頻度は、わりと適切だろうと思います。

 しかし、そんな頻度で見直しをしている企業は、実際には非常にまれです。どちらかというといつまでも変えない、見直さないという会社の方が多いですが、その様子を見ている限り、何か前向きな理由があるというよりは、単に面倒だから後回しにしている感じがします。人事の仕事に携わる人たちが他の業務で忙しいとか、そもそもあまり変化することを好まないような傾向もあります。

 しかし、最近の現場の様子を見ていると、「変えない」ということがマイナスに働くことの方が、明らかに多いです。問題があるなら、何かを変えてみなければ、少なくとも問題が解決するなど良い方向に変わることはありません。逆に変えなければ維持できるかと言えばそれも違っていて、形骸化の例からもわかるように、現状維持よりも悪い方向に変わっていきます。

 最近は脳科学や心理学的などの研究が進み、そこから人事施策の中に応用されるものが増えています。ここ数年で、手間がかかる割に効果がないといって、評価制度をやめる会社も出てきました。仕事の仕方もAI技術の進歩などで、これから大きく変わっていくでしょう。これまで以上にいろいろなことが早く大きく変わってきています。

 「目標管理」に限らず、企業の人事の仕組みというのは、人的資源を活性化してそれを業績向上につなげることが目的です。そのためにはもしかすると「3年」などという単位の変化では遅すぎるのかもしれません。
 いずれにしても、積極的にいろいろなものを変えていくことが必要な時代になっているのは間違いありません。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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