日本産ウイスキーの「危機」について知っておくべき4つのこと

5月19日(土)19時0分 Forbes JAPAN

サントリーは先ごろ、ウイスキーの主力商品である「響17年」と「白州12年」の販売を休止すると発表した。これを受け、世界のウイスキー業界や愛飲家たちの間に動揺が広がっている。

「響17年」は、収集家や愛好家にも高く評価されているウイスキーだ。米俳優ビル・マーレイが同製品のCMに登場するハリウッド俳優を演じた映画、「ロスト・イン・トランスレーション」により、世界的に知られるものとなった。

日本のウイスキー業界は、危機に直面する中で苦闘している。こうした現状をもたらしたのは、何だろうか。そして、それでも日本のウイスキーの将来が非常に楽観的に見られているのは、なぜだろうか。いくつかの点について、考えてみたい。

1. 日本産ウイスキーが「足りない」

日本のウイスキー産業の主な問題は、供給が需要に追いつかないことにある。この状況をもたらしたのは、1980年代の需要の低下とそれに伴う生産の縮小だ。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長は2016年、国内の蒸留所は急速に生産を拡大しているが、在庫を復活させるにはおよそ10年がかかるとの見通しを示した。日本産ウイスキーは熟成年数の長いものを中心に、価格の上昇(さらには最高値の更新)が続くと見込まれる。

サントリーは2015年に「響12年」の販売を終了。ニッカウヰスキーの「余市」や「宮城峡」など、熟成年数の長いその他のウイスキーの多くも販売中止となった。そうした中でこれらの代替となっているのが、熟成年数がより短いウイスキーだ。これは、ウイスキーの選択に"地雷原"を作り出している。おいしいものもあれば、標準以下で値段に見合わないものもある。

2. 日本人の「ハイボール愛」

日本の愛飲家の間では、ウイスキーをソーダ水で割るハイボールが大人気だ。シンプルな飲み方だと思うだろうが、日本人はこれを精密科学の領域にまで高めている──最高のハイボールをつくるには、使う水の種類、氷の形、どのグラスで飲むかまでの全てが考慮される。

サントリーが日本中のバーや飲食店にハイボールを売り込んだことも、人気の上昇に影響を与えた可能性がある。また、スーパーマーケットなどで販売されている缶入りハイボールも需要を押し上げ、蒸留所の在庫を限界まで圧縮させることにつながった。

3. TVドラマが需要増に拍車

NHKが2014年に放送、大ヒットとなった連続ドラマ「マッサン」は、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝とその妻、リタ・コーワンのラブストーリーだ。リタは「日本のウイスキーの母」とされる。

このドラマの人気は、国内のウイスキーの販売量を急増させた。特に、ドラマをきっかけに女性の間でウイスキーの人気が高まった。

4. 「日本産」全てが日本製ではない

日本に輸入される外国産のウイスキーは、大幅に増加している。特に、日本のブレンデッドウイスキーには安価なスコットランド産のグレーンウイスキーが使われており、日本産ウイスキーの在庫の維持に一役買っている──これは、日本では100%合法だ。

米国、カナダ、スコットランドをはじめとする多くの国では、「何が本当のウイスキーか」についての厳格な法的要件がある。例えば、米国ではバーボンについて、スコットランドではブレンデッドモルトについての法的な定義がある。だが、日本のウイスキーにはそうしたものが存在しない。

日本で販売されている安価なブレンデッドウイスキーのほとんどには、外国産ウイスキーが含まれている可能性がある。ただし、そうしたウイスキーがおいしくないということではない。また、需要の多さを受け、小規模な蒸留所が造るようになった新しいウイスキーにも注目が集まっている。

Forbes JAPAN

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