アップルのインド戦略、長年の努力が花開く?

5月19日(金)6時0分 JBpress

米カリフォルニア州クパチーノで完成間近のアップルの宇宙船型新社屋「アップルパーク」(2017年4月28日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Justin Sullivan〔AFPBB News〕

 米ウォールストリート・ジャーナルやインドのエコノミック・タイムズなどの報道によると、かねて米アップルが計画していた、iPhoneのインド生産が始まったようだ。


インド産のiPhoneが店頭に

 これまで、アップルの製造パートナーである台湾の電子機器製造受託業者、ウィストロン(緯創資通)がインド・カルナータカ州の州都、バンガロールで、iPhoneの組立業務に特化した工場を設置すると、伝えられていた。

 今回の報道によると、この工場ではその後順調に準備が整い、このほどその試験操業が終わった。ここではiPhoneの廉価モデルである「iPhone SE」の組み立てを行うが、同モデルは月産2万5000〜5万台体制で組み立てられ、2017年5月第3週にも最初のインド産iPhoneが店頭に並ぶ可能性があるという。

 急成長していた世界のスマートフォン市場を支えてきた中国では、ここのところ販売が減速している。そうした中、アップルはインドにおける自社ブランド構築の新たな手法を模索しており、iPhoneのインド生産はその一環だと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 また、アップルはiPhoneをインドで生産することで、同国における販売価格を引き下げられる可能性があるという。

 現在のインドにおけるiPhone SEの販売価格は320ドル。これは米国における販売価格の399ドルよりも安いが、インドのスマートフォン平均販売価格は131ドルとなっている。iPhone SEはアップル製品の中で安いと言っても、いまだ多くの人々にとって手が届かないスマートフォンだ。ある政府関係者は、インド生産が始まったことで、iPhone SEは今の価格より100ドル安くなるのではないかと期待しているという。

 ただし、いずれにしてもアップルはiPhoneの電子部品をインドに輸入しなければならず、部品関税を支払う必要がある。アップルはインド当局に税の軽減措置などを求めているが、同社が望む回答は今のところ得られていない。


モディ首相の製造業促進策を後押し

 一方、インドでは、ナレンドラ・モディ首相が「Make in India(インド製造業の促進)」政策を推し進めており、iPhoneのインド工場は、この政策に沿っている。ウォールストリート・ジャーナルによると、インド政府はiPhoneのインド工場を歓迎しているという。ある政府関係者は、「アップルはインドにおけるiPhoneの製造を拡大する可能性がある」と話しており、iPhoneの工場をさらに誘致したい考えを示している。

 この政府関係者の発言は、アップルがインド政府から何らかの優遇措置を受けられ、念願のインド直営店をオープンできる可能性が出てきたと、言えるのかもしれない。


実現なるか、インドの直営店展開

 というのも、インドにはアップルが米国や日本などで展開している直営店「Apple Store」が、まだ1店舗もない。アップルはその代わり、インドの大手・中堅小売業者と提携し「Apple Premium Resellers」というフランチャイズ方式でアップル専門店を展開したり、地場小売店の中に販売コーナー「Apple Shop」を設けたりして小売り事業を展開している。

 しかし、同社はインドでも他国と同様の直営店を開設し、他のアップル製品とともにブランドをアピールできれば、小売り事業のテコ入れが図れると考えている。

 ただ、それがままならない状況が続いているのだ。インドではApple Storeのような店舗は「シングルブランド・リテール」に分類され、その外資比率が51%を超える場合、金額ベースで約30%の製品と部品をインド国内企業から調達しなければならない。

 これが、いわゆる「30%調達ルール」だが、アップル製品はこれまで大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られており、この要件を満たせていない。

筆者:小久保 重信

JBpress

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