リガク、円山応挙の襖絵の研究にX線分析で協力
2025年5月20日(火)12時17分 PR TIMES
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132608/28/132608-28-6d03f4d276445e9699378ab4d69508ea-1000x683.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]▲「Thermo Scientific(TM) Niton(TM) XL5 Plusハンドヘルド蛍光X線(XRF)分析計」を使用した測定風景
本測定は、「円山応挙障壁画(襖絵)背景金箔の原色の復元」の研究の一環として実施しました。この研究は、大乗寺副住職の山岨眞應氏が主導し、元・海上技術安全研究所の千田哲也氏、画家/東北芸術工科大学の田中武氏が共同研究者として取り組んでいます。
測定は、円山応挙の芸術的意図や制作背景、修復による影響を科学的に検証することを目的として行われ、非破壊での組成分析が可能なハンドヘルド蛍光X線(XRF)分析計「Niton XL5 Plus」(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を用い、以下の3つの視点から詳細なデータを取得しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132608/28/132608-28-578bca3d623f63a9bd0c9091bd994d5e-1392x928.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ](1)孔雀の間の制作時期の検証中央の2枚と両端の2枚で使用されている金箔の組成に違いがあるかを測定。異なる組成が確認されれば、襖絵が異なる時期に制作された可能性を科学的に裏付ける材料となります
(2)遠近表現における金箔の利用
事前測定では、「色彩画の芭蕉の間では赤みを帯び明るく見える金箔」「墨絵の孔雀の間では青みがかった暗く見える金箔」が使われていることが示唆されています。本測定では全襖の組成分析を行い、遠近の表現や二間続きの絵画空間の構成として、金箔の色調を使い分けた可能性を改めて探りました。応挙の表現技法に関する新たな知見が期待されます。
(3)江戸時代と明治時代の金箔の違い
江戸時代に使われたオリジナルの金箔と、明治初期の修復時に加えられた金箔の組成を比較。江戸時代の金箔について、定量的なデータが得られる貴重な機会となりました。
これらの分析結果は、円山応挙の画業や技法の理解を深める学術的資源として活用される予定です。
リガクは今後も、科学技術を通じて文化財の保全と未来への継承に貢献してまいります。
【リガクグループについて】
リガクグループは、X線分析をコアに熱分析等も含む先端的な分析技術で社会をけん引する技術者集団です。産業・研究用分析のソリューションパートナーとして1951年の創業以来、90か国以上でお客様と共に成長を続けています。日本国内で極めて高いシェアを誇り、海外売上は約70%に達しています。応用分野は、半導体や電子材料、電池、環境・エネルギーからライフサイエンスまで日々拡大中です。世界で2,000名超の従業員が「視るチカラで、世界を変える」イノベーションの実現に取り組んでいます。詳しくはrigaku-holdings.com(https://rigaku-holdings.com/)をご覧ください。