三越伊勢丹、「インバウンド」頼みは限界か 株価も昨年の半分に低迷中

5月21日(土)16時30分 J-CASTニュース

大西社長は「インバウンドを頼りにしてはいけない」と話す(写真は三越日本橋本店)

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百貨店業界首位の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が発表した2016年3月期連結決算は、営業利益が前期比0.1%増の331億円と、前期からほぼ横ばいで、従来予想の370億円を大きく下回った。

リーマン・ショック後の業績を支えてきた訪日外国人や国内富裕層の消費意欲が円高・株安で徐々に減退していることが影響している。2017年3月期の営業利益予想は11.8%増の370億円と、なお強気だが、見込み通りに推移するかは予断を許さず、株価は低迷している。



下半期は2割の営業減益



三越伊勢丹HDの説明によれば、2016年3月期は上半期と下半期で環境が大きく変わった。上半期は世界経済が緩やかな回復基調にあったが、下半期は欧州でのテロのリスクや金融市場での信用リスク、中国・新興国や米国の景気減速懸念が高まり、原油相場は下落した。この影響で、下半期は内外需ともに全体的に力強さを欠き、国内の小売り業界への影響も大きかった、という。とりわけ、百貨店の売り上げを左右する国内富裕層や訪日外国人の下半期の消費動向は鈍化し、三越伊勢丹HDの業績にも負の影響を与えた。下半期だけを見れば、営業利益は前年同期比2割減、売上高は2%減といずれもマイナスだ。大きく伸びた上半期の「貯金」で何とか通期の増収・営業増益を確保したことは明らかだ。


2017年3月期についても、訪日外国人の消費活動への見方は三越伊勢丹HD自身が慎重になっており、大西洋社長も「インバウンドを頼りにしてはいけない」と戒めている。実際、2017年3月期の免税売上高は横ばいを想定している。背景にあるのは「爆買い」の変質だ。2016年3月期の上半期まではブランドものの腕時計や宝飾品など高額な品物が「爆買い」の象徴として飛ぶように売れたが、下半期には化粧品や医薬品、日用品などに需要の中心が移り、訪日外国人(インバウンド)の客単価が下がっている。


大西社長は、連結決算を発表した5月11日の記者会見で、国内富裕層を対象にした売り上げが1〜3月に減少に転じたことについて、「(2016年の年初以降の)株安などが重荷になった」と指摘。「何も対策を打たなければ前年割れは続く」との危機感も表明した。


そのうえで、「百貨店業界全体として売り上げの伸びは期待できない。こうした状況でどうやって利益を稼ぐかが重要」と指摘し、具体的な対応として「仕入れの構造改革」を挙げた。訪日外国人については「客数が伸びる一方で単価が下がっている。リピーター客が増えていることが影響している」と、状況が変化しているとの見方を示し、「インバウンドの目標は設けないが、2017年3月期は2016年3月期並みの売り上げとみる」と予想した。



関東に偏る店舗展開も逆風に



三越伊勢丹HD固有の状況として、百貨店業界の中で店舗展開が関東中心となっていることもインバウンド消費に影響している可能性がある。リピーターが増える訪日外国人の訪問先が京都など西日本中心になっているとされているためだ。明確な統計はないが、関西でホテルの予約が取りにくい状況が続いているとの指摘は観光業界でよく聞かれ、インバウンド消費が「西高東低」に傾きつつあるとの見方は多い。三越伊勢丹HDにとっては明らかな逆風だ。


このため、株式市場の見方はシビアで、三越伊勢丹HDの株価は2015年7月に上場来高値をつけた後、つるべ落としに下がり、2016年5月には前年につけた上場来高値の半分以下の水準に落ち込んでいる。


ともあれ、国内富裕層と訪日外国人の消費動向の潮目は2016年の年初以降、明らかに変わった。三越伊勢丹HDの業績を上向かせるには、企業としての抜本的な構造改革が欠かせなくなっている。

J-CASTニュース

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