新興国投資 2〜3年なら中国、中長期ならインドと専門家

5月22日(日)16時0分 NEWSポストセブン

 中東での民主化デモやリビアの争乱で原油価格が高騰するなど、リーマン・ショックから順調に回復してきた新興国にも懸念が広まったが、それも一段落し、新興国が世界経済を牽引していく構造に変わりはなさそうだ。その新興国のなかでも投資対象として有望なのはどこなのか。日興コーディアル証券国際市場分析部長を務め、新興国に詳しいオフィス セントポーリア代表の馬渕治好氏が解説する。


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 中長期的に比較的安心して投資できるのは、経済成長が堅調なアジア・エマージング諸国だろう。さらにいえば、高い成長を遂げている中国、インドが最有望である。


 2つの国の大きな共通点は増加する人口。人が増えることにより、モノを作る人も消費する人も増えるため経済は成長する。さらに両国の場合、お金を持つ層が増えるという特徴を併せ持つ。富裕層と貧困層の間の「中間層」(世帯の年間可処分所得が5000ドル〜3万5000ドル)が2020年には、中国では現在の2倍、インドでは3倍以上に増える見通しである。


 したがって、今から2〜3年なら中国、10年単位の長期的視野で成長を買うならばインドだろう。2030年ごろにはインドの人口は中国を抜いて世界1位になる見込みだ。働き手の生産年齢人口(15〜59歳)もインドが2040年ごろまで増加し続けるのに対し、中国では2015年ごろから減少に転じる。


 中国とインドが入る有力新興国グループ「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」は総じて投資妙味がある。BRICs各国はマーケット・サイズも大きく、後でも述べるが、ベトナムやインドネシアなど他のエマージング国のような市場規模が小さいゆえの急激な変動リスクは避けられるだろう。


 ただ、ロシアとブラジルはともに資源国といわれるが、その実情は大きく異なるので注意してほしい。ロシアは輸出総額の約6割が原油や天然ガスなどであり、景気動向は良くも悪くもエネルギー価格次第という脆弱性がある。2009年の原油・天然ガス価格の低迷によるロシア経済の悪化は記憶に新しい。逆に現在のようなエネルギー高では著しく景気がよくなる。


 他方、ブラジルは資源国であるのは事実だが、輸出の50%近くを工業製品(自動車、機械、家具、衣類など)が占める世界有数の工業国でもあり、ロシアのような資源輸出依存国ではない。ブラジルの場合、輸出資源そのものも食料品、鉄鉱石、原油などとバランスがとれている。エネルギー高という1つの要因だけで「神風」が吹くロシアのような高成長は望めないが、安定した中成長は望めるため、ブラジルは長期的に安心して投資できる国といえる。


 まとめると、短期の成長では中国、長期の成長ではインド、安心感ではブラジル、大胆な投資を好む人はロシア、といったところだろうか。「ロシア単独ではリスクが高いが、ハイリターンの機会も逃したくない」と思うなら、インドなど工業国と組み合わせたBRICsファンドを選ぶとよいだろう。逆に、原油などを輸入に頼るインドにとっては資源価格が上がるのはマイナスとなるため、資源価格の上昇で恩恵を受けるロシアやブラジルなどを組み合わせる方法が有効だ。


※マネーポスト2011年5月号

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