なぜ若者は「団子より花」消費を好むのか

5月23日(木)11時15分 プレジデント社

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

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若者の本音を紹介するこの連載。今回は「恋愛」をテーマに、高校生&大学生5人を集めて座談会を開催しました。彼らにとって、告白や別れは直接ではなくLINEが当たり前。デート消費もSNSの影響で様変わりしています。4、5年後には彼らが職場にやってくること、そして今後消費の中核を担うようになることを考えると、若者のコミュニケーションスタイルや消費動向を知り、視野を広げておく必要があります。司会と解説は、若者の消費動向を追いかけているサイバーエージェント次世代研究所・所長の原田曜平さんです。

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座談会メンバー

Aさん 早稲田大学2年生。まだ恋愛をしたことがない。趣味は食べることとYouTubeを見ること。女性

Bさん 地方の大学4年生。現在彼氏はいないが、片思い中。趣味は音楽鑑賞と、SNSで美容アカウントをチェックすること。女性

Cさん 青山学院大学4年生。交際4年目になる彼氏がいる。趣味はネットフリックスで韓国ドラマやアニメを観ること。女性

Dくん 慶應大学大学院1年生。現在彼女はいない。大学で、オールラウンドサークルと野球サークルに所属。趣味は映画鑑賞。男性

Eさん 高校3年生。彼氏あり。企業のインターンなどに積極的に参加中。女性

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■今どきの別れ方「LINEで告げて直後にブロック」


【原田】Bさんは、まだ元彼と付き合っていた頃に別の人を好きになって、その人といい感じとのことだけど、アプローチはどちらから?




※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

【Bさん】向こうからです。こんな気持ちのまま、そのときの彼とは付き合っていけないと思って別れました。


【原田】略奪愛なんて、今どきの草食男子っぽくなくて、昔以上にスリリングになっているのかもしれないね(笑)。ちなみに、元彼は泣いてた?


【Bさん】LINEで別れを伝えてすぐブロックしたのでわかりません。


【一同】えぇっ!


【原田】すごいっ! 今はLINEで別れる、というケースが出てきているんだ。この前、企業で管理職をやっている高校の同級生たちと飲んだんだけど、「最近の若い社員は、欠席をLINEで連絡してくる。ありえない!」と憤っていました。しかし、会社の欠席なんかよりもっと重い、別れまでLINEでやり取りしているんだから、たかが欠席の連絡くらいLINEでやるのは当たり前だよ、彼らの感覚では、って話をしてあげないといけないね(笑)。ちなみに、今の好きな人は、まだ彼女と交際中なんだよね。「別れて」とは言わないの?


【Bさん】言えないですよ〜。彼はかなり遠くに住んでいるから。遠距離恋愛なんて現実的じゃないですし。重い女と思われるのもイヤなので。


■浪人生同士の絆、強まる


【Cさん】私は今まで付き合った人は2人。はじめて彼氏ができたのが中学1年生の時。その後別れて、今は浪人時代に予備校で知り合った人と付き合っています。共通の友達に紹介され、一緒に勉強するようになり、告白されました。私は恋愛経験が決して多いほうではありませんが、その彼氏とは3年半ほど続いています。


【原田】お、予備校恋愛、いいねー。僕も浪人したけど、全く恋愛なんて発想もなく、ただただ苦しい思い出しかないけど(苦笑)。でもさ、僕の浪人時代の90年代は全国の大学生のうち約3人に1人が浪人生だったんだけど、今はたったの約5人に1人に大激減しているんだよね。理由は、少子化なのに大学がずっと増え続けたこともあるし、今は半数近くがAO入試と推薦入試で、浪人せずに大学に入るようになっている、ということもある。


いずれにせよ、浪人生活自体が昔に比べるとかなりマイナーな行為になっているので、浪人生同士の恋愛は、昔より絆が固くなりやすく、また、盛り上がりやすくなっている可能性があるね。


しかし、君の年齢で3年半のお付き合い期間は相当長い部類に入るんじゃないかしら。それだけ長いと今の相手と結婚してもいいと思っている?


【Cさん】はい、私の価値観を良いと言ってくれるので、結婚してもいいですね。最初は彼の賢いところに惹かれました。本当に勉強ができる人なので。


【原田】確か一橋大学だったよね、彼氏。


【Cさん】はい。勉強はとてもできる人なんですけど、ルーズで片付けが苦手だし、時間を守らないこともある。そこらへんはあまり気にしていませんが。


【原田】なんか、私生活はだらしないけど、仕事だけはしっかりやる昭和型の無頼なビジネスマンみたいなイメージの彼氏だね。やっぱり、引っ張るとか、仕事ができるとか、「たくましさ」を感じることができる男性は、若者女子の間で希少価値が高まっているのかな。



■束縛されたくない男


【Dくん】僕は今まで4人と付き合いました。1人目は中学生の時、2人目は高校生の時、3人目とは大学1年から3年までの2年間付き合いました。2年も続いたのに別れた理由は、僕が彼女との約束を何度も破ってしまったためです。僕は複数のサークルに入っていたり、インターンをしていたりと、所属するコミュニティがいくつもありました。でも、彼女は学校とバイト先だけしかなくて。そのことが彼女を不安にさせていたので、「サークルにはもう行かないよ」と言ってしまって……。


【原田】うそをついてしまった?


【Dくん】サークルに行けないのはイヤだったけど、彼女の気持ちも尊重したくて。


【原田】要は、自分のやりたいことも曲げたくないし、彼女の気持ちも尊重したいと考えた結果、彼女にうそをついた、ということだよね(笑)。二兎を追う者は一兎をも得ずとはまさにこのことだね。


余計なお世話かもしれないけど、おじさんになってから思うのは、自分のやりたいことを曲げるのも、相手にうそをつくのもどちらも長続きしないと思う。よく「うそには良いうそと悪いうそがある」って言う人がいるけど、僕はついていいうそなんてないと思っています。正直さは時に人を傷付けてしまうことも確かにあるけど、正直さで壊れてしまう人間関係は本当の人間関係じゃない。また、うそをついて仲良くなった多くの人より、正直さを出して仲良くなった数少ない人のほうが本当の関係だし、実際に長続きするもの。自然体でうまくいかない相手とは、結局のところ、長くは続かないんだと思いますよ。


まあでも、今の学生は昔の学生と違ってインターンもあるし、SNSでたくさんのコミュニティも持つようになっているから、彼女に束縛されて、交友活動を制限されるのが一番つらい、ということも事実としてあるんだろうね。


■LINEで告白するほうが、痛手が少ない


【Eさん】現在高校生の私は、中学生の時に2人と付き合って別れて、今は高校生になってからできた彼氏と付き合っています。中学でできた初めての彼氏は、クラスが一緒で名前順が近かったので、よく話すようになり直接告白されました。


【原田】LINEでの告白じゃなく(笑)?


【Eさん】はい、違いました(笑)。彼は頭が良くて、スポーツもできたので文句ないなぁと思ってOKしました。ただ、相手の親が中学生での男女交際をあまりよく思っていなかったようで、窮屈になり別れました。


【原田】おお。中学生の恋愛っぽくてなんだか懐かしい。中学生の時に僕は恋愛したことないけど。



【Eさん】2人目の彼氏は、住んでいる市の国際交流事業のメンバーに選ばれた時に、同じ団体の構成員として海外に一緒に行ったことがきっかけで知り合いました。海外にいた10日間で仲が深まり、帰国後は2人で会うようになっていきました。そして、LINEで告白されました。


【原田】今回はやっぱりLINEでの告白かいっ(笑)! 僕なんか、高校生か大学生の時に、何時間も固定電話で好きな女の子と電話をした揚げ句、恥ずかしくて告白できなかったり、直接呼び出して好きな女の子と会ったものの、結局、恥ずかしくて告白できずに終わったりした経験が何度もあるけれど(苦笑)、今は本当に告白も別れも楽になってるよね。でも、LINEで告白して振られたら、なんだかとても悔いが残りそうだけど。やっぱり、散るなら直接会って全力で思いをぶつけて散りたかったな、と後で思ったりしないのかしら?


【Eさん】その逆なんじゃないかと思います。LINEでの告白ってあくまで画面上の出来事なので、精神的なショックや後悔というのは直接振られた時よりも薄いと思います。対面での告白だと、相手の反応や表情がそのまま伝わってくるし、映像として嫌な記憶として残ってしまいますが、LINEなら文章だけの記憶で済みます。


 直接告白を断った人とは、それ以降話す時に少し壁ができてしまいますが、LINEでの告白だと仮想現実で起きたことという感じなので、結果がどうあれ互いに流しやすく、これまでの関係を続けやすいのだと思います。


【原田】そうなんだ。「LINE告白」だと告白する方もされる方も傷や負担が少ないんだ……。


【Eさん】ちなみに、その彼は模試で毎回全教科95点以上取るような秀才で、その頭の良さに憧れてしまいました。今から思うと、それは恋愛感情ではなく、リスペクトだけだったのかもしれません。だから、私の受験が終わって、彼の内面を冷静に見た時に冷めてしまい、私から振りました。


【原田】LINEで振ったの?(笑)


【Eさん】電話で振りました。既に嫌なところばかりが目につくようになっていて、どうしても顔を合わせたくなかったからです。LINEだと一方的になってしまうので、一応相手の話もきちんと聞こうと思ったんです。


【原田】昔は電話で振るのは不誠実で、会って振るのが誠実だったけど、今はLINEで振るのが不誠実で、電話で振るのが誠実になってきているのかもしれないね。



■イベント前はカップル率が増加


【Eさん】今のサッカー部の彼とは、私の趣味であるサッカー観戦の話で盛り上がり、仲良くなりました。付き合ってもう2年ぐらい経ちます。


【原田】おおっ、サッカーつながりの恋愛! なんか、昔の高校生っぽくて安心する! ちなみに、あくまで君の高校の話ではあるけど、今時の高校生ってどれくらいの子たちが付き合ってるんだろう?


【Eさん】イベント前(夏休み、クリスマス、修学旅行)などの一番多い時で4割くらい。普段は大体2〜3割だと思います。この割合は学校によって大分違うと思います。


【原田】イベント前だとカップルが増えるんだね(笑)。昔より若者が恋愛をしなくなってきているとはいえ、まだクリスマスやバレンタインにカップルを狙ってマーケティングすることは、無駄にはなっていないんだね。


■岩盤浴、ラクレット……OL化する女子高生


【原田】では次に、今時の若者はどんなデートをしているか教えてもらえる? 多分、バブル世代から僕ら団塊ジュニア世代くらいまでは、若者の定番デートと言えば、ドライブかイタリアン、みたいな感じだったと思います。


 そして、僕ら世代以降から、大都市部で「若者の車離れ」が進み、徐々にドライブが定番デートではなくなっていったけど、代わりにどんなデートが出てきたんだろう。まず、高校生はどう?


【Eさん】最近、東京にラクレットを食べに行きました。私たちはいま埼玉に住んでいるので、ちょっとした遠出です。ラクレットを食べたあとは、渋谷をぶらぶらして過ごしました。まったり過ごしたい日は、岩盤浴や公園に遊びに行きます。



【原田】高校生のデートと言えば、昔から公園がきっと定番だったと思うし、カラオケや映画やファミレスあたりまでは自分たちもそうだったからよく分かるんだけど、今や高校生のデートにラクレットや岩盤浴が加わるんだ! まるでOLさんみたいだね(笑)。


携帯のない時代は、若者はテレビや雑誌から情報を得るしかなかった。特に雑誌なんかは、高校生だったら高校生向けの雑誌、OLさんだったらOLさん向けの雑誌があるので、どうしても自分たちの年代の身の丈に合った画一的なデートが昔は多かったんだと思います。


ところが、情報源がSNSやネットの時代になり、年齢で区切られていないため、例えば、女子高生がOLさんのデート情報を得ることもできるようになった。結果、若者のデートが昔より非常に「多様化」したと言えるのかもしれない。


ちなみに、公園に行く日は、彼氏にお弁当を作ったりするの?


【Eさん】はい。というか、学校に持っていく彼のお弁当も私が毎日作っています。毎日のことだから、最近ありがたみが薄れてきているのが少ししゃくに障りますけど(笑)。


■記念日だけはインスタ映えを狙って気合が入る


【Eさん】インスタ映えを意識する子は、オシャレなカフェやイルミネーションなど、フォトジェニックな場所に行っているみたいです。


【原田】確かに昔と一番変わった点はここだよね。この数年で、若者の間で確実に「花より団子ではなく、団子より花」になったと思います。


例えば、スカイツリーに行って浅草をぶらぶらする。食べ歩きの様子ってインスタグラムの「ストーリー映え」するからね。あとは、水族館で魚を見上げている彼女のシルエットを彼氏が撮るとか。


インスタグラム上に投稿されるカップルのオシャレな写真は、彼女が指令して彼氏がやらされているものがほとんどだと思います。大学生はどう?


【Cさん】記念日やイベントのときには、いいレストランに行きます。私たちの場合、普通のデートのときはラーメンを食べに行くことが多いです。でも、特別な日は、一人7000円ぐらいのコース料理を予約します。写真をたくさん撮って、お金もけっこう使います。


【原田】ラーメンと高級レストランの使い分けって、デートのオンとオフがはっきりしているね。記念日はインスタ映えさせる日なんですか?


【Cさん】そうです。私たちは付き合って3年も経っているので、もう隠すことも特にないし、デートのたびに毎回写真をアップしていたら、インスタのフォロワーの友達から「いちいち毎回載せるなよ」って突っ込まれたんです。だから、毎回のデート写真・動画を載せることがはばかられるけど、特別な日だけは投稿してもいいかな、って思っていて。



■地方では「イオンデート」も人気


【Bさん】私が住んでいる地域には、おしゃれなカフェと雑貨屋さんが並んでいる街や、レトロな街があって、インスタ映えするのでそこに行きます。最近だと、ストロベリーボンボンやフルーツパフェを食べました。あとは、イオンでのデートをする子も多いですね。


【原田】東京ほどスポットとしては多くはないかもしれないけど、やっぱり、地方も「インスタ映えデート」が当たり前になってきているんだね。


それと恐らくこの15年間くらいは、全国でイオンなどの大型ショッピングモールが増えていったので、それに伴って若者のデートの定番スポットの一つに「ショッピングモールデート」や「イオンデート」が入ってきたのは間違いない。他の次世代研の地方出身学生もそう証言しています。まずは熊本出身の女子学生の意見。


「やっぱりインスタ映えデートは地方でも一般的だと思います。高校生までは上通り、下通りという名のついたアーケード街や熊本城や熊本城の麓にある城彩苑という食べ物の露店が集まっている場所が一般的なデートスポットです。大学生になると、阿蘇山に登った様子や食べたもの、体験したこと(イチゴ狩りや温泉で浴衣を着た姿など)をインスタに上げています」


茨城出身の女子大生も口をそろえます。


「私の地元でもインスタ映えデートが多いです。高校生はショッピングモールデートやカラオケやボウリングなどのアミューズメントパークデート、大学生は最近ネモフィラで話題にもなっている国営ひたち海浜公園や偕楽園でのデートをアップしていることが多いですね」


そして、これまた茨城出身の女子大生の意見。


「夜、車で筑波山に登り、山頂から夜景を見渡すストーリーをアップしているのをよく見かけます。それと彼氏の試合観戦も多いです。彼氏のユニフォーム、帽子、タオルを着用して写真を撮ることが一種のステータスになっていました」


■「宅デート」でも映え重視


【Aさん】私は付き合ったことがないので友達の話ですが、家でデートをしているみたいです。彼女がご飯を作って食べて、テレビを見て……という低予算のデート。インスタ映えする手作り料理を振る舞っているようです。



【原田】確かに「宅デート」や「宅飲み」もこの10年くらいで普及した言葉だね。今の若者たちはあまりお金も使わなくなっているし、のんびり派も多くなっているから、低予算でまったりできる「宅デート」は定番になってきているわけだ。でも、宅デートでさえ、インスタ映えを狙っているという事実がめっちゃ面白いね(笑)。


でもさ、宅デートでも結局は毎回女性が料理を作るケースが多いんじゃない? それって女子は面倒で嫌じゃないのかな? 君ら世代でさえ、まだ料理ができる男性って本当に少数派だからね。


【Eさん】男子で料理が作れる人は本当に少数派ですね。例えば、親がたまたまお弁当を作れない日は、自分で作るのではなく、学食かコンビニ弁当の男子が圧倒的多数だと思います。


ただ、ホワイトデーに限定して、彼女に手作りをする男子は結構増えていると思います。また、料理を作った男子はほぼ必ずインスタのストーリーに上げていますね。


【Cさん】私も「宅デート」はしますけど、ご飯は外に食べに行っちゃいますね。帰って来てからはHULUやネットフリックスを一緒に自宅で観て過ごします。私は料理はしていないかもしれない。


【原田】確かに「宅デート」って言っても、昭和の宅デートとはわけが違って、そもそも宅で過ごすのが超快適になってきているからね。昭和の汚い下宿と違って、今は「リノベーション」なども低コストで簡単にできるから、ある程度きれいな賃貸住宅が多いし、エアコンなども完備されているところが多い。


また、若者の家には大体Wi-Fi環境が整っているから、ネットフリックスなどが見られるし、お腹がすいたら外に出なくても、東京、大阪、名古屋であれば、ウーバーイーツもデリバリーで使えるようになった。昭和に比べると部屋にいるのが超快適になっているもんね。そりゃ、デート場所として自宅が選ばれるようになるわ。


さて、次回は、カップルでのSNSの使い方について、もっと詳しく聞いていきたいと思っています。



(サイバーエージェント次世代生活研究所 所長 原田 曜平 構成=梶塚美帆 写真=iStock.com)

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