マイナ保険証、iPhoneのウォレットに搭載されても 医療機関での対応は気になる...時間かかるか
2025年5月25日(日)12時0分 J-CASTニュース
マイナンバーカードの「スマホ搭載」プロジェクトが、急ピッチで進められている。
今年(2025年)は運転免許証とマイナンバーカードの一体化が実施された。ゆくゆくは、マイナンバーカードを搭載したスマホさえ持っていれば「免許不携帯」にはならない、という未来になっていくだろうか。
健康保険証においても、同様の仕組み作りが進められている。
iPhoneのウォレット、マイナンバーカード機能搭載へ
iPhoneの「ウォレット」にマイナンバーカードを登録できる日が近づいている、と言われている。
Appleは24年5月の時点で、2025年春にはクレジットカードと同様、マイナンバーカードをiPhoneのウォレットで活用できるようにするとしていた。これについては河野太郎氏もXで投稿している。
だが、保険証のスマホ搭載がかなったとして、まだ壁はある。医療機関側に、スマホのデータを読み取れる端末を設置されていなければならないのだ。
厚生労働省保険局の『マイナ保険証の利用促進等について』のうち、4ページから10ページに、スマホ搭載されたマイナンバーカードの利用について詳しく説明されている。
それによると、「iPhoneへの電子証明書の搭載後、Androidも含めて、スマホ搭載されたマイナ保険証の使用について一部の医療機関等(約10施設)において実証事業を実施予定」とあり、早ければ今年(25年)6月にもそれが行われるとしている。
この実証実験を経て、全国の医療機関にスマホ対応機能を開放する予定だ。しかし、これは全医療機関にシステムの導入を義務付けるものではない。
というより、スマホ用電子証明書の読み取りに対応できる機器の設置はすぐにできるものではないかもしれない。
現在、医療機関に設置されているマイナンバーカード読み取り機器は、スマホの読み取りには対応していないことが大半。このあたりは、上の資料でも「現行のカードリーダーの運用上の課題・ニーズ」という項目の中で、「今後搭載予定のスマホ用電子証明書の読み取りには一部機種しか対応していない(外付けの汎用カードリーダーが必要)」と説明している。
医療機関にとっては「さらなる負担」になるか
そもそも、現在のマイナンバーカードを読み取る機器ですらも、一悶着を経てようやく導入されたばかりである。
前述の資料にはこう書かれている。
「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行も踏まえ、更なるカードリーダーの利便性向上のため、保守期限の到来(令和8年3月末から順次)に向けて次の規格の顔認証付きカードリーダーの仕様を令和7年2月17日に公表し、メーカーを公募。令和8年夏頃から販売開始見込み」
だが、これは個人経営の医療機関にとってはさらなる負担になる可能性が大きい。だからこそ、「機器の導入」が医療機関にとっての義務とはされていないのだろう。
いずれにせよ、全国どこの病院でも「スマホで保険証」という光景が見られるようになるまでにはまだ時間がかかると思われる。
(澤田真一)