単発・短時間アルバイト市場を創り出した、タイミー:小川社長の起業はまさに物語

2025年5月24日(土)9時25分 財経新聞

 タイミー(215A、東証グロース市場)。自社開発の無料アプリを介し、単発・短時間のアルバイトを提供している。昨年7月26日に上場、未だ満1歳未満のホカホカの公開企業。

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 物流や飲食・小売業を中心に事業範囲を広げているが、ホテル・介護業にも積極姿勢。昨年12月で登録ワーカー数は1,000万人を突破。

 確かに複数のメディアでワーカー・雇い主側双方から「抱える」問題点が取り上げられてもいる。が人手不足にあからさまに晒されている現状が指摘されている中、注目に値する企業ではある。

 初めてタイミーを取材したのは、アプリを利用するワーカーの登録者数が170万人を突破した直後の、2021年半ばのことだった。既に日本経済新聞が「NEXTユニコーン企業候補」と名指ししていた。最大の興味は「単発・短時間・即金払い」にフォーカスした、ビジネスモデルだった。そして創業者社長の小川嶺が何故、起業に至ったのかであった。

 取材の機会を得た。メモ帳をひっくり返すと小川氏は、こんな風に語っている。

 「高校時代、生徒会の会長をやった。予算を得て文化祭などで企画やマネジメントの面白さを体感した。学外のビジネスコンテストなどに積極的に出ていくようになった」

 「曽祖父が興した稼業が祖父の代に破綻した。祖父が大好きだった。自分が名を遺す経営者になる、と心に決めた。同時に、人生は有限。うかうかしてはいられないと、起業を意識した」

 「立教大学時代、自分のような服装のセンスがダサい人間と、アパレルの店員を結ぶマッチングサービス“Recolle”を開発した。がプレゼンでVCやエンゼルの受けは芳しくなかった。おしゃれな女性のためのサービスを前面に押し立てたRecolleに方向転換した。そうならフォローする、と言われたからだ」

 「が何故か“押し付けられた”ようで、気乗りがしなかった。しかし世の中、何が幸いするかどうかわからない」

 「望む業はとりあえず脇において、Recolleの立ち上げのために両親から借りた借金の返済に、派遣業者に登録して単発のバイトを始めた。その際に実感したのが、今すぐ金が欲しいのに早々には働くことは容易ではない。手続きとうとう、煩わしいことが多すぎる。そんな仕組みを変えたいと痛感した。結果がスキマバイト向けアプリ:タイマーの着想だった」

 24年7月26日、公開価格1450円に対し初値1850円で株式市場に登壇した。初値の予想PER76.28倍に比べると本稿作成時の株価(1700円台終盤)の予想PERは30倍弱と収斂されているが、未だ上場来高値圏。いましばらくは様子見が賢明だろうが・・・

 が小川氏のタイミー起業は、まさに物語である。

財経新聞

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