だから日本人の成長は止まるんだ…ユニクロ社長×ラグビー日本代表監督「世界一目指すなら自分をぶっ壊せ」

2024年5月27日(月)8時15分 プレジデント社

■居心地の良さを自ら破壊する


【柳井】エディーさん、日本代表のヘッドコーチ就任おめでとうございます。何年ぶりになりますか?


エディー・ジョーンズ(以下EJ)】2015年以来ですから、9年ぶりになります。今後、日本代表がワールドカップ(W杯)でコンスタントにベスト8に進出できるよう、日本のラグビーの土台を固めていきます。


——おふたりは初対面ではないとのことですが、柳井さんはエディーさんにどんな印象を抱いてらっしゃいますか。


【柳井】現状を的確に把握し、ベストの組織をつくるリーダーだなと思っています。だからこそ、私も協力していきたい。エディーさんがより良い組織をつくるうえで、アウトサイドにいる私のほうが組織の強み、弱みが見える場合もあるので、今後も意見を交換していきたいと考えているんです。


【EJ】ありがとうございます。


■リーダーは居心地の悪さを引き受ける覚悟がなきゃいけません


——エディーさんは柳井さんにどんな印象を持っていらっしゃいますか。


【EJ】日本の伝統的な手法にとらわれることなく、自由な発想で世界のマーケットで戦っているリーダーだと思っています。その発想力こそが、ユニクロの推進力になっているのではないでしょうか。


【柳井】私は「外からの視点」というものを大切にしてきました。日本の組織の場合、そこに属する人間が内向きになってしまうことが往々にしてありますから。


【EJ】経営にコミットすればするほど、インサイダーになってしまうということですね。


【柳井】そうなると「同調圧力」が生まれてくる。その意味で、組織が成長するためにはスクラップ・アンド・ビルドを常にやっていかなければ、停滞してしまいます。


【EJ】その発想こそが、ユニクロの強みだと思いました。柳井さんは居心地の良いところに決して安住しませんよね?


【柳井】経営者なんて、ずっと居心地が悪いままですよ(笑)。それを引き受ける覚悟がなきゃいけない。


■スクラップ・アンド・ビルドを行わなければならない


【EJ】これは日本人に限ったことではありませんが、人間が試行錯誤の結果、快適な居心地を獲得したとしましょう。それは新しい習慣となり、人間はそれを手放そうとしなくなります。


【柳井】トップになろうとするなら、その環境を自ら打破していくような人材じゃないとダメです。


【EJ】その通りだと思います。ラグビー日本代表は15年のW杯で南アフリカに勝って世界で評価を得ました。そして19年のW杯日本大会でベスト8に進出し、日本におけるラグビーのステータスを変えたわけです。ところが、現状の日本代表はそこで満足しているように私には見えるのです。昨年のW杯ではプールステージで敗退となってしまいましたが、強豪国と戦い、健闘したことでハッピーになっている。これでは10年前の停滞していた時代と同じです。いまこそ、柳井さんがおっしゃるようにスクラップ・アンド・ビルドを行わなければならないと痛感しました。


■一日の出来事を書き留める


——より良い組織をつくるためには、より良い人材を育てる必要があると思います。人材育成のために考えていることを教えていただけますか。


【EJ】日本のみなさんに伝えたいのは、まずは「自分のプランをしっかり立てよう」ということです。短期だけでなく、中長期で自分の人生を捉え、必要なことを洗い出す。そして、プランの実現のために必要なことを実行し続けましょう。


【柳井】毎日ね。


【EJ】そうです、毎日成長するのです。実行し続けていけば、チャンスがあなたに微笑むことがきっとありますから。


【柳井】私が伝えたいのは、プランを立てるにしても他人の目を気にして表面的な目標を立てても意味がないということです。自分がやりたいことなのに、体裁を繕う必要はない。仕事を進めていくなかで、自分の「宿命」「運命」となるようなものを見つけてほしい。


【EJ】宿命、運命を見つけられれば、毎日やるべきことも自然と見つかるでしょうね。


■書くことで、自分に与えられた課題がクリアになる


【柳井】あとは毎日の積み重ねが大切です。私はユニクロの社員に向けて、「今日やった仕事について、課題として浮かび上がってきたことを書き留めておくように」と話しています。そして、明日やることを書いておくようにと。


【EJ】それは、書くわけですね? イメージするだけではなく。


【柳井】書きます。それがすごく大事だと思っています。書くことでイメージが明確になる。自分に与えられた課題がクリアになるんです。ビジネスにおいて大事なことは、「今日の現実は、明日のやること」なんです。


【EJ】とてもシンプルでいい言葉ですね。本質を突いている。


【柳井】だからこそ、今日浮かび上がってきたことが明日の成長につながる。そして自分ができないことはやらないほうがいい。できないことに時間を割くのはもったいないですから。


■必要なのは、常に一貫性を持って考え続けること


【EJ】柳井さんがいまおっしゃったのは、心理学の世界では「メンタル・モデリング」という手法ですね。常に頭のなかでシミュレーションし、問題があればそれを頭のなかで抽出していく。そして解決に必要なことを常に考える。


【柳井】今日の課題を一日の仕事の終わりに書いていけば、それが明日の仕事につながり、自分の成長、ひいては組織の発展につながる。身近なことに成長の鍵があります。


【EJ】メンタル・モデリングで必要なのは、常に一貫性を持って考え続けることです。物事がうまく運んでいないからといって、勝手に基準を修正してしまっては意味がないからです。


【柳井】基準を考えるにあたっては、客観的な視点というか、外部的な視点が必要じゃないですか? たとえば、ドメスティックな基準で考えていてはダメだと思う。仕事をするにあたっては、常にグローバル・スタンダードを意識することが大事でしょう。


写真=ZUMA Press/アフロ
2023年8月期末時点で、世界の店舗数は3500以上に。昨年10月にはインド・ムンバイにも初出店するなど、開拓を続ける。 - 写真=ZUMA Press/アフロ

■自分の能力や仕事の範囲を限定しない


——柳井さんは「負けず嫌いじゃないと一流になれない」とおっしゃっていますが、自分の仕事にそれだけのプライドを持ってほしいということですね。


【柳井】世界で一番を目指すというのは、自分の人生に価値を与えることじゃないですか。私が思っているのは、日本人には働くことの「特別感」を実感してほしいということなんです。一度きりの人生なんだから、夢を抱いて、仕事にチャレンジすることは素晴らしいことですよ。


【EJ】個人だけではなく、自分の仕事に社会的な価値があると意識すれば、仕事への取り組み方も変わってきますからね。


【柳井】だからこそ、コーチの言葉を待っていてはいけない。自分のものとして勢いを持って仕事を進めていくことがすごく大切なんです。


【EJ】いまの柳井さんの話でとても印象的だったのは、特別感という言葉です。これから日本代表は変わらなければいけない。選手たちには、他人事ではなく自分のものとして代表の活動に参加してほしいのです。


【柳井】100パーセント、ラグビーに身を捧げてほしいということでしょう。


【EJ】その通りです。日本代表はこの10年間で、素晴らしい価値を日本の社会に提供してきました。15年のW杯では南アフリカに勝って世界を驚かせた。そして19年の日本大会では、日本全体を元気にしましたよね? いま、日本代表は国民のみなさんから期待される対象になったんです。


【柳井】それは本当に素晴らしいことですよ。


写真=スポニチ/アフロ
2月に行われた代表候補合宿で京都産業大学の高木城治(右)に声をかけるエディーHC。合宿に参加した34人の選手のなかには現役大学生9人が含まれ、若い世代の発掘・育成を狙う。 - 写真=スポニチ/アフロ

■「日本人だからこれくらいが限界」という発想が根強くある


【EJ】選ばれたメンバーには、その期待に応える義務があり、責任があります。昨年のW杯のように「負けたけれど善戦した。頑張った」ということで満足していてはいけません。


【柳井】満足というのは、成長を阻害する原因になりかねない。日本人は目の前にチャンスがあるにもかかわらず、自分の仕事、能力の範囲を限定してしまうことが多いんです。


【EJ】少なくとも、ラグビーの世界では「日本人だからこれくらいが限界」という発想は根強くあると思いますね。いま、国内のリーグワンには世界の超一流選手が集まっています。いま、リーグワンのトップ3の選手を挙げるとするなら、東京サンゴリアスのチェスリン・コルビ(南アフリカ)、ブレイブルーパス東京のリッチー・モウンガ(ニュージーランド)、静岡ブルーレヴズのクワッガ・スミス(南アフリカ)の3人です。コルビは身長172センチ、モウンガは176センチ、スミスも180センチしかないんです。


【柳井】日本人とそれほどサイズが変わらないじゃないですか。


【EJ】その通りです。日本人と同等のサイズの選手たちが、世界最高峰のプレーを見せてくれている。日本人はサイズを言い訳にはできないんです。日本人の仕事のパフォーマンスがなかなか向上しないのは、自己規定する傾向が強いせいではないかと思っています。


写真=西村尚己/アフロスポーツ
東京サンゴリアスに所属するチェスリン・コルビ。日本人と近い体格ながら世界的なスピードスターとして知られ、南アフリカ代表のワールドカップ優勝に貢献した。 - 写真=西村尚己/アフロスポーツ

【柳井】日本人は自分を特定の枠にはめがちだと見ているわけですね。仕事を進めるにあたっては、自分が一流になれることを発見することが大切ですよ。エディーさんは世界とどう勝負するかを考えているわけだけど、一人一人が日本人の強み、そして自分の強み、弱みを考えていかなくちゃいけない。私が見てきた限りでは、日本人が得意なのは防御です。すぐに防御に回りがちだと思う。


【EJ】トップになったら、それを守ろうとする意識が強いわけですね。


【柳井】日本人は防御は上手です。ただし、既存の組織を壊してさらに強固な組織をつくろうという発想には至らない。守ることを優先すると、アイデアも内向きになってしまい、職場で「いちばん最後まで残る人が偉い」という発想がまだ残っていたりするんです。


【EJ】中学や高校での長時間練習と似ていますね。リーダーは長い時間生徒を拘束することで支配しようとする。それによって、生徒たちから集中力を奪っていることに気づいていません。


■「勝ちたい」ではなく「勝つ」前提で考える


【柳井】それはダメですね。同じ仕事をするんだったら、短い時間で仕上げたほうが偉いよ(笑)。超一流の人間というのは、フォーカスすべきエリアを決めたら、集中的に時間を投下できる人です。


【EJ】日本人は時間のメリハリをつけるのが得意ではないように思います。それは学校教育の影響があるかもしれませんが、時間の使い方を変えるだけで個人の能力は大きく変化する可能性があります。周囲に評価されるために職場に残ることよりも、「オウン・フェイス」、自分の顔が見える仕事をするべきです。


■日本社会で異端と見られたとしても、世界で成功すればいいんです


【柳井】だから、私は日本人には逸脱した仕事をしてほしいと思う。日本社会では異端だと見られたとしても、世界で成功すればいいんだから。さっき、エディーさんはベスト8を目指すと話したけれど、私はベスト8じゃダメだと思ってるんですよ。ベストワンにならないと、逸脱できないと思うんだ。選手のみなさんにはそうした意欲、気概を持ってほしい。


【EJ】とてもよく理解できます。そうしたユニークな人材を育てつつ、私は日本人が持っている長所、「協調性」を大切にしたいとも思っています。


——逸脱できる能力を持つ人間と、協調性という要素は、一見、相反する要素に思えますが。


【EJ】今回、私が日本代表のメンバーに求めている要素のひとつとして挙げているのが「他の人と一緒に仕事をするのが好きな人間」です。自分の成長を他人の成長へと結びつけられる人間がいれば、1+1は2ではなく、3にも、4にも変化していきます。


【柳井】足し算ではなく、掛け算の媒介となれるような人材ですね。かつてサッカー日本代表の監督を務めたジーコは「チームとは『鎖』のようなものだ」と話していました。一人一人が連環して一本の鎖をつなぐ。自分自身という環を強くし、さらにコネクトする部分を強化する。個人の能力を高めつつ、全体のために仕事をする意識を持った人材が必要ですね。


【EJ】オールブラックスのかつてのキャプテンで、リッチー・マコウという選手がいました。彼は11年と15年のW杯で連覇を達成したチームのリーダーです。彼は15歳のときに「歴史上、もっとも偉大なオールブラックスの選手になる」と志し、ティーンエイジャーの頃からプロになって以降もずっと、目標を紙に書いていたといいます。実際に彼はキャップ数(テストマッチを戦った試合数)で、オールブラックスの選手として史上初めて100キャップを達成したのです。


【柳井】やっぱり、書くことは大事ですね。彼は15歳のときに、言葉にすることで、ターゲットに到達するための道筋がクリアになったんでしょうね。


【EJ】その通りです。それだけでなく、彼とプレーした選手たちに話を聞くと、「リッチーは他の選手たちが成長するのを手助けする。彼がプレーするチームは、自然とパフォーマンスが上がる」というんです。


【柳井】やっぱり、集団としての「行き先」を理解している人が必要なんですよ。良いリーダーとは「勝ちたい」じゃなく、「勝つ」ことを前提として、集団を成長に導いていける人なんですよ。


【EJ】世界的に成功したラグビー選手たちは、例外なく誰も見ていないところで努力をし続けられる人間です。そして個人の成長を、チームの成長へと結びつけられる。


【柳井】ビジネスの世界と一緒ですね。


■落ち込むことは決してムダではない


——おふたりとも世界一を目指す過程を体験しているわけですが、そのプロセスにはアップダウンがあるわけですよね?


【EJ】個人、チームともに日々成長を目指しているわけですが、一歩進んだ後に二歩後退するといったことはよくあります。


【柳井】私はカジュアル服で、仕事をやるからには世界一を目指そうと目標を定めました。振り返ってみると、ずっと順調だったということはありません。失敗が重なるときだってあります。


——失敗を認めなければならなくなったときには、どんなことが必要でしょうか。そういうときこそ、動揺せず、冷静な判断を下さなければならないのでしょうか。


【柳井】そりゃ、いろいろな感情が湧きますよ。最初にも話したけれど、経営者は居心地が良いなんてことはないし、人間、不動心なんてものはない(笑)。でも、失敗や動揺も受け止めなければいけない。それを乗り越えながら仕事をしていくのが人間なんです。


【EJ】選手、チームの成長を促すうえで、「落ち込むこと」が必要になる時期があります。人間、そして組織にはどん底を経験した後に、立ち直る力、「レジリエンス」が潜んでいます。私のコーチング経験では、落ち込む幅が大きいほど、レジリエンスの力も大きくなります。コーチは、その力を発揮できるようにうまく誘導しなければなりません。だからこそ、落ち込むこと、そしていろいろな感情が湧くことは決してムダではないのです。


■ワールドクラスの選手が少なくとも5人は必要


——これから27年のW杯オーストラリア大会に向けて、いろいろな起伏がありそうですが、エディーさんはこれからどんな日本代表をつくっていこうと考えていますか。


【EJ】昨年の大会で、日本代表は良いチームではありましたが、「格上」の相手に対して脅威とはなりえませんでした。再び、日本が上位国に対して危険なチームとなり、W杯でコンスタントにベスト8に進出できるようにしていくつもりです。


【柳井】ベスト8じゃなく、ナンバーワンを目指してくださいよ(笑)。


【EJ】(笑)。いま、日本は重要な局面に立たされています。19年のW杯で日本代表は誰からも愛されるチームになりましたが、いまは停滞を余儀なくされています。次の4年間で再び上昇するストーリーを書けるのか、それとも停滞し続けるのか……。強固な意志を持って改革を進めなければいけません。


【柳井】世界一になるためには、超一流の選手がどれくらい必要なんですか。


【EJ】ワールドクラスの選手が少なくとも5人は必要です。鍵となるポジションに危機的状況を救ったり、試合の流れを変えられる選手がいなければなりません。


【柳井】まずは人材をそろえる。そして、次に必要なのがコンセプトですよね。


【EJ】最初の記者会見で掲げたのは「超速ラグビー」。プレーのスピードはもちろん、判断するスピード、瞬間的な判断ができるチームを目指します。


【柳井】それは個人の判断の速度を上げるということですか?


【EJ】いえ、集団として瞬間的に「同じ絵を見る」ことができるようにしていきます。W杯で優勝した南アフリカ、準優勝のニュージーランドは全員が絵を共有できているので判断の速度が速い。これから日本ラグビーで必要なのは、システム全体のスピードを上げることです。これは代表だけではなく、高校から大学、そしてリーグワンまで連携して進めていくつもりです。


【柳井】それだけの人材は日本にいるんですか。


【EJ】昨年のW杯を戦ったチームから、良き伝統を引き継げる人材を残しつつも、やはり日本ラグビーの未来を考えると若手を探さなければなりません。高校生、いや、中学生でもそれにふさわしい人材がいれば特別に鍛えるプログラムを用意するつもりです。


■厳しい要求もポジティブに


【柳井】なるほど、それは未来への「投資」ですね。投資というのは勝つための準備です。日本は高校生までだったら能力は世界一です。ところが、大学生になるとレベルが低くなってしまう。日本の未来を考えたときに、もっともっと教育に投資をしなければダメです。教員の給料を倍増させるくらいのことをしていかないといけない。ユニクロでは大学生に対する奨学金のプログラムを充実させていますが、個人への支援が将来の日本の投資にもつながっていくと考えているんです。


【EJ】若く、能力の高い人には、投資をすべきですね。


【柳井】投資のないところに、リターンはありません。投資する以上は期待もあるし、要求すべきことも出てきます。


【EJ】若い世代には成長のための基準を与え、それをクリアしていってほしい。私は要求し続けるつもりです。


【柳井】そう、要求し続けることは大切。要求というのは、人を成長させるためのものなんです。意欲にあふれていれば、上司からの要求をポジティブなものと捉えられるはずなんです。


■時には厳しい言葉も必要


——組織のメンバーが成果を達成した場合、柳井さんはそのメンバーにどんなアプローチを取るのですか。


【柳井】私はあまり褒めないけど「よくやった」とは言います。一方で、「結果が出てないじゃないか」とハッキリと言わなければならないときもある。仕事の結果次第で生きるか死ぬか、それがビジネスのプロなんじゃないのか? と。それを叱責だと取るサラリーマンではダメです。あなたはあなたの人生しか生きられないんだから、それを大切にしなさい。自分が掲げた目標に対して妥協する姿勢を見せていたら、あなたの人生は何なんだということになってしまう——このことは伝えなければなりません。


【EJ】時には厳しい言葉も必要です。なぜ目標を達成できなかったのか? そこに成長の鍵が潜んでいますからね。


【柳井】その通りです。叱責されたと捉えず、前向きに捉えれば、いろいろとチャンスが広がるはずです。みんな自分の人生を生きているんだから、一つ一つの仕事を大切にしてほしい。とにかく自分の仕事に熱量を持って接すること。そうすれば、自分に必要なことが自然と見えてくるはずです。


【EJ】日本代表を退いた選手たちと話すと、「代表で過ごした日々が恋しい」と言うんです。日本のラグビーの未来に対して情熱を持って取り組む。それ自体が貴重な体験なんです。


——おふたりは、リーダーとしての人生をずっと続けてきたわけですよね。モチベーションをどのように保っているのですか。


【柳井】先ほどからお話ししているけれど、リーダーは居心地悪いですよ(笑)。


【EJ】日本人は居心地が良いところに安住しがちですが、柳井さんはやっぱり違いますね。


【柳井】居心地は悪いけれど、そこに希望があるじゃないですか。世界でナンバーワンになるという希望があるから、動き続けられる。エディーさんもそうじゃないですか。


【EJ】本当ですね。期待に応えられるチームをつくっていきますよ。


※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年3月15日号)の一部を再編集したものです。


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柳井 正(やない・ただし)
ファーストリテイリング会長兼社長
1949年、山口県生まれ。67年山口県立宇部高等学校卒業。71年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、ジャスコ(現イオン)へ入社。72年に実家の小郡商事(現ファーストリテイリング)に転じ、84年に社長就任。2005年から会長兼社長。
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エディー・ジョーンズ(えでぃー・じょーんず)
ラグビー日本代表HC
1960年、オーストラリア生まれ。母は日系アメリカ人2世。妻は日本人の日本語教師。1982年シドニー大学を卒業し、高校で体育教師となる。学校長を務めた後、1996年、東海大学ラグビー部のコーチに就任し、指導者としてのキャリアをスタート。オーストラリア代表HC、南アフリカ代表チームアドバイザーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年9月ワールドカップでの大躍進に貢献。その後、イングランド代表HC、オーストラリア代表HCを経て、24年1月より日本代表HCに再び就任。
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(ファーストリテイリング会長兼社長 柳井 正、ラグビー日本代表HC エディー・ジョーンズ 構成=生島淳 撮影=小田駿一)

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