「もったいない」精神で生まれた板ガラスの硯 その試行錯誤

5月28日(日)16時0分 NEWSポストセブン

端材から生まれた、繊細で美しい“すみだモダン”

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 コップや小物などのガラス製品は、原料となるガラスを溶かして作られる。だが、窓ガラスや鏡には、“板ガラス”という、加工したものが使われている。


「大きな板ガラスを、指定のサイズに合わせてカットして使うため、どうしても端材が出てしまいます。これらは、ほかに使い道がなければ産業廃棄物として、お金を払って廃棄しなければなりません」


 そう話すのは、『尾崎製鏡』(東京都墨田区)の代表・尾崎由雄さんだ。


 ガラスとして欠陥があるわけではないのに、ほかに使い道がないからと、繊細で美しい板ガラスを廃棄してしまうのはもったいない。そこで、これを利用して、何かを作れないかと考え生まれたのが、「板ガラスの硯」(6480円)だ。


「以前、油絵を描いていたときにガラスのパレットを使っていたことを思い出し、水彩絵の具で使うパレットを作れないかと思いました。しかし、絵の具を入れる窪み部分を複数作らねばならず、難しい。硯なら、海といわれる窪み部分(墨池)がひとつだけ。こちらの方が簡単だと思ったんです」(尾崎さん・以下同)


 とはいえ、墨をする“丘”といわれる部分から、海にむけての曲線や、海の深さ、墨がきちんとすれるようにする加工方法などで試行錯誤を繰り返し、3か月後に完成。


 墨をする部分は、研磨剤となる砂を吹きかけ、表面をすりガラスに削る“サンドブラスト技法”で加工。



「初期の試作品では、丘の部分をどのように加工するのか、1つの硯できめ細かめとやや粗めに削るなどして検討し、やや細かめに決めました」(尾崎さん)


 早速、墨田区の地域ブランド戦略のひとつ「すみだモダン」に応募すると、高評価を得て認証され、翌年の2014年から本格的に販売を開始した。


「第1号は平塚(神奈川県)にあるお寺のご住職が購入してくださいました。また、墨田区の『ふるさと納税』の返礼品に選ばれたこともあり、北海道から九州まで、多くのかたに使っていただいています」


 書家や書道愛好家はもちろん、ガラスが透明で、墨の濃淡がわかりやすいため、墨絵を描くのに調合しやすいと好評だ。飾っておくだけでも美しい、実用的な逸品だ。


※女性セブン2017年6月8日号

NEWSポストセブン

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