クラウドで集中管理できるスマートロックに脚光

5月29日(水)6時0分 JBpress

「KEYVOXスマートロック」を発売したブロックチェーンロックの岡本健CEO(左)と日比章善CMO(右)

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 ブロックチェーンやIoT(モノのインターネット化)が強みのスタートアップ企業、ブロックチェーンロックが2019年4月に発表した新製品「KEYVOXスマートロック」に注目が集まっている。スマートロックを集中管理するクラウドサービスをあわせて提供する点が特徴だ。

「KEYVOXスマートロック」(以下「KEYVOX」)は2種類の製品がある。一つは、玄関扉などのドアに通常のシリンダーキーの代わりに取り付ける「BCL-XP1」(写真1)。集合住宅や宿泊施設、オフィスビルなど総戸数が多い建物での利用を想定している。

 ブロックチェーンロックCEOの岡本健氏は「リノベーションして開業するホテルの部屋の鍵などとして、1件あたり数十個を超える単位の発注がよせられている」と話す。発表直後から引き合いが相次ぎ、ほぼ1カ月で初回生産分の数百台が完売したという。空きスペースを活用した自習室やドッグランの運営を検討する企業などからの問い合わせも続いており、同社は追加生産を急いでいる。

 もう一つは、ドアに既設のシリンダーキーをそのまま利用するタイプの「BCL-XE1/MBJ」である。鍵を開閉するサムターンを操作するための器具を粘着テープでドアに貼り付けて解錠する。賃貸住宅や売買住宅が空室のときにだけドアに取り付けておけば、室内を内覧する際の鍵管理の効率化を図れる。設置が容易なことから個人宅での利用も見込んでいる。こちらは、アマゾンジャパンのECサイトですでに予約を受け付けており、早ければ8月に出荷を始める予定だ。


ネット予約や決済機能で付加価値を向上

 KEYVOXはドアの外側に取り付ける「PINパッド」と内側に取り付ける「ロック」で構成する(写真2)。PINパッドは複数桁の数字からなるPINコードの入力確認のほか、非接触ICカードの読み取り機能と、Bluetoothでスマートフォンアプリと通信する機能を備えている。PINパッドに登録済みのPINコードや非接触ICカードの情報が一致すると、ドア内側の「ロック」が解錠する。

 ここまでは既存の他社製スマートロックと大きな違いがない。KEYVOXの最大の特徴はスマートロックを集中管理するクラウドサービスである。ブロックチェーンロックはKEYVOXを導入して空きスペースの時間貸しビジネスなどを始める企業向けに、下位版から上位版までの3種類のクラウドサービスも始めた。

 下位版の「KEYVOX Lite」は、スマートロック管理の基本機能を提供する。具体的には、KEYVOXと無線LANで通信する中継機器を宿泊施設やオフィスビルに設置し、遠隔からのアクセス権の設定と入退室履歴の記録を可能にする。Web管理画面から解錠可能な非接触ICカードの情報をスマートロックごとに設定できる。このほか、「平日の午前9時〜午後5時」のように指定した期間だけ有効なPINコードをスマートロックに個別に登録することもできる。

 中位版の「同Pro」は、Liteの機能に加えて、スマートロックを設置した部屋の料金設定や決済、物件リストの管理、オンライン予約の受け付け機能を併せ持つ。部屋ごとの料金設定や決済機能を備えたスマートロックはまだ珍しく、岡本CEOは「決済機能があるスマートロックという点に関心を持った企業などから、さまざまな用途での問い合わせが増えている」という。

 上位版の「同Enterprise」では、電子マネーによる決済サービスの導入や、宿泊施設などが独自に運営するロイヤリティプログラムの利用、スマートフォンアプリのカスタマイズといった個別のニーズに応じる。


空きスペースの有効活用を支援する機能も

 ブロックチェーンロックは今後、大きく二つの方向でKEYVOXの付加価値を高めていく計画だ。一つめは、空きスペースを手軽かつグローバル規模で賃貸するための支援機能の提供である。

 KEYVOXの管理画面に物件の公開範囲を設定する項目を設け、「一般公開」を選択すると、賃貸可能な物件として所在地や賃料がオンライン地図上に表示される。利用者は地図上で空きスペースを探してインターネット経由で利用申請できる。岡本CEOは「人手とコストをかけず、余っているスペースを有効に活用したいという声は多い。そうしたニーズに応えたい」と語る。この機能はすでに開発が終わっており、間もなくリリースする模様。

 二つめは、KEYVOXと連携できるブロックチェーンプラットフォームの展開である。そのプラットフォームを用いることで、KEYVOXを採用した宿泊施設などが、ブロックチェーンを使った賃料清算やポイントサービスを安価に導入できるようにする。例えば、宿泊施設のチェックイン時に運営企業が宿泊客から宿泊代1万円を現金で受け取り、KEYVOXのアクセス権を付与する。同時に、施設内のレストランで使える1000円分相当の独自ポイントを優待サービスとして宿泊客に発行する。このような独自ポイントの発行、残高管理、清算などに必要な仕組みを簡単に構築できるという。

 ブロックチェーンロックはKEYVOXの海外進出も加速させる考えだ。中国の大手ECサイトとはすでに話がまとまり、貼り付けタイプの製品を1万2000台納める契約を取り付けた。「鍵という製品の特性上、故障など万が一の際に迅速に対応できるサポート体制の整備が先になるが、海外のビジネスパートナーを見つけながらインドネシアやベトナム、マレーシアに進出しようと考えている」(岡本CEO)。

筆者:栗原 雅

JBpress

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