JTBで36歳社員の手取りが24万円? 就職人気上位の企業も実は薄給だった! アベノミクスは企業の内部留保を増やすだけ

6月6日(月)8時30分 LITERA

JTBグループ公式ホームページより「会社情報」

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 経団連が定める新卒採用の選考解禁日が昨年より2カ月前倒しされ、今年は6月1日になり、2017年卒・修了予定者の就活選考がスタートした。というか、大半の企業がすでに書類選考や面接を行っており、選考の合否連絡を学生も受け取り一喜一憂している。


 ところで、毎年、就職シーズンになると、就職企業人気ランキングが発表される。日本経済新聞社やマイナビ、東洋経済などが調査し、発表するもので、このランキングを目安に会社選びをする学生も少なくない。


 しかし、この人気ランキング上位の会社に入社しても、決して安心とは言えない。むしろ、薄給のブラック企業にハマる可能性もある。


 たとえば、文系総合ランキングでは、毎回、上位にランキングされるJTBグループ。1位をとることもめずらしくはない。JTBは1963年、財団法人日本交通公社の営利部門を分割・民営化され、業界では日本最大かつ世界有数の事業規模を有する旅行代理店だ。


 海外支店も多く、世界をまたにかけたビジネスパーソンになれるという幻想がまかり通っているが、実際には、薄給ぶりはトップクラスだ。


「会社自体は"純利益増"となっていますが、現場は、ノルマは厳しいくせに、2〜3年前から『残業をしない・させない』スタイルになったから、その分当たり前に手取りが下がっていて......」とJTBの内幕を紹介するのは、「SPA!」(扶桑社)5月31日号「薄給な会社グランプリ」だ。同誌に告白する36歳・個人旅行業務担当者は、「勤続年数10年超にもかかわらず手取りは24万〜26万円で、ボーナスも年80万円を切ることもある」ため年収は400万円。40歳時業界平均年収(以下同)の537万円を大きく下回っている。


 同誌によれば、さらにJTBといえば、旅の下見や旅行プランの作成というクリエイティブな職業につけるかと思いきや、「憧れ」の職場とは言えない。


「結局、現場の窓口の人間は手配、調整、クレーム処理など雑用が主な仕事。土日が稼ぎどきの仕事だから、休日の取り方も難しい。期待を胸に毎年一流大卒のコたちも入ってきますが、現実に打ちのめされて離職していくパターンが多いですね......」(同記事)


 また、役得である社員割引制度もお得ではないという。


「役職なしの一般社員は、社割なんて10%前後。自社製品よりもネットに強い楽天とかで格安旅行に出かける社員も多い」(同記事)


 JTBに並んで、エイチ・アイ・エス(H.I.S.)も就職企業人気ランキングで上位にランクインする新進気鋭の旅行代理店だ。同社で支店営業を担当する35歳男性の年収も約370万円とかなりの薄給ぶりだ。


「(遠方への旅行といった)ポイントの高い契約は上司に譲らないといけないことも多い。自分の実力不足でノルマが達成できないならまだあきらめがつくが、ほかの社員に気を使わなければいけないせいでノルマが達成できない→評価されない→収入が増えないという図式には絶望します」と内幕を明かす(同記事)。


 こういった薄給は旅行代理店だけではない。アパレルのツモリ・チサトやZUCCaなどのブランドを抱えるエイネット33歳・販売職(女性・年収280万円、業界平均年収521万円)、東進ハイスクール(ナガセ)40歳・教材開発職(男性・年収440万円、業界平均年収538万円)、警備会社のALSOK33歳・警備職(男性・年収380万円、業界年収472万円)と、多くの有名企業が薄給なのだ。


 厚生労働省が5月20日に発表した2015年度の毎月勤労統計で、物価の伸びを超えて賃金が上がっているかを示す実質賃金指数が前年度より0.1%減ったことが明らかになった。5年連続のマイナスになった。


 業績が好転した企業でベアが相次ぎ、基本給などは0.3%増と10年ぶりにプラスに転じた。ただボーナスなどが0.5%減ったほか、賃金が低いパートタイム労働者の比率も上がったため、現金給与総額の上げ幅は前年度の0.5%増より縮んだためだという。


 一方で、円安の進行と株高によって急回復した企業の業績だが、その富の分配は、自社に溜め込む内部留保に向けられている。15年9月末の利益剰余金は343兆円まで積み上がり、安倍晋三内閣が発足した直後の12年12月から約69兆円増加した。


 たとえば、財務省の法人企業統計調査(14年度/15年9月発表)を見ても明らかだ。


 まずは、労働分配率(人件費÷付加価値)を見ると、12年までは70%台。12年には72.3%だったが、13年69.5%、14年68.8%と人件費が抑制され続けている。


 その一方で、内部留保の割合(内部留保÷当期純利益)は12年には43.3%だったものが、13年60.4%、14年57.5%と明らかに増大しているのだ。


 安倍政権で業績好調になったといっても、結局は企業が利益を溜め込むばかり。賃金に回らなければ、景気がよくなるはずがないだろう。就職は売り手市場と言われているが、薄給の売り手市場なのだ。
(小石川シンイチ)


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