アマゾン、米物流大手が国内航空貨物の契約打ち切りへ

6月11日(火)12時0分 JBpress

米カリフォルニア州トレーシーにあるアマゾンの配送施設で商品を仕分けする従業員(2015年1月20日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / GETTY IMAGES NORTH AMERICA / JUSTIN SULLIVAN〔AFPBB News〕

 米物流大手のフェデックスは6月7日、米国内の航空貨物輸送について、米アマゾン・ドットコムとの契約を打ち切ることを明らかにした。米メディアによると、契約は今年(2019年)6月30日で終了するが、フェデックスはこれを更新しない。

アマゾンとのビジネス以外にも著しい需要と成長機会がある

 その理由について、「より広範なeコマース市場に向けてサービスを提供することに重点を置く戦略的意思決定」とフェデックスは説明している。ただ、米国内の陸上輸送や国際貨物など、それ以外のサービス部門とアマゾンとの契約は今後も継続する。

 フェデックスによると、2018年にアマゾンからもたらされた収入は、同社全売上高のわずか1.3%程度で、アマゾンは同社にとって、とりわけ大口顧客ではないという。

 一方、米国eコマース市場の貨物取り扱い個数が、現在の1日当たり5000万個から、2026年には2倍の1億個になると見込んでおり、この市場には、著しい需要と成長機会がある、としている。

 米国ではアマゾンと物流大手の競争が激化している。今回のフェデックスの新たな方針は、こうしたタイミングで発表されたと、ウォールストリート・ジャーナルやCNBCなどの米メディアは報じている。

アマゾン、物流分野への進出拡大

 アマゾンは、米国に巨大な航空貨物ハブを建設する計画である。ケンタッキー州ヘブロンのシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港に建設するもので、2021年の開設を予定している。その面積は約28万平方メートル(東京ドーム6個分)。アマゾンはこの施設に約15億ドル(約1600億円)を投じる。

 また、同社は昨年12月、米オハイオ州ウィルミントンの航空貨物会社、エア・トランスポート・サービシズ・グループ(ATSG)との提携を拡大し、同社専用の貨物機を今後2年かけて50機に増やすと発表した。

 同社が航空機を使った輸送業務を始めたのは2016年。当初は、ATSGと、米アトラス・エア・ワールドワイド・ホールディングスから「ボーイング767-300」を合わせて約10機リースしていたが、これが今では約40機に増えている。また、5月には、アマゾンが荷主と輸送業者をネットでマッチングするサービス、つまり輸送サービスの仲介事業を始めたとも伝えられた。

 (参考・関連記事)「アマゾン、2021年に東京ドーム6個分の航空貨物ハブ」

物流大手に生じる2つのリスク

 こうしたアマゾンの物流分野への進出拡大により、米UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)や、米USPS(郵政公社)、フェデックスなどの大手に2つのリスクが生じると言われている。

 1つは、アマゾンという顧客を失うリスク。もう1つは、アマゾンに顧客を奪われるというリスク。前者は、大手が自社の施策だけで解決できる問題ではないと指摘されている。

 一方、後者については、対抗できる余地がある。フェデックスは今回の戦略的意思決定の詳細を明らかにしていないが、おそらく、後者を念頭に置いたものなのだろう。昨今はeコマースの普及により、物流量が飛躍的に増加している。自社物流キャパシティー(処理能力)の多くをアマゾン以外の顧客に振り分けることで、それら顧客との関係を保持する。そんな狙いがあるのだろう。

 (参考・関連記事)「アマゾン、ウーバーの貨物版を米国でひそかに開始」

筆者:小久保 重信

JBpress

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