池井戸潤がホレた男の覚悟、物語もビジネスも「心を動かす」ことから生まれる

6月12日(火)6時0分 ダイヤモンドオンライン

『空飛ぶタイヤ』6月15日(金)全国公開 ©2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

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タイヤ脱落による事故の責任を負わされた運送会社が、リコール隠しの疑惑を抱えた巨大自動車会社に、捨て身の戦いを挑む——。豪華キャストが集結し、6月15日公開となる映画『空飛ぶタイヤ』は、ベストセラー作家・池井戸潤さんにとって初の映画化作品となる。池井戸さんの数あるベストセラー作品の中でも特に人気の高い本作の主人公は中小企業の社長だが、実は池井戸さん、中小企業を専門にM&A、事業再生のコンサルティングを手がけるアドバンストアイ株式会社の社外取締役として、今もビジネス界に参画している。映画公開を記念して、作品と事業に込める思いを語り合った同社社長・岡本行生さんとの対談を、前編に引き続きお届けする。(構成/大谷道子、撮影/佐久間ナオヒト)



長期的視点で事業を育てるために



池井戸 岡本さんの手がけた事業再生にも、面白い事例がいくつもあるんです。昔、メロンパンの会社を支援したことがありましたよね?


岡本 はい。バンで移動販売をしている会社を。今みたいにブームになる少し前ですが、メロンパン、個人的に好きだったもので(笑)。


池井戸 ある正月に、その会社がメロンパンを初詣の神社の前で売ろうとして、材料を大量仕入れして大量製造したのに、当日、雪が降ってしまった。ぜんぜん売れなくて、一気に経営が傾いて潰れそうになったとき、岡本さんは「こりゃいかん」とメロンパンの会社のアドバイザーになって買い手を探した。


 結果的にスーパーに売り込んで見事、救済に成功しました。しかも、そのときは売買成立まで完全に手弁当だった。


岡本 ありましたね、そんなことが。


池井戸 ね、ほとんどマンガですよ。こういう人間くさい会社です。僕が社外取締役として果たすことといえば、まあ、そういう事業内容に対するチェック機能なんでしょうけど、あんまり果たせていないような……。


岡本 いやいや。池井戸さんは僕らが、この案件をどうやっていこうか、この会社にとっていちばんいいことって何だろうと考える中で、つい近視眼的になりがちなときに、「こんな考え方もあるんじゃないの?」とか、ときには厳しく「そういう態度はどうだろうか」と、少し引いた視点で的確なアドバイスをしてくださって、それがすごく心に響くんです。


 たとえば、ある会社が買収されることになったとして、僕らは嫁入り先の会社との親和性を考え、1年くらいの短いスパンでいい融合ができるかどうかを考えることが多いんですが、池井戸さんはもっと長い視点を持っておられる。


「10年20年という単位で将来を見たとき、この業種はどうなんだろう?」「この事業だけで会社が生き残れるだろうか」と。皆、感謝していますよ。





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