アマゾン、物議を醸すAI技術で他社とは異なる方針

6月12日(水)12時0分 JBpress

アマゾン・ドットコムCEOのジェフ・ベゾス氏のお面をかぶり、同社の顔認証システム「レコグニション」に抗議するデモを行う人々。(2018年10月31日撮影、写真:AP/アフロ)

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 米アマゾン・ドットコムで、クラウドサービス事業「AWS」の最高経営責任者(CEO)を務めるアンディ・ジャシー氏は、顔認識技術の政府機関への提供が人権やプライバシー権を侵害すると懸念されていることについて、一定の理解は示したものの、同技術には有用性があるとし、今後も政府への提供を続けるとの方針を明らかにした。


連邦政府はルールを策定すべき

 アリゾナ州フェニックスで開催された技術イベントに登壇し、司会者の質問に答えた(米ボックスメディアの記事)。

 同氏は、「テクノロジーが誤った方法で使われる恐れがあるからといって、禁止すべきということにはならない。法を順守する政府機関であれば、我々は仕事をする」とし、その上で、「連邦政府が使用法について、明確なガイドラインを策定すべきだ」とも述べた。


人権擁護団がアマゾンを批判

 アマゾンのAWSが技術開発とサービスの提供を行っている顔認識・検出技術「レコグニション(Rekognition)」については、昨年、フロリダ州の警察などですでに導入されているとして、人権擁護団「アメリカ自由人権協会(ACLU)」が非難していた。

 米シーネットによると、アマゾンは、米移民税関捜査局(ICE)にもレコグニションの売り込みをかけているとして、非難されている。

 こうした非難に対し、アマゾンは「技術が誤用されているという報告は受けていない」と反論。

「(技術が)公共の安全を目的に使用されるべきものであることを記したガイダンスも併せて提供している」とし、「人身売買の被害者3000人以上を特定したという事例もあり、技術は有益な目的のために使用されている」とも述べている。

 同社のような顔認識技術の提唱者は、犯罪容疑者や行方不明児童などの特定を容易にし、公共の利益になると主張する。一方で、人権擁護団体は、技術は、いとも簡単に乱用され、移民や特定の人種、市民運動家などの言論の自由、活動の権利を侵害すると主張している。


マイクロソフトは提供を拒否

 アマゾンのレコグニションを巡っては、同社の株主が、政府機関への提供を禁止すべきとの提案を行ったが、今年5月の株主総会で否決されたという経緯がある。

(参考・関連記事)「アマゾンの顔認識技術、販売先を巡って株主が圧力」

 こうしたアマゾンの方針は、米マイクロソフトとは対照的だと、英ロイター通信は伝えている。マイクロソフトは米陸軍と4億8000万ドル(約520億円)のハードウエア納入契約を結ぶ一方で、人権が侵害される恐れがあるとの理由から、顔認識技術は販売していない。

 マイクロソフトは、カリフォルニア州の警察当局から、警官のボディーカメラや警察車両への顔認識技術の搭載を依頼されたが、誤認逮捕などにつながるとして、拒否した。顔認識システムでは、AI(人工知能)の学習過程で、白人の成人男性の顔画像を多く使う。このため、それ以外の人々では誤認識する恐れがあるという。

筆者:小久保 重信

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