無印良品がしまむらから学んだ現場への圧倒的な執着

6月13日(月)9時0分 ダイヤモンドオンライン


大企業病の真因は「セゾンの文化」にあった


 私は良品計画の既存店売上高伸び率が急降下を始めた2001年に社長に就任し、まずは「6つの原因」を特定して止血作業を始めた。しかし原因の背景には、もう一つ深い層から原因を生み出す「真因」があることに気がついてきた。そこに手を打たなければ勝ち残れる企業へと生まれ変われない。それは、「改革への取り組みそのものを社風とする」新たな社風づくりだった。


 6つの原因の排除に取り組みながら、「これで良品計画は本当に立ち直れるのだろうか」と感じることが多くなってきた。事業を悪くする原因を探ると、それだけではどうにもうまく説明できない事柄が次々と出てくるのである。


「本当の原因は別にある」。そう確信して探りを深めて突き当たったのが、我々が育った「セゾンの文化」だった。


 セゾンは、堤清二さんの文化と感性を駆使して類い希なマーケティング力を創造した企業である。それで西武百貨店は日本一売上の多い百貨店にもなった。しかし文化と感性の経営は、裏を返せば科学的なオペレーションの力が弱い。当時の最先端理論であったチェーンオペレーションも一応は展開するものの、現実は名ばかりで、それに代わって経験主義がはびこっていた。


 良品計画でも100のお店があれば、100人の店長のやり方があるような状態だった。不振店舗の改革に店長経験者が派遣されると一夜にして「その人の色」に切り換わってしまう。事業計画も企画中心で実行できたかどうかはあまり問われない。経験主義的なので組織の動きは個人中心であり組織的ではない。


「計画95%、実行5%」というセゾンの文化を、「計画5%、実行95%」へと根本的に改めない限り真の再生はないのではないか。「セゾンの常識は無印の非常識」くらい意識を変えないと根本原因を排除できない。その上で「負けの構造」から「勝ちの構造」へと転換していく必要があった。


 当時、小売業界分析ではナンバーワンだったアナリストからは、「松井さん、日本の専門店で一度凋落して復活した例はないですよ。まぁ頑張ってください」と皮肉を頂戴した。過去を見れば確かに彼の言う通りだ。だからといって止めるわけにはいかない。


 勝算があるのかどうかは分からない。とにかく、真因だと考えられるものを見つけたのだから直していくしかない。


 他社ながら「これはすごい」と感心させられたのがトヨタグループの取り組みだった。デンソーやアイシン精機なども含めたグループ企業から人を選び、「今、トヨタが学ぶべき会社」という活動を続けている。毎年、5チームぐらいが動いている。それを40年以上も続けているのだ。しかも、費用が労働組合から出ている。これこそが社風であり、自らを常に見直して改革している仕組みを絶え間なく強化しているのだ。


 ビジネスモデルは、10年もすれば必ず陳腐化する。私が社長として頑張って業績を立て直しても、また10年もすれば陰りが出てくるだろう。


 ならば、絶え間なく自己変革を続けていく社風、変化し続けなければならない仕組みをつくることこそが真の再生ではないか。そう考えるに至ったのだ。




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