アマゾンが失敗したフードデリバリー市場とは

6月13日(木)12時0分 JBpress

米小売り・IT大手アマゾンのロゴ(2019年3月4日撮影、資料写真)。(c)DENIS CHARLET / AFP〔AFPBB News〕

 ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどの米メディアによると、米アマゾン・ドットコムは、米国で展開しているレストラン料理の配達サービス「Amazon Restaurants」を6月24日で終了する。この市場は競争が激化しており、アマゾンは十分なシェアを得ることができなかったという。


新興企業がひしめく市場

 同社がフードデリバリーサービスを始めたのは2015年のこと。当初のサービス対象地域は、本社がある米ワシントン州シアトルだったが、その後、ロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコ、マンハッタン、ダラス、アトランタ、マイアミなどと対象地域を拡大し、英国ロンドンでも同様のサービスを始めた。

(参考・関連記事)「アマゾン、レストラン料理の配達事業を英国に拡大」

 これは、有料プログラム「Prime」の会員向けサービスで、スマートフォン用アプリなどでメニューを選んで注文すると、アマゾンの配送ドライバーが店で料理を受け取って顧客に配達する。配達までの所要時間は1時間以内で、料理にはサービス料を加えた特別価格などを設定せず、すべての注文の配達料は期間限定で無料にする、というものだった。

 しかし、この分野では買い物代行サービスの米ポストメイツ(Postmates)や、米ドアダッシュ(DoorDash)などの企業が同様のサービスを展開。配車サービス大手の米ウーバーテクノロジーズも、2016年に「ウーバーイーツ(Uber Eats)」の本格展開を始めるなど、数多くの参入企業があり、競争が激化した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、フードデリバリーは労働集約型のビジネスで、採算性が悪いという。ただ、新興企業は、調達した巨額の資金を使って、サービス地域を増やし、シェアを伸ばしている。例えばウーバーイーツは現在米国の300地域でサービスを展開。これに対しアマゾンは約20都市にとどまっている。ウーバーイーツの今年1〜3月期の売上高は、5億3600万ドル(約580億円)で、1年前から89%増加した。

 こうした中、アマゾンは昨年(2018年)12月、この分野で英国市場から撤退した。ウーバーイーツの英国事業など、同国競合との競争に直面し、思うように事業を拡大できなかったという(ウォールストリート・ジャーナルの記事)。


eコマースの巨人が過去に失敗した事業

 ウォールストリート・ジャーナルは、eコマースの巨人であるアマゾンが、この分野で失敗するのは珍しいと伝えている。同社は過去に、自社ブランドのスマートフォン「Fire Phone」を市場投入したが、大失敗に終わった。また、地域のレストラン、イベント、小売店のサービスを安価に提供するクーポン販売事業「Amazon Local」や、宿泊施設予約サービス事業「Amazon Destinations」も終了した。

(参考・関連記事)「米アマゾン、今度はオンライン旅行業に進出」


アマゾン、新たな分野に投資

 一方で、アマゾンは、新たな分野への投資を拡大させている。例えば傘下の高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」の商品をPrime会員に即時配達するサービスは、現在、全米88都市で展開している。

 5月には、英国のフードデリバリー企業「デリバルー(Deliveroo)」が実施する5億7500万ドル(約620億円)の資金調達を、アマゾンが主導すると発表された。デリバルーは、英国のほか、ドイツ、フランス、オーストラリア、シンガポール、香港、台湾など14の国・地域でサービスを展開している。その契約レストラン数は8万店で、契約配達員数は6万人いる。

筆者:小久保 重信

JBpress

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