ハラスメントを組織の中から予防する。日本ハラスメントリスク管理協会 認定講師の「仕事」に迫る。/認定講師紹介 Vol.2

2024年6月14日(金)9時0分 PR TIMES STORY

一般社団法人日本ハラスメントリスク管理協会は、ハラスメントを解消し品性のある組織つくりを目指すを理念として活動しています。

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)により2022年4月にすべての企業にパワハラ対策が義務化されたことを期に、当協会ではハラスメント対策講師の養成を開始しました。

2023年に第1期の認定講師が誕生してから、現在は35名まで認定講師が増え、北海道から九州の各地で活躍してます。

「ハラスメントになる基準がわからない」

当協会では民間企業や自治体、業界団体などで研修や講演を行っています。

受講者の皆さんからは感想とともに質問も頂きます。

「先日遅刻した部下に厳しく注意をしたのですがパワハラになるでしょうか」

「同僚の女性の服装を褒めてしまったのですが、セクハラにならないでしょうか」

「妊婦の身体に負担がかからないよう、他の仕事を提案したのですがマタハラにあたりますか?」

など、講師にハラスメントの判断を求められることが多くあります。

このような質問に対し、講師はハラスメントか否かの判断は致しません。

その言動の具体的な内容や背景が分からない中で発言することは無責任なことであり、誤った判断となる可能性もあるからです。

回答としては、当該事例についての判断は行わず、一般的な「判断の基準」をお伝えするに留まります。

研修や講演を一度聞いただけではハラスメントの基準の理解をし、実際の職場のさまざまな局面において応用するところまでは難しいでしょう。

ハラスメントかどうかの判断が難しいことは、厚生労働省による「ハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題」の調査結果からも明らかです。

(出所)2020年度 厚生労働省委託事業 「職場のハラスメントに関する実態調査(概要版)」 より一般社団法人日本ハラスメントリスク管理協会作成

「基準がわからない」から起こる弊害

ハラスメント対策が進む中で起こりやすい弊害としては「気を遣いすぎて叱れなくなる」ことです。部下にパワハラと思われそうで指導できないと答えた上司は46%というデータもあります(※1)。

上司など他者からの注意や指導に対して不快だと思った人が「ハラスメントだ!」と過剰に主張する「ハラハラ」や、「上司なのになぜ分からないんですか」と言うなど上司に対する「逆ハラスメント」も問題となっており、叱れない上司の増加に拍車をかけていることに繋がっているでしょう。

この状態が続くと、組織が健全に保てなくなります。

部下から受ける精神的な苦痛で上司が退職をしたり、上司が叱ってくれないので成長できないと部下が退職することにもなります。組織の「良くないことを正す」という機能が崩壊してしまいます。

そうならないためにも、指導とハラスメントの基準は上司も部下も適切に理解しておきたいものです。

※1 Humap(株式会社アスマーク)「上司に聞いた"叱責"に関する実態調査」(2022)

自分たちで判断できるようになるために、企業ごとに専門家を

ハラスメントの基準の理解をして実務に応用ができること、つまり判断できるようになることが重要です。一人ひとりが繰り返し考える機会を持ち、基準を徐々に明確に・強くしていくことです。

ただ、これを個人の意思や努力に任せることは無理があります。

当協会では、1つの会社や学校、病院などその組織に1名、ハラスメントに詳しい人材がいることが理想と考えています。

社員や職員が迷ったときに相談に乗る、ハラスメントに関する理解促進の研修を行う、資料を作成し展開するなどを担ってくれる人がいると良いでしょう。

指導とハラスメントの判断基準が分からないまま部下を叱ったり、ハラスメントの相談窓口担当になったがどのような対応をしたら良いか分からないというような状態は好ましくないと考えます。

「困ったら、まずはあの人に聞いてみよう」という存在がいれば、社員や職員の不安は軽減され安心に繋がるのではないでしょうか。

コンプライアンスや人事の担当者の活躍

2024年6月現在、35名の認定講師が活躍しています。

弁護士、社労士、中小企業診断士など士業の方。損害保険会社、メーカー、商社などの企業の方。独立されている研修講師の方などです。このうち約2割の方がコンプライアンスや人事の業務に携わっており、組織の中から良くすることに力を注いでいます。

一般社団法人日本ハラスメントリスク管理協会認定講師内訳(2024年6月10日時点)

今回は企業でコンプライアンス業務を担当され、組織のハラスメント予防にも力を注ぐ2名を紹介します。

■第3期認定講師:神垣 健一(かみがき けんいち)さん

【プロフィール】

三菱食品株式会社 コンプライアンスグループ勤務。

新卒で同社に入社し、17年間法人営業を経験する。その後コンプライアンスグループに異動し、コンプライアンス案件の調査対応やハラスメントのない職場に向けた教育啓発の業務を担当している。

【神垣さんコメント】

弊社は本社のコンプライアンスグループが全体を管轄するのと同時に、組織ごとに組成した約20のブロックがそれぞれ自走し、コンプライアンス活動をしています。私たちコンプライアンスグループはそのブロックごとの教育啓発活動をサポートしたり、各ブロックの優良事例を横展開するなどの統括業務を行っています。

これまでも全社で行っているeラーニングにおいてハラスメント防止に関する知識を学ぶ機会はありましたが、社員それぞれが「ハラスメントを自分ごととして捉え、ハラスメントについて考える機会」をもっと作る必要があると思っていました。ある時、日本ハラスメントリスク管理協会が講師養成を行っていることを知り、社内に講師がいれば、ハラスメントに関する社内研修やセミナーをフレキシブルに実施できるのではと考え、トレーニングを受けて認定講師となったのです。

普段は各ブロックからの要請を受けた時や、新入社員を対象にした研修を行っており、「自分ごととして考えてもらう」ため、私からの一方的な話にならないように気を付け、グループワークの導入や積極的な質問の投げかけなどの工夫を心掛けています。

受講者からは「自分が嫌だと思ったらパワハラやセクハラになると思っていましたが、違うことが理解できました」「ハラスメントの基準が明確になりました」のような声をもらっています。 

当社には4000人以上の社員がいます。これだけの人がいれば、どうしても合わない人はいるでしょうし、些細な衝突や行き違いも生まれるのは仕方がないと思っています。こうした行き違いなどが発生したときの対処法を学ぶことで、問題が大きくなる前に自部署で解決できるようになってくれると嬉しいです。

認定講師になってからも、社内のハラスメント対策をさらにアップデートするためにも学びを深めたいと思い、協会が開催する認定講師向けの勉強会にもできるだけ参加するようにしています。今まで社内での人間関係には恵まれていて、尊敬する上司や先輩、大好きな同僚や後輩がたくさんいます。そんな会社の仲間が心地よく働ける職場をつくるためにも、もっともっと自身の知識とスキルを高めていきたいと思っています。

写真:社内研修の様子

■第6期認定講師:篠原 智彦(しのはら ともひこ)さん

【プロフィール】

伊藤ハム米久ホールディングス株式会社 管理本部 コンプライアンス室 室長。

新卒で同社に入社後、工場勤務を経て労働組合の専従者となり組合の委員長となる。その後復職し2016年よりコンプライアンス室にて勤務。コンプライアンス違反が発生しない仕組み作りを行う。

【篠原さんコメント】

ハラスメントに関する事例や知識などは調べれば分かりますが、伝える側の技術が高ければ、限られた時間でも聞き手に十分な理解を促せます。部門の責任者として伝え方を学ぶことは、社内教育の質の向上に加え、メンバー育成にも有効だと思い、認定講師となることを決めました。

世代間のギャップだけでなく同じ年代でもいろいろな価値観の人がいますし、自分の価値観を表現しやすい時代になってきました。

また、労働人口が減っている中で、当社も外国籍の人材の力を借りています。現在はグループ会社含めて1,000名以上が働いています。生まれ育った環境や価値観も違うでしょう。それぞれの価値観は認めつつも、当社の考えとしてはこう、ということを伝えていくことが重要だと考えるのです。

ハラスメント対策の例として、当社で働くすべての社員に年1回、動画を観てもらっています。寸劇仕立てにしていて、コンプライアンス室のメンバーが出演し作成しています。「これをやってはいけない」というメッセージではなく、「どう伝えれば良かったんだろう」と考えてもらう内容です。

禁止のメッセージを伝えすぎると、管理職が指導できなくなります。必要な指導は不可欠であり、ハラスメントとは違うことだと伝えています。

加えて意識調査も年に1回実施。自由記述の項目も設け、課題の分析・把握をして、先述の動画のメッセージも現場の課題に合わせて都度変更、改善しています。手を変え、品を変え、より伝わるにはどうしたらよいだろうと常に頭を悩ませていますね。

コンプライアンス活動を通じて、エンゲージメントを本質的に高めることが今後の構想です。表面上だけ高まっても、言いたいことを我慢したり、好ましくないことを通報せずに隠蔽したりすることにも繋がりかねません。

働く個々人がチャレンジしたいことに取り組め、堂々と仕事ができる状態にしたいと思っています。ハラスメントを怖がらずに部下を育成できる上司、叱られたらまずは自分の至らないところを直そうとする部下。成長できる職場にするための仕掛けを行いたいです。

写真:打ち合わせの様子

さまざまな規模の会社・業種・職種におけるハラスメントの解消

神垣さん、篠原さんは社内のコンプライアンス教育を進める立場。所属する企業は異なれど、社員のハラスメントに対する理解と意識をより向上させたいという同じ想いをお持ちでした。

当協会にはコンプライアンスに明るいお二人以外にも、人材育成や労務に詳しい人事の方など業界や地域を問わず、多様な経歴を持つ認定講師がいます。

定期的に現場の情報を持ち合い、意見交換する機会を設けながらハラスメントを多面的に理解する環境が整っています。今後も当協会は、認定講師の皆さんと力を合わせ、日本中の組織のハラスメント解消・予防のための活動を強く推進していきます。

認定講師養成講座

協会が監修する「職場のハラスメント対策講座」を行うスキルを身に着ける講座。

2日間で講座で必要な知識と、講師としての話し方・伝え方をトレーニングするプログラム。毎月の勉強会などフォローアップがある。

*ハラスメント対策講師養成講座

https://harassment-rma.jp/course/traning/

*認定講師一覧ページ

https://harassment-rma.jp/instructor/

一般社団法人日本ハラスメントリスク管理協会

■理念 

ハラスメントを解消し品性のある組織つくりを目指す

■事業概要

・ハラスメントのリスクに関する公開講座の実施

・上記講座を開講できる講師の育成

・各組織へのカスタマイズ研修

・講演 など

■運営メンバー(参事:50音順)

 阿部淳一郎(あべじゅんいちろう)

 榎本あつし(えのもとあつし)

 白石明彦(しらいしあきひこ)

 野崎正明(のざきまさあき)

■所在地

東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5F

■ホームページ

https://harassment-rma.jp/

■お問い合わせ

https://harassment-rma.jp/contact/


行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

PR TIMES STORY

「ハラスメント」をもっと詳しく

「ハラスメント」のニュース

「ハラスメント」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ