“強気の姿勢”がネットで話題に。星野源「ガセ不倫情報」への所属事務所対応に見る、称賛点と注意点

2024年6月15日(土)20時50分 All About

星野源さんをめぐる臆測投稿に対して、所属事務所の対応が話題となりました。名誉毀損での法的措置も辞さないと強い姿勢を明確にしたことで、ネット上では称賛の声が上がったのです。※サムネイル写真:つのだよしお/アフロ

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芸能事務所のアミューズが、所属タレントである俳優で歌手の星野源さんに関する根も葉もない不倫の話と、そのもみ消し工作をにおわせるSNSインフルエンサーの書き込みに対し、強く抗議をしたことが話題となりました。
インフルエンサーの書き込みでは星野さんの名前こそ記されていなかかったものの、その書きぶりから明らかに星野さんに言及したものと判断される内容でした。
事務所がすぐに、断固たる姿勢で名誉毀損での法的措置も辞さずと強い姿勢を明確にしたことに対して、ネット上では称賛の声が上がっていました。
新たなメディアとして、内容によってはその影響力が無視できないSNSやYouTube等の個人ネットメディアへの企業広報対応は、マスメディアとは異なる難しさがあるように思います。
今回の一件を参考にしながら、その対応のあり方について考えてみます。

大きな社会的責任を負っていない“個人”

従来、新聞や雑誌などの大手メディアに対する企業広報対応は、基本は1対1のクローズドな対話で行われるのが一般的です。
具体的には、誤った報道や悪評につながるような作為的な報道があった場合には、まずはその報道機関に対して直接問い合わせやクレームを入れ、訂正記事や謝罪文の掲載を求めます。
その過程を経てなお、企業側の申し入れがかなわず問題が解決を見ない場合に、最終的に法的措置を講じるという流れです。
相手は基本的に報道をなりわいとする新聞社や社会的責任を帯びた出版社等であり、クレームを申し入れる場合でも、紳士的な対応を基本として訂正や謝罪を求めるというのがあるべきやり方なのです。
しかしSNSやYouTubeは、企業がPR目的等で発信しているものを除けば、大半がいわゆるブロガー、インフルエンサー、YouTuberなどと呼ばれる、ある意味で大きな社会的責任を負っていない“個人”であり、それ故に対応には対新聞や雑誌とは異なる注意が必要になると考えます。

DMを送ること自体のリスク

ひとつは、直接ダイレクトメッセージ(DM)等でクレームを申し立てることは可能ではありますが、その行為自体にリスクがあることを意識するべきということです。
最大のリスクは、ネットの世界では話題を呼んだ書き込みやつぶやき、動画は、即座にリポストやシェアなどにより拡散され、たとえそれがデマ情報であっても真偽の確認などすることもなく、多くの利用者によってあっという間に広まってしまうということです。
その意味では、今回アミューズが問題発生直後に企業としての反論メッセージを公表したという迅速な対応は、至極正しい判断であったと思います。
彼ら個人の発信者に対して、新聞社や雑誌社に対するのと同様の考え方で1対1のクローズドな対話手段であるDMを差し向けたとしても、デマ情報の拡散を止めることには無力であるといえるでしょう。
DMが発信者に全く無視されるという可能性も十分あるでしょうし、最悪のケースは企業側からの抗議文をネット上等で公開され、先方の悪意ある反論や論理のすり替えが加わることで、企業側にとってかえってマイナスイメージの拡散リスクが生じかねない、という可能性もあるのです。

かえって炎上する危険も

今回のように当該企業が自社のホームページ等で反論メッセージを出す場合にも、業種によっては注意が必要になるでしょう。
当事者がアミューズのような芸能プロダクションや、BtoB企業で直接消費者イメージを気にする必要のない企業の場合には、かなり強めの物言いでコメントを出しても問題になるケースは少ないでしょう。
しかし、食品や消費材を扱う企業や一般消費者向けのサービス業などの場合には、強すぎる表現をすることで「横暴な企業」「荒っぽい企業」とも受け取られかねず、それが元でかえって炎上して「買い控え」などの消費者行動につながることもあるので、注意が必要です。
今回出されたアミューズのコメントで申し上げれば、「名誉毀損などの違法行為については、当社あるいは当該アーティストにて、法的措置を含む対応を検討いたします」などは、至極まっとうな物言いではあります。
しかし、受け取り様によっては誹謗中傷に対して受けて立つというケンカ腰の姿勢にも受け取られかねず、消費者向け企業の場合には炎上回避の観点から、表現は少し丸みを持たせる必要があるように思われます。
また同社は本件に関して、名誉毀損投稿のリツイート(現在のリポスト)についても法的責任が生じることがあると言及したこと、さらにはSNSへの書き込みやDMで誹謗中傷を繰り返す行為が「つきまとい行為」に該当する場合もあるとの、第2弾コメントを掲出しています。
これは、迷惑行為と受け取られる書き込みをした本人以外の不特定多数に対して、敵対的とも受け取られかねない発言でもあるのです。
筆者は、消費者向け企業の場合には、ここまで言及するのは少し強すぎるのではないかと考えます。
新聞、雑誌にどのような迷惑記事を書かれようとも、読み手はあくまで読み手であり、それ以上の何者でもありませんでした。
しかし、ネットで情報が次々共有される今の時代は、読み手は必ずしも読み手で終わることなく、時には情報を拡散する役割を担ったり、また時には企業側のコメントに対して反論や非難を発信する可能性も秘めてもいます。
その観点から未然防止を考えた抑止力として、アミューズのような強いコメントも必要な場面はあると思います。
しかし企業によっては、強すぎるコメントや姿勢を示すことがかえって多数の消費者を敵に回すリスクが生じるので、対応には常にネットでの反応を先読みする慎重さが求められるということも忘れてはならないでしょう。

大関 暁夫プロフィール

経営コンサルタント。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントや企業アナリストとして、多くのメディアで執筆中。
(文:大関 暁夫(組織マネジメントガイド))

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