とにかく「無駄」を減らすべし。会議の生産性を最大化する3つのポイント

6月15日(金)6時30分 lifehacker

『グーグル、モルガン・スタンレーで学んだ 日本人の知らない会議の鉄則』(ピョートル・フェリクス・グジバチ著、ダイヤモンド社)の著者はポーランドに生まれ、2000年に来日して以降はモルガン・スタンレー、グーグルなどで数々の実績を残してきた人物。現在は2社の経営に携わっています。

以前にも『Google流 疲れない働き方』(SBクリエイティブ)をご紹介したことがありますが、新刊である今作のテーマは、ずばり「会議」。数々の実績を軸として、「効果的な会議運営のノウハウ」を論じているわけです。

会議には一定の「ルール」や「仕組み」が必要。ところが多くの人は、日々会議を行っているにもかかわらず、それらの「コツ」を一度も習ったことがないと著者は指摘しています。だから、不満を抱いていても変えられないというのです。

とはいえ、ルールや仕組みだけを学べばすべてが解決するというわけでもないそうです。なぜなら、会議を変えるために必要なもうひとつの重要なスキルである「葛藤のマネジメント」が抜け落ちているから。どういうことでしょうか?

会議とは、必ず複数人で行うものです。個性も考え方も異なる多様なメンバーが意見を交わすと、そこにはおのずと「葛藤(=コンフリクト)」が生まれます。会議は本質的に、「甲藤」の場なのです。(「はじめに」より)

なお、「葛藤」は必ずしもネガティブなものではなく、端的にいえば「いい葛藤」と「悪い葛藤」があるのだそうです。よりよい答えを導くために「アイデア」同士がぶつかるのが「いい葛藤」。アイデアではなく、話し合っている人の「感情」同士がぶつかってしまうのが「悪い葛藤」だということ。

しかし、日本人は両者を混同してしまっているように思えます。「和を以って貴(とうと)しとなす」という感性も影響しているのか、感情レベルの葛藤を恐れて、何らかの意見を表明することすら、できなくなっているのです。だから、生産性が低い会議だとわかっていながら、そのまま放置されてしまう。いまの日本の会議に必要なのは、感情レベルの葛藤ではなく、アイデアレベルの葛藤を増やすよう、マネジメントするという視点ではないでしょうか。 (「はじめに」より)

こうした考え方に基づいた本書のなかから、きょうは第2章「『進行』の鉄則 生産性を最大化する9のルール」のなかから、3つのポイントをピックアップしてみたいと思います。

「資料」の鉄則:ローカルでの作業とメール添付一切禁止著者はグーグルドキュメントを多用しているそうですが、それは「クラウドで共有することで、資料をやり取りするタイムロスをできるだけ削減したい」という理由があるから。

クラウドが登場する以前は、「資料を編集し、最新バージョンをメールで送り、指摘があればそれを修正して、またメールで共有する」という煩雑なプロセスが発生しました。しかし、せっかくこんなに便利な時代に生きているのだから、資料はすべてクラウドで共有するべきだという考え方。最新のデータが常にクラウドにアップされているのであれば、資料のバージョン管理に気をとられることもなくなるということです。

会議の間もPCの画面をスクリーンに映し、議論の内容をリアルタイムで書き込んでいけば、その場でゼロから資料の大枠を作成したり、ブラッシュアップしたりすることも可能。あらためて共有する手間も必要ないわけです。

資料の作り込みに関して言えば、日本の企業はとにかく時間をかけて「完璧なものを出さなくては」と思い込んでしまいがちです。けれど、プロトタイプでもいいので資料を会議に持ち込んで、自分では気づけなかった視点や、新たなアイデアを盛り込んでもらう方が、実際ははるかに効率的です。とにかく、細かなデザインはすべて後回しが基本。チーム内では「内部向けの資料は汚いくらいでちょうどいい」ぐらいの思い切った割り切りが必要でしょう。(61ページより)

たしかに、資料をきれいにつくり込んでくるメンバーがひとりいると、まわりのメンバーも「私もそれくらいやるべきなのかな」と引きずられてしまうもの。だからこそ、資料のクオリティに対する期待値のすり合わせは、個人の判断に任せず、統一した見解をチーム内でつくるべき。それが、生産性アップにつながるという考え方です。

ちなみに著者がクラウドのサービスを勧めると、必ずといっていいほどセキュリティの問題を指摘されるのだそうです。しかし、いまの時代、ほとんどの業種でオフィス外へのPCの持ち出しを全面禁止することは不可能です。

もし仮に、資料をローカルに保存したPCを100人の社員が持ち出せば、100の漏洩リスクが生じてしまうわけです。でもクラウドであれば、ローカルにデータを保存させず、万が一PCを紛失したときも大元のデータでアクセスを管理すればOK。つまり、どちらが安全かは考えるまでもないということ。(60ページより)

「議事録」の鉄則:議事録は会議中に終わらせろ会議が終わった数日後に「先日の会議の議事録です」と書かれたメールが届いたものの、そのときには、すでになんの会議だったか思い出せないーー。そんなことは、よくある話。けれど、会議が行われた2、3日後に送られてくる議事録なんて無駄だと著者は断言します。議事録をつくるために費やす時間も、会議の内容を思い出そうとする時間も、生産性がとても低いというのがその理由。

僕がオススメしたいのは、会議中に議事録をすべて終わらせてしまうことです。ノートテイカー(議事録係)のPCを会議室のプロジェクターにつないで、スクリーンに映し出す。そして、アジェンダをベースとしてリアルタイムで議事録を作れば、参加者全員が、今、何を話して、どんなことが決まったのか」を理解することができます。それに、ホワイトボードに板書する係と、議事録を作る係と、二人も「書く係」に設定する必要もありません。書く係に任命されると「考えなくてもいい係」になりがちですよね。貴重な時間なのに、二人も「言葉を発しない人」がいるなんて、もってのほかです。(64ページより)

議事録をつくるのは、もちろんクラウドのグーグルドキュメントで。共有のURLを参加者全員に知らせておけば、メールを送る手間すらないわけです。しかも最新の議事録を常に上書きしていくかたちにしておけば、ファイルもひとつで済んで見やすいはず。

なお、意外なことに著者はホワイトボードもよく使うそうです。なぜなら構造化が必要なアジェンダには、ホワイトボードが向いているから。クラウドが便利だとはいえ、図にして構造を整理し、要素ごとの関係性を整理することには不向き。図示するなら、ホワイトボードに書きなぐってしまったほうがスピーディに議論が進むということです。

そして書きなぐった図は、写真に撮って議事録にすぐ挿入。こうしたホワイトボードとの連携という点において、議事録はグーグルスプレッドシート(エクセルと形式が近いフォーマット)ではなく、グーグルドキュメント(こちらはワードに近いもの)のほうが使い勝手がよいといいます。

議事録には、長々と経過を書く必要はないそうです。書くべきことはシンプルで、

・決まったこと(必要に応じて議論の経過)

・次のアクション(誰が、いつまでに、何をやるのか)

の2つのみ。どこが重要なのかひと目でわかるように、著者はよく「次のアクション」だけ赤字にしたり、色を使い分けているそうです。(64ページより)

「プレゼン」の鉄則:紙は一枚も配るなプレゼン資料のつくり方、話し方については、テクニック以上に重要なのが「なにをゴールとしたプレゼンなのかを明確にする」ことだと著者は強調しています。

多くの日本企業とやり取りしていて感じるのは、「スライドを完璧にする」ことにばかり気をとられてしまい、ゴールが曖昧になってしまっているということ。意思決定をゴールとするなら、判断材料としてわかりやすいデータが用意されていればいいし、情報共有をゴールとするなら、伝えたいキーメッセージさえ明確になっていればいい。思い切って絞っていきましょう。 どんなゴールにせよ、何十枚もスライドを並べる必要はありません。無駄な時間は一秒でも削って、有意義なアウトプットを増やしましょう。(75ページより)

かっこいいスライドを作ることや、構成に各担当者が毎回頭を悩ませるのは、もったいないこと。本質的なことに集中するためにも、リーダーはメンバーにテンプレートの利用を促すのが得策だといいます。

また、プレゼン資料の「見せ方」も見過ごされがちなポイント。参加者が、配られた資料にばかり意識を集中させてしまうと、空気が重たくなっていくもの。だったらいっそ、紙の資料は一切配らず、正面のスクリーンに注目してもらうべきだというのです。

そうすれば、資料の先を急ぐ人もいないため、聞き手のアテンションをコントロールしやすくなります。表情や声のトーンなども伝えられるので、顔を突き合わせて会議をする意味が生じるというわけです。「資料に書かれていない情報を伝えられた者こそが、プレゼンを制すのです」という著者の言葉は、記憶にとどめておきたいところです。(75ページより)

著者が言うように、会議のあり方に疑問や不満を抱いている人は決して少なくないはず。効率的で実のある会議を実現するために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

lifehacker

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