クロマグロの水揚げ量「6年連続1位」はどこ?楽天・球団社長から“寿司店の経営者”に転身した男が語る、意外と知らない「日本一の港町」とは

2024年6月16日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

クロマグロの水揚げ量「6年連続1位」はどこ?楽天・球団社長から“寿司店の経営者”に転身した男が語る、意外と知らない「日本一の港町」とは

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東北楽天ゴールデンイーグルス社長として「日本一」と「収益拡大」を達成し、現在は、宮城県塩釜市の廻鮮寿司「塩釜港」の社長として活躍中の立花陽三さん。その取り組みの根底には、「塩釜を日本一の寿司の町にしたい」という強い思いがある。今回は、立花さんの初の著書『リーダーは偉くない。』刊行に合わせ、飲食店の経営という新しい世界にチャレンジをした理由を伺った。(聞き手は、『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉氏)

Photo:Adobe Stock ※写真はイメージです

6年連続で「クロマグロ水揚げ量日本一」の地域とは?

——外資系金融からプロスポーツチームの経営にチャレンジした立花さんは、いまは宮城県塩釜市の寿司店の社長を務めていらっしゃるんですよね。

立花陽三(以下、立花) はい、そうなんです。東北楽天ゴールデンイーグルスの社長時代に、塩釜市にある「鹽竈しおがま神社」へ必勝祈願の参拝にたびたび行っていたのですが、その折に「めちゃくちゃ美味しい寿司店がある」と紹介されたのが、廻鮮寿司「塩釜港」でした。

 そこで初めて食べたときに、そのあまりの美味しさと、創業者の鎌田秀也さん・奥様の浩子さん夫妻の人柄に感動して、それから何度も通い詰めました。

 その鎌田さんから「立花さんに社長になってもらって、塩釜港を成長させてほしい」と打診されたのがきっかけで、いまに至るわけです。

——なるほど、そんな出会いがあったんですね。

立花 実は、塩釜漁港は6年連続(2017〜22年)でクロマグロの水揚げ量が日本一で、年間約1400トンも獲れるんです。

 でも、その事実が全然世間に知られていないので、宮城県に来た観光客はだいたい牛タンを食べて帰ります。これは非常にもったいない。そう感じました。

 そこで、社長になるにあたって思い描いたのが「塩釜を日本一の寿司の町にする」というストーリーでした。「クロマグロ水揚げ量日本一」という事実をもっとアピールして、美味しいお寿司を目当てに観光客が集まるようになれば、塩釜という地域全体が盛り上がると考えたんです。

 2022年10月に仙台店、今年2月には東京銀座店をオープンしていて、いまは海外に打って出る準備も進めています。

「感動やワクワク」のない店はリピートされない

——「飲食業界」という新天地でのビジネスで気をつけていることはありますか?

立花 感動やワクワクのないお店は、長続きしないと思っています。どんなにデザインを頑張っておしゃれな雰囲気を作っても、それだけだったら1回来て終わりですよね。人の心には残らない。

——確かに。リピートはしないですね。

立花 では、「もう一度来たい」と思わせる要素は何かというと、やっぱり味とサービスなんです。

 味については、塩釜で手に入る海鮮はピカイチなので全く心配ありません。問題は「サービス」でした。表現が難しいですけど、寿司職人には独特の価値観があって、ある意味でプロ野球選手にも似ている面があるんです。

——寿司職人とプロ野球選手、どこが似ているんでしょうか?

立花 野球選手の仕事は「野球をすること」ですが、応援してくれる人・観てくれる人あってのプロスポーツです。ファンがいない・テレビ放送がない・誰も取材に来ない。もしこんな環境だったら、野球をやる意味がありません。

 このことをきちんと理解せず、「野球さえやっていればいい」と勘違いしている選手が少なからずいますが、実は寿司職人の中にも「俺は寿司だけ握っていればいい」という発想の人がいるんです。

「殿様商売」の時代は終わった

——なるほど。「技術さえ極めればいい」というような感じですね。

立花 そうなんです。でも、サービス全体の質を考えたら、時間があるときには職人にもテーブルを拭いたり、会計に入ったりしてほしい。そして何より、お客さんを嫌な気持ちにさせないような態度を心がけてほしいんです。

 つまり、寿司のことだけではなく、お店全体のことに気を配ってもらう。このマインドチェンジをしてもらうのに非常に苦労しました。でも、この点に切り込まないと、ファンを増やすことができません。

 「味さえよければ客は集まる」というのは大間違いだと思うんです。どんなに美味しくても、職人の態度が悪かったら再訪はありません。プロ野球だって、ファンサービスをせずに、ファンから遠く離れた存在として「殿様商売」をやる時代はもう終わっています

 どうすればお客さんに満足していただけるか。それを第一に考えるお店が地域全体として増えていけば、塩釜がもっとにぎわいのある町になると確信しています。

(本稿は、『リーダーは偉くない。』の著者・立花陽三さんへのインタビューをもとに構成しました)

立花陽三(たちばな・ようぞう)
1971年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、新卒でソロモン・ブラザーズ証券(現シティグループ証券)に入社。1999年に転職したゴールドマン・サックス証券で実績を上げ、マネージング・ディレクターになる。その後、メリルリンチ日本証券(現BofA証券)を経て、2012年、東北楽天ゴールデンイーグルス社長に就任。星野仙一監督をサポートして、2013年に球団初のリーグ優勝、日本シリーズ制覇を達成。2017年には楽天ヴィッセル神戸社長も兼務することとなり、2020年に天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会で優勝した。2021年に楽天グループの全役職を退任したのち、宮城県塩釜市の廻鮮寿司「塩釜港」の創業者・鎌田秀也氏から相談を受け、同社社長に就任。著書に『リーダーは偉くない。』(ダイヤモンド社)がある。


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