「極ZERO」なぜ再発売? サッポロ 「世界初の製法」裏目か

6月18日(水)11時48分 J-CASTニュース

「第3のビール」ブームを作ったサッポロ、「第3のビール」でつまずく(画像はサッポロビールホームページより)

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   サッポロビールは、価格が安い「第3のビール」として販売してきた「極ZERO(ゴクゼロ)」を、より割高な発泡酒として2014年7月中旬に再発売する。その理由が、国税庁から「第3のビールではない可能性がある」と指摘を受けたためというから、大手メーカーの製品としては異例だ。



   ビール類の税率は、酒税法で細かく定められており、「世界初の製法」を採用する過程で、国税当局と食い違いが生じた可能性があるというが、せっかくのヒット商品が思わぬ形でつまずいた格好で、経営への影響も懸念される。



「詳細は説明できない」


   低価格を武器に、年々販売量を伸ばしている「第3のビール」。350ミリリットル缶当たりの酒税額は28円で、ビール(77円)、発泡酒(46.98円)に比べて少ない。税額は麦芽比率など原料や製法によって決められる。各社が開発に力を入れた結果、ビールに近い味を実現し、今やビール類全体の36%以上を「第3のビール」が占める。


   「第3のビール」ブームを作ったのは、他ならぬサッポロだった。2004年、原材料に麦芽を使用せず、エンドウ豆由来の「エンドウたんぱく」を利用した「ドラフトワン」を全国発売し、瞬く間に大ヒット。その後、サッポロは「麦とホップ」もヒットさせたが、キリンビールの「のどごし<生>」やサントリー酒類「金麦」などに押され気味だった。劣勢を跳ね返す「切り札」として、開発に4年をかけ昨年6月に市場に送り込んだのが「極ZERO」だ。


   「極ZERO」は「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」を世界で初めて実現した商品だと謳い、健康志向の消費者をとらえた。「麦芽、大麦、ホップの使用量を最適化し、プリン体フリー原料を組み合わせた独自の製造方法」だという。


   「第3のビール」として認められる条件は麦芽比率以外にも細かく設定されている。条件をクリアしているかどうかを巡り、国税当局と見解が異なった可能性がある。今年1月、国税庁から照会を受け、社内で製造方法や法令解釈の自主検証を行ってきた。サッポロは「第3のビールに該当すると認識している」としているが、もし該当しない場合は顧客の混乱が避けられないため、自主的に販売終了と再発売を決めた。ただ、具体的に何が問題なのかなど詳細は「製品開発上の営業秘密のため説明できない」としている。



小売価格は20〜30円上がる見込み

   税金の扱いは最終的には決着していないが、もし第3のビールに該当しないとなった場合はビールと同等として税金を計算し直す必要がある。極ZEROは昨年6月の発売から12月末までに当初目標を6割上回る358万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を販売しており、1缶(350ミリリットル)につきビールの77円と第3のビールの28円の差額49円を追加納税するとなると、その総額は116億円にもなる。116億円といえば、持ち株会社サッポロホールディングス(HD)の最終利益(2013年12月期94億円)が一気に吹き飛ぶ規模で、経営への影響は重大だ。極ZEROの販売終了を発表した翌日の6月5日、東京株式市場ではこれを懸念した投資家の売りが膨らみ、サッポロHD株は前日比6.5%安で取引を終えたのも当然だろう。


   懸念は追加納付だけではない。値上げによる販売数量の減少だ。発泡酒への変更によって、現在140円前後の小売価格は20〜30円上がる見込み。サッポロは今年の極ZEROの販売目標を550万ケースとし、5月までは想定を上回るペースで推移していたが、値上げにより、当初想定より2割減少すると修正した。ただ、発泡酒市場は第3のビールに押され、最近は右肩下がり。果たして想定の範囲の落ち込みで食い止められるか。懸念は尽きない。

J-CASTニュース

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