バンダイナムコ社長「残りの人生は立ち食い蕎麦屋をやりたい」

6月19日(金)7時0分 NEWSポストセブン

「ガンプラ」(ガンダムのプラモデル)で知られるバンダイと、1980年代に一世を風靡したゲーム「パックマン」「ゼビウス」などで知られるナムコが2005年に経営統合して生まれた、バンダイナムコホールディングス。


「妖怪ウォッチ」グッズの大ヒットなどで、2015年3月期連結決算は売上高が約5655億円、営業利益も過去最高の約563億円となった。ノンフィクション作家の杉山隆男氏が、同社の石川祝男社長(60)に迫った。


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〈穴の奥から次々とあらわれては迫ってくる5匹のワニをハンマーで叩く「ワニワニパニック」。


 ゲームセンターやデパートのアミューズメントコーナーの定番で、熟年から子供まで一度は目にしたことのあるゲーム機だろう。登場から26年を経てなお人気のこのアーケードゲームを開発したのが、バンダイナムコホールディングスの社長を6年あまり務め、近く会長に就任する石川祝男氏である〉


──バンダイナムコは全社員を対象としたキャラクターの公募制度を設けるなど、誰もが企画提案をしやすい雰囲気だといいますが。


石川:私も7〜8年ぐらい前に思いついて、「人生やり直し計画」ってタイトルでゲームソフトの企画を出したことがあるんですよ。


 人生にはいろんな場面で分岐があるじゃないですか。たとえば別の大学に行ったらとか、違う女性と結婚したらどうだったろうとか、それをフローチャート上で全部分岐させていって、あのときにこうすれば、こうなってたよ、みたいな場面をつくっていくんです。


 僕はおもしろそうだなと思って、自分で企画書を書いて、ゲームのほうの社長にプレゼンしたんですが、却下されちゃった(笑い)。


──どうしてですか、おもしろいじゃないですか。


石川:だけど、それって、やっぱり歳を重ねた人だからこそおもしろいのであって、若い人に買ってもらおうっていうのは無理がある。


──60歳を超えていたら、せめてゲームの中で別の人生を楽しみたいって思っている人は、僕も含めて少なからずいますよ。だからぜひ復活させてください。実際に違う人生を歩んでいたら、と思うことはありますか。


石川:(にこっと笑って、即答する)考えないようにしてます。


──なぜです?


石川:実は、60歳になるちょっと前までの1年がすごく嫌で嫌で。60歳になったいろんな人に、どうだったって聞いて回ったんですよ。


 ある人は、単なる通過点だよっていうし、やっぱり60歳は重いねっていう人もいるし、そこからもう考え方を変えて、今年のお正月あたりから、60歳になるんじゃなくて、3回目の成人式を迎えるんだという発想に変えたんです。


 ですから質問の「もし違う人生だったら」とは考えなくて、3回目の二十歳からの、次の20年をどうしようかと。


──どうするんですか?


石川:最初の成人式からの20年、つまり20歳から40歳は就職や結婚があって、無我夢中で家族のため会社のための20年でしたよね。次の40歳から60歳までは、バンダイナムコの統合があったし、まさしくどっぷり会社のために使った20年でした。


 で、今度の60歳から80歳は、ま、前半ちょろっとはまだ会社のことがあるのでしようがないとしても(笑い)、残りはもう全部自分のために使いたいなって考えるようにしています。


──自分のために何をしますか?


石川:本気で立ち食い蕎麦屋をやりたいなと思っています。


──えっ?


石川:料理が好きなんです。でもこの歳で本気で日本料理店はやれないし。立ち食い蕎麦って面白そうじゃないですか(笑い)。


※週刊ポスト2015年6月19日号

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