日本メーカーも注目、自動運転技術の学校ユダシティ

6月22日(木)6時10分 JBpress

ユダシティが学習プログラムなどに利用している自動運転実験車両(写真提供:ユダシティ、以下同)

写真を拡大

 いま、AI(人工知能)など最先端分野の技術者の間で話題の米ユダシティ(UDACITY)をご存知だろうか?

 シリコンバレーに拠点を持ち、AIや完全自動運転技術の進展をきっかけに急成長しているオンライン教育企業である。2012年2月からサービスを開始し、これまでにフリーコンテンツの受講者は累計500万人、有料コンテンツの受講者は約3万8000人を数える。

 ユダシティが世界的に有名な理由の1つが、ユダシティの受講者から「ゴッドファーザー」と呼ばれているセバスチャン・スラン氏の存在だ。

 スラン氏はドイツ生まれで今年50歳。米カーネギーメロン大学でロボット工学を学び、米国防総省・高等研究計画局(DARPA)が主催した完全自動運転車による賞金コンテスト「DARPAグランドチャレンジ」「同アーバンチャレンジ」で好成績を収めた。

 グーグル(現アルファベット)に入社すると自動運転プログラムを率い、さらにはグーグルグラスなど先進研究を行う研究機関「グーグルX」の責任者となった。その後、スタンフォード大学のAI研究所・所長を務めた後、ユダシティを創業した。

 スラン氏の実績と知名度から「ユダシティ=セバスチャン・スラン」というイメージが定着しており、「スラン氏の教育方針に賛同した」「スラン氏の指導を受けたい」という受講者が後を絶たない。

 さらに最近は「スラン信者」だけではなく、ユダシティを受講するとキャリアアップが確実に見込めることを評価して受講を申し込む人が世界中で増えている。


「日本市場でマーケティングを強化していく」

 6月上旬、ユダシティの幹部で、アジア部門のインターナショナル・マネージングディレクターを務めるクラリッサ・シェン氏が来日し、インタビューする機会を得た。

 シェン氏は今回の来日で「日本の複数の自動車メーカーや自動車部品メーカーと接触した」ことを明らかにした。それらのメーカーが興味を示しているのは、ユダシティの人気プログラムとなっている自動運転の技術である。

 ユダシティは、自動運転開発の技術者育成プログラムを提供している。実際のプログラム内容は同社サイト(Udacity.com)を参照いただきたいが、例えば3学期がフルコースとなっている自動運転技術コースの受講料は1学期が800ドル(約8万8000円)。3学期で合計2400ドル(26万4000円)だ。

 現在、ユダシティを受講する日本人は数百人おり、自動運転プログラムの受講者も数十人いるという。受講者は企業単位ではなく個人として参加しているそうだ。

 シェン氏は「プログラムの日本語化を含めて、日本市場に対するマーケティング活動を強化していきたい」と今後の事業方針を示した。例えば、日本語対応のコールセンターの設置が施策の1つとなる。たとえオンラインの教育プログラムでも、いざというときにコールセンターの教員と直接話せることは学習の大きなサポートとなる。

 シェン氏は、日本法人の設立など日本上陸への具体的なロードマップまでは示さなかったが、今回接触した各メーカーからのフィードバックは良好だという。今後、日本市場開拓に向けての準備は着々と進みそうだ。


事実上のリクルート活動

 シェン氏によると、ユダシティの受講者の国籍はアメリカとそれ以外が半々だという。海外向けプログラムとしては、2015年9月にインド、2016年4月に中国、そして2016年6月にブラジルと中東でパイロットプログラムを開始した。ユダシティはこうした国々で「シリコンバレー大学」と呼ばれ、需要が拡大しているという。

 ユダシティのサイトを見ると、各プログラムに紐づけられた職種が記されており、その職種に対する給与額が提示されている。これは一般論としての額ではなく、現在86社あるユダシティの就職パートナーとの具体的な交渉に基づいた具体的な数字である。

 ユダシティ受講者の多くは若手技術者だ。彼らは自らのスキルを上げることで転職を狙っている。そして、こうした上昇志向が強い人材を求める企業が、各プログラムのスポンサーになっている。つまり、スポンサーにとっては事実上のリクルート活動なのだ。

 アマゾン、グーグル、エヌビディア、ダイムラーなど、AI(人工知能)をはじめとする新しい技術領域での優れた人材をすぐにでも採用したいという企業がユダシティと提携して、授業のプログラム作りに協力している。今のところ、そこに日系企業の名はない。しかし近い将来、新たな人材エコシステムの構築が日本でも進む可能性が高い。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

筆者:桃田 健史

JBpress

「自動運転」のニュース

BIGLOBE
トップへ