注目ワード死去・バーバラ 松山千春・ツアー 報道ステーション・セクハラ なでしこジャパン・アジア 知的障害者・施設 2017秋・髪型

BIGLOBEトップBIGLOBEニュース

「ハイボール」25年目の大逆転ホームランを生んだ上司のひと言−サントリー ウイスキー部課長

プレジデント社6月22日(金)8時0分
画像:「ハイボール」25年目の大逆転ホームランを生んだ上司のひと言−サントリー ウイスキー部課長

どうせ置いたって売れないよ……


「とりあえずビール!」


居酒屋でよく耳にする定番フレーズが、新しい飲み物に取って代わられつつある。30歳前後の若者世代を中心として、ウイスキーをソーダで割った「ハイボール」が一大ブームを巻き起こしたのだ。



仕掛け役となったのはウイスキー市場を長年牽引してきたサントリーだ。従来「一番おいしい比率」とされてきたウイスキーとソーダの「黄金比率」よりも薄く割り、レモンを搾った軽い味わいのハイボールを、大ぶりなジョッキで豪快に飲むスタイルを提案。これが見事にヒットして、主力商品である「角瓶」の2010年上半期の出荷量は前年比で68%増加した。国内ウイスキー市場全体の出荷量も前年比10%増加し、サントリーは09年、11年ぶりとなる増産を決定した。


しかし、ほんの数年前まで、国内ウイスキー市場はどん底まで低迷していた。かつてはビールと並ぶ庶民の飲み物として広まっていたが、1983年にピークを迎えて以来、人気は下降の一途をたどる。その後の焼酎ブーム、ワインブームを背景に、25年という長い長いダウントレンドが続き、出荷量はピーク時の5分の1以下にまで落ち込んだ。


「40代以上の世代には、ウイスキーをずっと飲み続けている方々もいるんです。でも若い世代には、『オヤジ臭い』『アルコールがきつく、飲みにくい』『食事に合わない』という最悪のイメージが定着していて、ごく普通にみんなが飲みにいく居酒屋では、誰も頼まない飲み物になってしまっていました」


そう語るのはサントリー酒類、スピリッツ事業部ウイスキー部課長の田中嗣浩さんだ。自身も根っからの洋酒党で、ウイスキーには人一倍の思い入れがあった。


「私は2004年に現部署に異動してきたんですが、当時からウイスキー市場全体がすごい縮小傾向にあって、どこへ営業しても見向きもしてもらえませんでした。居酒屋さんにお願いしても、『どうせ置いたって売れないから』とメニューにも載せてもらえない。大手スーパーさんでも陳列棚がどんどん小さくなって、理由を聞くと『一週間に一本売れるかどうかだよ』とか。世間的に忘れられてしまっていて、私自身も外でウイスキーを飲んでいる人を見ると、ひょっとしてサントリーの社員では? と疑ってしまうほど(笑)。私と飲みにいくときだけはウイスキーを注文してくれる同僚もいましたね」


そもそもサントリーはウイスキーづくりから創業した会社だけに、「ウイスキーは家業だ。このままではマズいよなぁ」という気持ちを多くの社員が共有していたという。それでもニーズがなければビジネスは広がらない。顧客の需要はビールを中心とした売れ筋に集中しており、ウイスキー人気はどうやっても復活しなかった。


「『なぜ売れないのか』をあらためて検討してみると、ウイスキーは“2軒目需要”になっていたんです。外に飲みにいくとき、普通はまず居酒屋やレストランで食事と一緒にビールやワインを一杯飲んで、2軒目のバーなんかでようやくウイスキーが選択肢に入ってくる。この時代に、それじゃ新しく愛飲者が増えるわけがない。とにかく1軒目に食い込まなければ、ウイスキーの復活はないと考えたんです」


そこで、市場調査をゼロベースで行ったところ、まったく予期しなかった驚愕の結果が生まれた。


「我々がよかれと思ってお勧めしていた飲み方は、お客様には濃かったんです。水割りやロックで、アルコール度数が大体12%くらい。それが美味しいと思っていたし、先輩からもずっと伝わってきた黄金比だったんですけれど、実際に消費者に聞いてみると、はるかに薄い8%くらいのものが一番美味しいといわれる結果が出た。そこにレモンを軽く搾るのがとても好評だったんです。このレモンを搾るっていうことが、我々には全然考えつかないことだったんですよ。ウイスキー自体の味が消えてしまうと思っていて。これまでメーカー側で正しいとされてきたスタイルとは全然違う、新しい飲み方をお客さまは欲していたのです」


小雪のCMもヒット市場が動き始めた!


伝統から離れるスタイルゆえに、社内でも批判は強かった。「ウイスキーはわかる人だけにわかってもらえればいいじゃないか」という強硬な意見もあった。


「我々の世代の、ウイスキーが絶好調だった時代を知っている人間にしてみれば、ウイスキーをジョッキに入れるだの、レモンを搾るだの、そこまでして売らんでもいい! という気持ちもありました。ウイスキーのよさってなんなんだと、いろいろ葛藤がありましたよ。でも若い社員たちがつくってきたものを飲んでみたら、これが悪くなかった。よく考えてあった。これならやる価値がある、失うものはないんだからと、最後は社風である『やってみなはれ』の精神で進んだのです」(相場康則サントリー酒類社長)


田中さんがプロジェクトの成功を予感したのは、発表直前に全国の営業マンが結集する会議の席上で、角ハイボールのお披露目をしたときだという。


「それまで業務用の営業マンは、売れないウイスキーにはなかなかいい顔をしなかったんです。それが、彼らのほうから『これなら絶対メニューに載せてもらえる!』といってくれた。このジョッキのスタイルなら絶対イケると。そのときの熱気には特別な手ごたえがありました。やっぱりサントリーの人間はウイスキーに特別な思いがある、ウイスキーなら全社一丸になれる、という感覚でした」


その結果、08年秋のリリース開始時点で、黄色い「ハイボール始めました」のノボリを立てた取扱店は1万5000軒にもなった。テレビCMには人気女優の小雪を起用し、新しくオシャレなイメージを売り込んだ。人気ブロガーに向けてハイボールのつくり方を指導するセミナーを開き、ネットを通じて口コミを広げた。そんな仕掛けが功を奏し、ブームは一気に過熱する。わずか半年で取扱店は4万軒以上増え、2年後の今では9万3000軒を超えた。


都内にあるショットバーのマスター森村和弘さんは、


「角ハイボールの前には、サントリーさんからやや高級な『山崎』でつくるハイボールの提案があったんですよ。山崎と同じ天然水でつくった『プレミアムソーダ』を使うんですが、それだと一杯1000円以上じゃないとお客さんに提供できない。当時はまったく流行らなかった(笑)。でも『角瓶』が人気で品薄になっている今なら、山崎の高級路線もいけるかもしれません。ウイスキーを飲む人自体が増えてきてますから」


ビールに比べて酒税の安いウイスキーを扱うために、提供する小売店の利益率も高くなる。割り材であるソーダ市場も上向いたほか、缶入り酒類の分野でも「角ハイボール缶」はヒット商品となり、キリンをはじめとする同業他社が「世界のハイボール」などの商品で追随。伝統を見直すアイデアによって、ハイボール市場が大きく動き始めた。


※すべて雑誌掲載当時

Copyright (c) PRESIDENT Inc. All rights reserved.

google+で共有する

はてなブックマークで保存する

Pocketで保存する

Evernoteで保存する

注目ニュース
専門家が直言「TOEICが日本を滅ぼす」 プレジデント社4月20日(金)9時15分
英語能力のテストとして、学校教育でもビジネスでも重要視されるTOEIC。しかし長年、企業の語学研修に携わってきた猪浦道夫氏は「TOEICは…[ 記事全文 ]
トランプ米大統領がOPEC批判=原油相場が急落 時事通信4月20日(金)23時45分
【ロンドン時事】20日の国際石油市場では、トランプ米大統領がツイッターで石油輸出国機構(OPEC)を名指しし、「原油相場が人為的に極めて高…[ 記事全文 ]
タカタ製エアバッグの理不尽な余波、車検パニックは誰の責任か ダイヤモンドオンライン4月20日(金)6時0分
当分、車に乗ることができない?タカタ製エアバッグの意外な余波タカタ製エアバッグ不祥事の意外な余波が、今ごろ起きることになった。国土交通省は…[ 記事全文 ]
財務次官にセクハラを許すマスコミの事情 プレジデント社4月20日(金)15時15分
週刊新潮で女性記者にセクハラ発言を繰り返したと報じられた財務省の福田淳一事務次官が辞任した。この問題ではセクハラを受けていた女性記者が、勤…[ 記事全文 ]
携帯2年契約料金で是正要請へ 総務省、乗り換え活発化狙い 共同通信4月20日(金)18時8分
総務省は20日、携帯電話の利用者が2年契約の満了時に他社へ乗り換えようとする際、違約金を支払うか25カ月目の月額料金を支払うしかない現状を…[ 記事全文 ]
アクセスランキング

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

話題の投稿画像

ページ設定

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア