超合金摩耗工具シェアトップ:冨士ダイス、今期配当性向予想は95.7%

2024年6月23日(日)15時29分 財経新聞

 冨士ダイス(東証プライム)。超硬合金(ダイヤモンドより硬い)摩耗工具で、シェア3割を占める斯界のトップ企業。具体的には耐摩耗工具・金型を手掛けている。今年6月で創業55周年。人間で言えば、後期高齢者の仲間入り。

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 「これまで黒字基調で歩んできた」とされるが、新社長の春田義和氏は幸運の持ち主。前2023年3月期は、「顧客の生産地変更に伴う2次電池向け金型の販売大幅減少」「自動車部品メーカー在庫調整の影響/関連金型の低調」「原材料費高騰」「熊本製造所冶金棟建設負担」等々で、「2.9%減収、29.7%営業減益」。

 だが今期計画は覆いかぶさっていた雲間から、徐々に光が差し込む環境に転じ「7.9%増収(180億円)、26.1%営業増益(10億2000万円)、8円増配40円配」。

 春田氏を囲むWebIRに参加した。誰の顔にも「今期、早々の増益復帰は大丈夫」と書いてあった気がする。が春田氏は「確かに自動車業界には芳しくない雰囲気が、あるようだが」と前ぶりはしたが、計画のクリアには自信を示した。かつ問わず語りで至27年3月期の中計を「売上高200億円(24年3月期比約20%増)、営業利益20億円(約2.5倍)、ROE7.0%(約2倍)」、とキッパリ言い切った。

 春田氏に向けられた主な質問と答えは、以下の様な具合。

 Q:今後の成長エンジンは?

 A:例えば自動車分野で言えば、次世代自動車の動力となる駆動モーターに不可欠な金型専用の超硬材種といった具合に、成長必至分野の商品を開発すること。他の領域でも基本は同様。

 市場で言えばタイ・インドネシアの生産・営業拠点、営業拠点の中国・マレーシア・インドの拡充・充実。生産に関しては、熟練度は勿論だがいわば「郷に入っては郷に従え」でそれぞれのマーケットが求めるものを提供していく。

 Q:完成品比率が高い。多品種少量生産という基軸は不変か。

 A:変わりようがない。それが対価にも反映されている。ビジネス先からの「直接受注・直施販売」に今後とも徹する。ただこれまでは「縁の下の力持ちでいい」があったが、次世代商品と積極的に対峙していくことで付加価値を求める体質が肝要だと認識している。

 Q:取引社数は約3000社ということだが、そのうち誰もが知っているような大企業の割合は。

 A:4%程度。

 Q:大方が中小企業となると、債務を抱え込む危険性もあるのではないか。

 A:幸い、皆無。勿論、債務を取り込まないような相手先企業のチェック策は講じている。私自身、そういう管理部門に席を置いていた。

 冨士ダイスの歴史を振り返ると、『日本機械工具工業会 技術功績賞受賞』といった技術屋としての功績を認められた実績が多々確認できる。春田社長は「うちを真に知ってもらうためにも、今後はIR活動も積極的に行っていく」とした。

 本稿作成中の時価は800円出入り水準、予想税引き後配当利回り4%強。今期の予定配当性向は95.7%。広範なIR活動を展開すべきであろう。

財経新聞

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