ソニーが玩具市場を変える。 鍵はプラットフォーム化

6月28日(水)6時0分 JBpress

ソニーが発表した新しいトイ・プラットフォームである「toio(トイオ)」。2017年12月1日の発売を控えている本製品は、発表と同時に予約販売をスタートしたところ初回限定セットが即日完売したという。

さまざまな玩具を組み合わせることで、遊びを通じて創意工夫を楽しめるのがtoioの特徴だ。1つのセットにはモーター内蔵で動き回る小型ロボットである「toioコアキューブ」が2台、「toioコンソール」にコントローラーともなる「toioリング」が2台つながる形となっている。

このほか「toioタイトル」として、プログラムが入っている専用のカートリッジと玩具、toioコアキューブを乗せて遊ぶためのマットやカード、本が用意され、これを使って遊ぶこととなる。とてもユニークな製品なのだが、果たしてなぜこの製品は生まれたのだろうか。開発を担当した同社の新規事業創出部TA事業準備室 統括課長の田中章愛氏に、その経緯について伺ってみた。

——toioの開発のきっかけをお教えください

5年ほど前にソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)で新しい遊びの形を研究していたんです。当時、次世代のゲーム、インタラクションの研究をしていたアンドレ・アレクシーと、ロボット研究していた私の間で、新しくソニーらしい製品を何か作れないかということを雑談したのが開発のきっかけですね。

あくまでも自発的に研究を始め、その後しばらくはソニーCSLでの研究活動だったのですが、その後、技術的にも目途が見えてきたし商品としても面白いものが作れそうだったので、社内オーディションに応募して優勝したことから製品化が決定しました。

——作り上げていく中でのご苦労は何かありますか

一番大変だったのは、最初は自分でも自信がなかったことです。自信がないものを前に進めるのは大変だなと。そこは当初はユーザーであるお子さんたちに触ってもらったり、開発の後半ではタイトルの開発を担当してくれた「ピタゴラスイッチ」で有名なユーフラテスさんに見てもらったりと、とにかくいろいろな人からのフィードバックをもらって進行してましたね。それがないと常に自信がなくて不安ばっかりですから(笑)。

今回おもちゃショーで発表して、予想を超える反響を頂いているんですが、そういう反応になるとは全然思っていなかったので。直前まではすごく不安でした。

——「toio」はこのように遊んでほしい、こうすると楽しいといったポイントはありますか

創意工夫することを楽しみながら遊んでほしいです。自分が作ったキャラクターが、ブロックの組み合わせや作戦によって、どんどん強くなったり速くなったり、面白い動きをするんです。ちょっとした工夫が目に見える結果として表れるので、直感的に遊べるのが大きなポイントですね。

——toioはインターネット接続ですか

技術としてはIoTのものを活用していますがBluetooth Low Energy通信です。いまのところインターネットにつなげる予定はありません。インターネットの設定が大変で最初の遊びでつまずくといけないので……。ルーターの設定は子供にはできませんよね。

——toioに触れたユーザーからはどのような声を聞かれましたか

受け身でない遊びというか、自分が工夫したり、考えた結果が現れるものが今は求められていると感じました。親御さんからはプログラムや技術の不思議みたいな所に興味を持ってほしいから、toioが良いきっかけになりそうという意見もいただきました。

そのほかにも、ユーフラテスさんが開発したタイトル「ゲズンロイド」はピタゴラスイッチファンの人がすごく反応してくれたんですよ。ストップモーションのアニメでしか表現できなかったことが、自分の目の前で動き、それを編集できるということを楽しんでいただけたようです。

ブロックもそうですね。自分が作った主人公で遊べるというのは子供にとっての新たな体験です。普通は出来上がったもので遊ぶのに対して、自分のこだわり、特性を生かせるのはブロックならではです。今回、最初の予約セットにはレゴブロックを付けています。

トイオ・コレクションと一緒にバンドルしているんですが、遊び方を考えながら、違うものを考えていけるかなと、レゴ社の担当者と一緒に話をしています。レゴ社から一番共感していただいたのは、ブロック遊び自体が作品を飾ったり見せたりして楽しむことがメインであることが多いのに対して、強くしようとか、かっこよくしようという別の目的ができて、さらに作り直すという行動が生まれるところです。ビルドだけではなく、リビルドするきっかけをどんどん与えられるという所には共感していただきました。

——ユーザーがプログラムを作ることもできるのでしょうか

残念ながらそれはまだできないんです。そういう声は多いんですが……。元々そういうことが好きな人間が集まっているので、何かは考えていこうと思っています。今のところはお知らせできるものがないのです。ニーズに応えていけるように準備したいと思っています。

——今後の展開についてお聞かせいただけますか

今は12月に発売することに向けてパートナー企業を増やしていきたいと考えています。それ以外のスケジュールは見えていないのですが、文化や言語にとらわれず遊べるデザインを心がけてきたので、海外展開もしていきたいですね。コアキューブが白なのもそのためです。黒や赤なども試してみましたが、キャラを載せたときに目立たないのは白だなということで、まずはプレーンな形にしました。

——toioのライバルになるものはありますか

toioのような製品は他にないので、他社との競合を意識しているというよりは、子どもたちの置かれている環境がライバルですね。最近はみんな学習塾に行ったりと忙しいので、その隙間時間に楽しんでほしいと思います。

——新しいプラットウォームとして、今後目指していく方向を教えてください

予想以上にたくさんの人から「こういうアイディアがあるんだけど」という声を頂いているので、そういった声に応えられるよう準備していきたいです。

あとは、まだ妄想レベルですが“トイ・プラットフォーム”という名前を付けていますので、将来的にはコアキューブ以外のロボットも出したいと考えています。“コア”という名前が付いているのは、キューブ以外のコアが出てきたらいいなという意味が込められているんですよ。たくさんの人に触っていただきたいので、いろいろなイベントも計画してきたいと思っています。

——サードパーティを含めて何かを作ってもらうことは考えていますか

今のところは遊びをどんどんと作り出すことに注力しています。ソニーはいろいろなエンターテイメント事業を行っているので、クリエイターとコラボして新しいものを創り出すという文化もあるんです。それをtoioでもやっていきたいですね。

タイトル専用のマットに関しても、印刷で無数の表現(動きの設定)ができますので、クリエイターやパートナー企業と、それぞれに全く違う世界を表現していきたいです。今はバンダイ、レゴ、ソニーミュージックなどがパートナーとなっていますが、いろいろと声をかけていただいていますので、これから発表できるように準備していきたいと思っています。

——ありがとうございました

筆者:Koichi Imafuji

JBpress

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