2050年には3100万人の働き手減少、企業の打ち手はIT活用

6月29日(木)6時12分 JBpress

少子高齢化、人口減少が進む日本では人手不足が深刻化している。これに対して、政府は働き方改革、賃上げ、子育て支援と様々な施策を打ち出してはいるものの、問題は解消していない。なぜかといえば、人材不足の大きな要因となっているのが、高齢化社会による生産年齢人口の減少であるからだ。

総務省が2014年に発表した日本の生産年齢人口の推移によれば、下の図のように、2010年から2050年のうちに、3,100万人もの生産年齢人口が減少すると言われている。

【日本の生産年齢人口の推移】

政府は不足している人口部分を補うためにも、外国人労働者の雇用を後押ししているが、それだけではなく、業務を自動化することによって人材不足を解消しようと飲食・小売業界がいち早く動き始めている。


自動化&セルフ化で労働力不足の解消へ

2015年12月に、株式会社凪スピリッツが運営する「すごい煮干ラーメン凪 大宮店」は、総工費5,000万円をかけて、全自動のハイテク配膳システムを導入した。当時は大きな話題を呼んだため、まだ記憶に新しい人もいるのではないだろうか。

飲食店での接客業務は配膳のタイミングから片付け、接客、レジ打ちといった複数の業務が押し寄せるため、激務になりがちだ。こういった問題に対して、ラーメン凪では配膳システムを全自動化することにより、業務を効率化し、スタッフが接客に注力できる環境を実現させたという。

賃金を支払う経営者の立場からすれば、従業員への給与は一定のコストがかかるため、できるかぎり抑えておきたいもの。しかし、人材が足りていない状況では賃上げしてでも雇わなければいけなくなってしまう。5,000万円という施工費用は金額だけ見ると高く感じるものの、全自動による効率化によって人件費削減につながり、最終的には会社に利益をもたらしてくれるようになるのだ。

近年では、イオン等のスーパーマーケットでも、買い物客が自分で商品のバーコードを機械に読み取らせ会計する「セルフレジ」を導入し、労働力不足の解消に努めている。


コンビニ業界は全商品に電子タグ貼付を目指す

コンビニエンスストアはレジ対応、商品管理、公共料金の支払いやその他料金収納代行、宅配便窓口など、多岐にわたる業務が発生し、また深夜を含む24時間営業を実施するため慢性的な過重労働の現場となっている。従業員一人に対する負担が大きく一部の店舗においては行政からの指導が入ることもあるようだ。

このような状況から脱却すべく、経済産業省は2017年4月に、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定している。

これは、2025年までにセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズは、全ての取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグ(RFID)を貼付け、商品の個品管理を実現するというもの。2018年を目処に、特定の地域で実現に向けた実験を開始すると発表している。


人材不足だけでなく、万引き防止や商品管理も実現

電子タグは非接触で個体を識別するツールで、商品に貼付することにより、いつ、どこに、何の商品が、どの程度流通しているかを容易に把握できる。それにより、レジ・検品・棚卸業務の高速化、万引き防止、消費期限管理など、人材不足の解消はもちろん、幅広い業務の効率化が期待されているのだ。

また、商品1単位ごとに電子タグを付けてサプライチェーンのIoT化を実現できれば、商品の流れを自動的に把握し、流通システムに内在するムダも特定することが実現される。

とはいえ、電子タグの導入においては以下のような課題も抱えている。

・電子タグの単価
・読み取り精度
・貼付け技術
・標準コードの普及

4つの課題の中で、最も電子タグ導入の壁となっているのが①の単価だ。電子タグの価格帯は1つにつき10円〜20円程度。低単価の商品にまで電子タグを貼付するのはコストがかかり過ぎてしまう。このようなことから電子タグの普及はアパレルなどの商品単価が高い商品を扱う分野に限られてきた。

こういった課題の解決策としては、2017年3月の時点で大日本印刷がコンビニ向けの低価格電子タグ開発に着手。2020年までに単価5円以下、2025年に1円の電子タグの実現を目指していくと発表している。経済産業省によれば、2025年までに電子タグの普及を進めていくため、コスト削減の他にも、技術開発や運用方法の改善など、産官学が連携して課題の解決に取り組んでいくという。

海外の例を挙げると、近年最も多くの注目を集めていたのが、米アマゾンが手がけるAI技術を用いた次世代コンビニ「Amazon Go」だろう。

「Amazon Go」は店内が無人となっており、ユーザーは棚にある商品を手に取り店を出るだけで会計が終了する仕組みだ。中には、店員による接客やサービスを受けたいという人もいるだろうが、利便性、効率を求めて利用する人が多いコンビニエンスストアの場合、「Amazon Go」の形態を理想とする人が多いのではないだろうか。

このままテクノロジーが進化していけば、いつか必ず自動化できる仕事は次々と機械やAIが行うようになる。そして、人材不足にあえぐ今の時代とは違い、仕事に就けるのは選りすぐられた優秀な人材のみという時代が、そう遠くない未来に訪れるのではないだろうか。

筆者:IoT Today

JBpress

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