「即効薬」で浮上の野村HD 問題はこれが「いつまで」続くか、だが...

6月30日(日)21時0分 J-CASTニュース

野村ホールディングス本社(Lover of Romanceさん撮影、Wikimedia Commonsより)

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業績悪化、企業統治不信と歩調を合わせるように低迷していた野村ホールディングス(HD)の株価が、2019年6月19日の東京株式市場で、大規模な株主還元策を材料に浮上した。

その後も株価は崩れずに推移してはいるが、「アベノミクス」以後のピーク(2013年5月の980円)の半値以下にとどまっており、本業で回復できるかを市場が注視している。




「過去最大規模」の自社株買い



株価浮上のきっかけは6月18日の取引終了後に発表した自社株買いだ。1500億円、3億株(発行済み株式の8.6%)を上限とするもので、野村HDの自社株買いとしては過去最大規模とされている。期間は6月19日〜2020年3月31日。買い入れの原資として、グループで保有する野村総合研究所(NRI)の株式売却で得られる約1600億円を充てることも発表した。NRIが実施する自己株式の公開買い付け(TOB)に応じる形でNRI株を売却する。野村HDがグループとして保有するNRI株の比率は約37%から約23%に低下する。


発行済み株式数を減らす自社株買いは1株当たりの利益や資産価値を向上させ、投資家にとっては1株当たりの配当金の増加を期待できる。上場企業にとって株価底上げの即効薬とも言える。


「薬」の効き目は確かだったようで19日の株価は急伸し、前日終値比10.5%(36円)高の377円50銭まで上昇し、これが終値となった。当日安値(365円20銭)が前日高値(349円20銭)を上回り、チャート図に「窓をあける」節目の展開にもなった。その後も終値が19日を上回る日が続いている。




経営体制の変更も安心感



野村HDは18日、株主還元策とセットで経営体制の変更も発表しており、これも投資家に安心感を与えているようだ。6月24日の株主総会に向けて5月下旬に株主に送付していた招集通知に記載した経営体制案では、取締役会議長である古賀信行会長が指名委員会と報酬委員会の各委員長を続けるとしていたが、これを撤回。社外取締役である日本たばこ産業(JT)元会長の木村宏氏が両委員長に就任すると改めたのだった。経営上重要な3委員会のうち、監査委員会の委員長には以前から社外取締役が就いており、これで3委員会とも委員長が社外となり、透明性が増すということで株主の理解を得ようとしたのだった。


野村HDが総会直前の異例の人事差し替えに踏み切ったのは、米議決権行使助言会社2社が取締役選任案に反対しており、総会で否決される可能性が出ていたためだ。インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が古賀会長と永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)ら3人、グラスルイスが古賀会長の再任に反対を表明していた。古賀会長については取締役議長であるのに重要ポストを兼任しすぎているとの批判があった。人事差し替えを受けてグラスルイスは古賀会長の取締役再任反対を撤回し、総会を乗り切れる見通しが立ったのだった。




とはいえ取り巻く状況は...



野村HDは2019年3月期連結決算で純損益が1004億円の赤字(前期は2193億円の黒字)に陥った。2008年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズののれん代を減損処理(810億円)したホールセール(企業向け)部門の採算悪化が大きな要因だが、個人営業部門やアセット・マネジメント部門も5割前後の減益となり、稼ぐ力が衰えていると言われても仕方ない。決算発表に先立って国内に156ある店舗のうち30店以上を数年かけて統廃合するリストラ策を発表し、コスト削減を急いではいる。しかしそれだけでは稼ぐ力を挽回できないため、デジタル分野や中国などでの再成長に向けた投資を市場が注目している。


そうした中で5月、金融庁から情報漏洩問題で業務改善命令を受けたことで、企業統治のあり方が改めて問われ、社債発行などの主幹事獲得を逃す案件が続出しており、業績に悪影響を及ぼすとみられている。


八方ふさがりとも言える状況で繰り出した株主還元策で株価はひとまず浮上したが、その効果がいつまでもつかは見通せない。あらゆる手段を早期に講じて本業の回復を進めるしかないと言えそうだ。

J-CASTニュース

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