親と"神経衰弱"する子が東大合格するワケ

7月4日(水)9時15分 プレジデント社

『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2018完全保存版』では、「東大生3人の赤ちゃん時代」と題し、小学校入学までに親がどんな働きかけをしたかをリポートしている(扉ページのイラスト=大村えつこ)。

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子供が東京大学に合格する家庭の親はどんな教育をしていたのか。東大の医学部に通う子供の母親は「小学校に入るまでは、夕食後、毎日2時間ほど一緒に遊んだ」と話す。この遊びの習慣は学習の習慣となり、小学1年生のときから毎晩2時間の勉強が普通になったという。東大生3人の母親が口をそろえた「教育方針」とは——。

※本稿は、ムック『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2018完全保存版』の掲載記事「東大生3人の赤ちゃん時代」に、誌面に掲載しきれなかったエピソードを加筆したものです


■東大合格者は「小学校入学前」に決まっているのか


今年3月、東京大学に通う子供を持つ母親3人に、未就学児への教育をテーマに話を聞いた。子供が賢くなるように、どんな工夫をして、どんな早期教育を施したのか。そんな「秘密」や「コツ」を聞き出そうとしたが、3人ともいわゆる「教育ママ」ではなかった。その代わり、3人にはある共通点があった。それは、「小さい時から子供と一緒に遊んだ」「子供の興味に付き合った」ということだ。




『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2018完全保存版』では、「東大生3人の赤ちゃん時代」と題し、小学校入学までに親がどんな働きかけをしたかをリポートしている(扉ページのイラスト=大村えつこ)。

3人が幼いわが子にしたのは、意外にも英才教育や習い事をさせることではなかった。それにもかかわらず、立派に育ち、東大生となった彼らは異口同音に「基本的な学習習慣は小学校に上がる前に親からつけてもらった」と私たち取材スタッフに話す。その学習習慣とは、ドリルを毎日させることではなく、遊びで身につくというのだ。


▼「小学校に入るまで、息子と夕食後2時間一緒に遊んだ」

なぜ、遊び習慣が学習習慣につながったのか?


母親のひとり、兵庫県在住の秋山はるかさんは息子の睦貴さん(現在、東大医学部3年生)が小学校に入るまで、夕食後は毎晩のように、2時間ほど一緒に遊んだという。遊びの内容は、ブロック玩具、積み木、ジオラマづくりなど。普通の家庭とちょっと違うのは、遊びを子供ひとりでさせずに、意識的に母親自身が子供の遊びにかかわったということ。


「夕食が終わった時に、自分で『今日はこれをしようっと』という感じで、考えていた取り組みを始めるのです。すると子供たち(睦貴さんと姉)は、(なになに?)(お母さんがなんか楽しそうなことを始めたぞ)とつられて寄ってきます(笑)」(はるかさん)



■歴代ウルトラマンの顔写真のカードで「神経衰弱」


いろいろなことをしたが、子供がとくに喜んでやったのはお手製のカードを使った「神経衰弱」。睦貴さんは当時、「ウルトラマン」が大好きだったので、書店で歴代ウルトラマンの写真が満載の図鑑を購入した。はるかさんはそのキャラクター(47種類)の「顔写真」をカラーコピーして、台紙に張り、5cm四方のカードを作成した。




現在、東大医学部3年の秋山睦貴さんの母親はるかさんはウルトラマン図鑑を使ってお手製カードを作り、一緒に神経衰弱ゲームをした。

「それを縦に3枚、横に3枚、計9枚並べて10秒間だけ見せてハンカチをかぶせます。並び順を再現させて、どれだけ正確にできるか競争したのです。好きなキャラクターということもあって、子供たちは集中して何時間も遊びます。子供の好きな遊びをするということも大切にしていました」(はるかさん)


睦貴さんはその頃、恐竜にもハマっていた。はるかさんは関連のDVDを見せたり、恐竜展に出向いたり、恐竜のフィギュアを買い与えた。すると、ただフィギアで遊ぶだけでなく、お寿司についているバランなどを使って、恐竜が住む世界を表現したジオラマづくりをしたり、積み木で大きな恐竜をつくろうとしたり。子供なりに遊びを発展させて、何時間も夢中で取り組んでいたという。


▼リミットは6歳「遊びが脳を発達させてくれる」

このように子供を遊ばせることにはある「狙い」があった。


学生時代、幼児教育について学ぶ機会があったはるかさんは、絶対音感、運動神経などの特定な能力については6歳くらいまでに臨界期(学習するのに適切な時期。感受性期とも言う)があると学んだ。


はるかさんは、この臨界期を自分なりに拡大解釈。もしかしたら、記憶力や思考力、発想力、応用力、集中力なども、この時期までは身に付けるのが容易なのかもしれないと考えた。そこでトレーニングとしてやってみたことが、睦貴くんの話す「夕食後の遊びタイム」だった。


「脳に刺激を与えると神経回路が発達します。その原理を踏まえ、いろんな遊びを取り入れました。トランプの神経衰弱をやれば、自然と集中力や記憶力が鍛えられます。積み木をすれば、イメージを形にしたり、どこに荷重すればバランスが取れるのかを試行錯誤する事で物理的な感覚などを養ったりできます。今やっている遊びは、脳を発達させていくと信じて、私も一緒に取り組んでいました」(はるかさん)


考えてみれば、子供が好む遊びの中には学習の土台を鍛える要素がたくさんつまっている。その事実に気づき、子供と「愚直に遊びを楽しんだ」というはるかさんは先見の明があったということだろう。


間違ってはいけないのは、ここで言う「遊び」とは、惰性的なテレビ鑑賞や、スマホのゲームなど受け身で行うものではなく、あくまで子供が主体的に取り組み、頭や体を使うものだ。



■小1からは母親も一緒に「百マス計算で遊んでいた」


夕食後の2時間の遊びタイムを習慣化したはるかさん。睦貴さんが小学校に入学してからはこれを勉強にスライドさせた。




※写真はイメージです(写真=iStock.com/paulaphoto)

「『よーし、始めるぞ』と私が独り言を言って、百マス計算をしたんです。『今日、ママは1分以内に終わらせるんだ』というと、『ボクも1分以内にやる!』と挑んできます。百マス計算に飽きたら、理科や社会のドリルなど。楽しいと思うものを組み合わせてやります。だから、1年生から毎日2時間くらいは勉強していました」


小学1年生から毎日2時間の勉強——。しかし、睦貴さんにとっては“お母さんとの楽しい遊び”だったから、無理なく続けることができたわけだ。


もともと子供にとって遊びも勉強も区別はない。それを親が楽しそうにやっていれば、楽しいと感じる。逆に、つまらないがやらなくてはいけないものと強いられれば、つまらなく感じるというものなのだろう。睦貴さんが「夕食後、毎日母が遊んでくれて楽しかった」と話すことからも、それがよくわかる。


親が「勉強をやりなさい」と口酸っぱく言っていると、子供の中では「勉強=苦役」のイメージができあがり、「勉強=遊び」と感じることができなくなってしまうのだ。


▼「遊び」が「学習習慣」に結び付いたポイント3

ここで、「遊び」が「学習習慣」に結び付いたポイントを整理してみたい。ポイントをクリアにするため、「×」でネガティブなポイントも整理した。



POINT:お母さんが一緒やることで、遊びへの集中度を高めた⇒能力アップ

×ダラダラ遊び⇒集中力などの能力が育たない

×受け身の遊び⇒主体性が育たない

POINT:強制しない⇒「楽しいからやりたい」という意欲が持続

×勉強を強制される⇒勉強が苦痛になる

POINT:毎日、決まった時間にやる⇒学習の習慣化

×時間のある時にやる⇒やったり、やらなかったり習慣化できない

夕食後、毎日何時間も子供の遊びに付き合うのは難しいという母親も多いだろう。そういう場合は、毎日、決まった時間に遊びに誘い、子供が夢中で遊び始めたら、邪魔をしないことを心がけるだけでもいいかもしれない。それが勉強で不可欠な集中力を鍛えることにつながるからだ。



■東大生の親は、子供の「おねだり」にとことん付き合う


実際、今回、取材した東大文学部3年生の東由哲さんの母・恵さんも、医学部3年生の小坂真琴さんの母・起三乃さんも「子供が集中している時には、邪魔せずに見守った」と口をそろえる。


子育てでは、一般的に食事や就寝などの生活リズムは変えないほうがいいと言われる。しかし、今回取材した母親は、普段は生活リズムを大切にしながらも、集中している時は「多少、夕食が遅くなってもいいか」と柔軟に考えて、子供の意欲を優先していた。


この意欲を優先するという姿勢は、3人の母親の共通点だった。


たとえば、本の読み聞かせでは、ねだられれば根気強く何冊も読んであげた。歌を歌ってほしいといわれれば、何曲も歌ってあげた。「親が根気強く付き合うことで、子供の集中力や根気が育ったのかもしれません」(恵さん)と振り返る。


▼親が口うるさく言わなくても、宿題をやる子に育つ

子供のおねだりはキリがない。本の読み聞かせで「あと1回だけね」と念を押しても、「もう1回」という。何度もねだられると、正直面倒だなと感じることがあるだろう。でも、それに付き合うことが、わが子の将来の学習習慣に結びつくとしたら……もうひと踏ん張りできるかもしれない。


なお、『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2018完全保存版』の特集記事「東大生3人の赤ちゃん時代」では、この東大生3人の母親がどんな玩具や書籍、音楽で育てたかを具体的な商品名をあげながら、「集中する習慣」「話を聞く習慣」「約束を守る習慣」を子供に身に付けさせる方法を紹介している。


こうしたメソッドは、小学生以上の子供をもつ家庭にも応用できるだろう。親が口うるさく言わなくても、授業でしっかり先生の話を聞き、宿題をやる子に育つ。そのやり方には、多くの人が見落としがちなシンプルな子育ての法則があったのだ。


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※ムック『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2018完全保存版』では、東大生3人の母親の育児経験を詳しくリポートしているほか、最新研究にもとづく「ぼくらの気持ち教えてあげる! 赤ちゃんの取り扱い説明書」などを紹介。未就学児の親が知っておくと子供が小学校以降に勉強ができるようになる情報を満載している。ぜひ本稿とあわせてご覧ください。



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(プレジデントFamily編集部 森下 和海 写真=iStock.com)

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