上場企業の早期退職者募集 今年は1万人規模になる可能性も

7月11日(木)16時0分 NEWSポストセブン

日本航空も大規模なリストラを行った企業の1つ(時事通信フォト)

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 損害保険大手の「損保ジャパン日本興亜」が、2020年度末までに従業員の15%に相当する4000人規模の人員削減を行なうと報じられた。自動運転技術の進歩などにより将来的な収入減が見込まれるためで、定型業務の自動化やITシステムの導入によって業務効率化を図るという。


 損保ジャパンのケースでは、親会社の「SOMPOホールディングス」傘下にある生命保険事業などに人員を振り分け、希望退職者の募集は行なわないという。だが、世間にはリストラの波が着実に押し寄せつつある。


 企業の信用調査をもとに、データベース事業などを行なう東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏が解説する。


「当社は2000年から上場企業約3700社を対象とした『希望・早期退職者募集状況』の調査を行なっています。募集を実施した企業の数はITバブル崩壊後の2002年に200社、リーマンショック後の2009年には191社を記録しました。


 その後は減少傾向にあり、2018年は調査開始以来最少の12社でしたが、今年に入って一転しています。5月13日の段階で16社とすでに昨年を超えており、全体で1万人規模になる可能性があります。


 世間では人手不足が叫ばれていますが、それは飲食や介護といった業界や、非正規雇用を前提とした話。高給の正社員を抱える大手企業では、人員削減を検討しているところが少なくない」


 人件費という最大の“コスト”をカットするリストラは、企業経営側から見れば“即効性”のある対策であることは確かだ。だが、決してその後の企業の成長を約束するものではない。目先の改善を求めた結果、“流れた血”が報われなかったケースも数多い。


 人員整理という直接的な手段でなくとも、メガバンクなどでは“入り口”である新入社員の採用抑制などを通して、人員削減を図っている。その流れは、ますます進むと予想される。


「上場企業の希望・早期退職者募集は、経営不振を原因とする『リストラ型』だけではなく、業績好調な企業が成長分野への事業転換を図るために余裕のあるうちに人員適正化を進める『先行実施型』も増えていくと見られます。今後も2つの型を合わせた実施企業数は増えていく可能性があります」(前出・坂田氏)


 リストラの「成功と失敗」の検証は、すぐにできるものではないが、多くの従業員を抱える大企業の場合、それによって人生設計の大修正を迫られる人が増える。だからこそ、経営陣には、長い目で見た“リストラ後の経営戦略”が求められる。


※週刊ポスト2019年7月19・26日号

NEWSポストセブン

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