中国のアニメ好き熱狂の「ビリビリ動画」 収益化には苦戦

7月14日(土)9時0分 Forbes JAPAN

深センのIT企業に勤める30歳のLi Anはアニメとゲームが大好きで、動画共有サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」では毎日1時間、ゲームを楽しんでいる。

「ビリビリ動画は大学時代から使っている。今でも自分にとって最高の娯楽の一つだ」とLiは話す。運営元のBilibiliは米ナスダックに上場しており、月間ユーザー数は7750万人に達している。

同社CEOのChen Rui は最近のインタビューで、「今後はゲームなどの有料会員サービスを追加して売上を増やし、黒字化を達成したい」と述べた。ビリビリ動画の今年第1四半期の売上高は1億3800万ドル(約153億円)と前年から倍増し、損失は920万ドルに縮小した。

40歳のChenは連続起業家で、自身もアニメの熱烈なファンだ。ビリビリ動画はアニメ配信サイトの中でゆるぎない地位を築き、アリババやテンセントなどの大手と対抗できるまでになった。アナリストらはビリビリ動画が今後、中国のミレニアル世代の支持をさらに集め、黒字化を果たせるかどうかに注目している。

「ビリビリ動画は若いファンのコミュニティのようなものだ。この分野でこれだけの規模のサイトは他に存在せず、ユーザーのエンゲージメントは非常に高い」とビリビリ動画に出資する「IDG Capital」のTong Chenは話す。

ユーザーのエンゲージメントを高めるビリビリ動画の取り組みの一つが、「オンラインテスト」の実施だ。ユーザーはビリビリ動画の歴史や日本の漫画家に関する質問に答え、合格するとより多くのコンテンツを視聴することができる。他にも、ユーザーは「弾幕」と呼ばれるリアルタイムで画面上を流れるコメントを打ち込み、ユーザー同士で会話をすることができる。

2009年に誕生した動画分野の老舗

コンサルタント会社「Analysys International 」によると、4月のビリビリ動画ユーザーの1日当たりの平均滞在時間は78分だった。また、若いユーザーが多く、24歳以下のユーザー比率が55%を超える。

これに対し、アリババ傘下の「Youku Tudou(优酷土豆)」やテンセントが運営する「Tencent Video」、バイドゥ傘下の「iQiyi(愛奇芸)」の24歳以下の比率は18〜19%だ。

ビリビリ動画は、2009年に28歳のXu Yiによって設立された。Xuは後に経営をChenに任せたがプレジデントとして会社に残り、同社の「コミュニティカルチャー」の発展に努めているという。

「Chenのような年齢でビリビリが提供する若者カルチャーを理解し、同社のかじ取りができる人材は珍しい」とIDGのTongは話す。

それでも、ビリビリ動画の現状はChenの目指すゴールとは程遠い。同社の趣意書には、「動画やライブ放送、モバイルゲームなどを提供する総合娯楽サービス企業に成長した」と記載されているが、ゲーム以外のコンテンツから収益を上げることはできていない。

ビリビリの主な収益源は日本からライセンスを取得した「Fate/Grand Order」と「Azur Lane」などのモバイルゲームで、売上高の80%を占める。「主力事業の動画ストリーミングが収益を牽引できていないことは大きなリスクだ」とAnalysys Internationalのアナリスト、Ma Shicongは指摘する。

利用者は「広告を表示するな」と抗議

同社の偏った収益構造は当面続く見通しだ。中国では長年、海賊版コンテンツが横行し、ユーザーがコンテンツ視聴に料金を支払うようになったのはつい最近のことだ。コンサルタント会社「iResearch」のアナリストのGuo Chengjieは、「ビリビリ動画が有料会員から大きな収益をあげるのは、しばらく先になる」と予測している。

競合他社の多くは、広告収益を主な収益源としている。しかし、ビリビリ動画は2016年に日本のアニメで広告を表示したところ、多くのユーザーが「広告を永遠に表示しない」という約束を破ったとして猛烈に抗議した。Chenはすぐに謝罪し、それ以降ビリビリ動画が扱う広告はバナー広告のみとなっている。

こうした中、iQiyiやYouku Tudou、Tencent Videoはアニメコンテンツを強化し、テンセント傘下の動画共有サイト「Kuaishou(快手)」がビリビリ動画のライバルである「AcFun」を買収するなど、競争環境が激化している。

Analysys InternationalのMaは今後、コンテンツのコストが上昇すると指摘する。
しかし、IDGのTongはビリビリ動画の先行きに対して楽観的だ。ビリビリ動画は中国で最も人気のアニメ配信サイトであり、他社が簡単に模倣できないエコシステムを構築している。

一方で、収益面に関しては新たな手法を考える必要があるとTongは指摘する。「テンセントなどの大手が独占していないニッチなジャンルのゲームを、もっと配信する必要がある。収益化はまだ初期段階だが、このまま高いエンゲージメントと長い滞在時間を維持できれば、いつかは収益化を図ることができるだろう」とTongは話した。

Forbes JAPAN

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