世界で最も長いグリーンが楽しめる「ザ・ヨーロピアン・クラブ」

7月14日(土)15時0分 Forbes JAPAN

1987年に開場したザ・ヨーロピアン・クラブは、世界有数の設計家であるパット・ルディが設計し、所有しているゴルフ場だ。全英オープン選手権を2連覇したパドレイグ・ハリントンが技を磨き、タイガー・ウッズがレコードを持つコースに隠されたこだわりとは。

ヨーロピアン・クラブは、アイルランドの首都ダブリンからわずか約30マイル南下したブリタス・ベイという海岸沿いにある。開場が1987年と非常に歴史が浅いのに、世界のトップ100にランクインした素晴らしいリンクスだ。

パット・ルディはリンクスデザイナーとしては世界有数の設計家である。69年を皮切りに、リンクスコースを中心として36ものホールを設計してきた。

しかしながら、テキサスにあるチャンピオンズ・ゴルフ・クラブに触発されて「自分自身の設計したコースを所有する」という夢の虜になった。チャンピオンズ・ゴルフ・クラブは58年、ジミー・デマレットとジャック・バーク・ジュニアがデザインしたゴルフ場である。

パット・ルディが伝統的なリンクスと現代ゴルファーの技術進歩に耐えうる場所を求め、ヘリコプターでアイルランド全体を探しに探して、僥倖として出合ったのがブリタス・ベイだ。細部にまでこだわってつくられたコースは、ドナルド・ロスが設計したアメリカのパインハースト・ゴルフ・リゾートNo.2と並び称されるほどの名コースとなっている。
 
コースの歴史は浅いが、既に逸話は豊富だ。例えば67というコースレコードのホールダーはタイガー・ウッズであり、当地で開催されたアイルランドオープンアマチュア選手権を制したのはローリー・マキロイだ。また、2007年と08年にはアイルランド・オープン選手権の開催地となり、勝者となったパドレイグ・ハリントンが、翌週に行われた全英オープンも制覇している。

彼は少年時代からこのリンクスで技を磨いていたそうだ。パット・ルディのコース設計が、全英オープン開催地のカーヌスティ・ゴルフリンクスやロイヤル・バークデール・ゴルフ・クラブとなんら変わらない難しさだということを証明していると言える。


リンクスの伝統を受け継いでつくられたバンカーの数々が、プレイヤーを苦しめる

ちなみに07年はアイルランドにてプレーオフを行った翌週、全英オープンもプレーオフでの決着となり、08年は2位に4打差をつけて優勝した翌週に全英でも4打差での優勝という、スコア差まで一緒だったという落ちもついている。

リンクスとしてもトップ選手に対応できる7377ヤードから、5434ヤードまで4つのティーのオプションがあり、さまざまな技量を持つゴルフプレイヤーが楽しめるコースとなっている。

我々はアイルランドツアーを反時計回りに実施していたので、ここヨーロピアン・クラブに到着したのはツアー最終局面であった。到着すると、珍しくひどい雨が降っていた。クラブハウスで待機していると、メンバーとおぼしき方が「もう少し雨は続きそうだが、じきにやむぞ」とおっしゃった。また、ここをプレーせずに去るのはありえないという思いで、ティーグラウンドに向かった。

最初の1番から手強いホールの連続で、雨とあわせて手こずった。しかし後半にはすっかり雨も上がり、短いながらもタフだと噂のパー 3の12番ホールに到着した。2パットで上がれれば上等だと聞いていたが、無事にワンオンに成功するも、グリーンがタフでやはり3パットしてしまったのはご愛嬌だろう。ちなみにパット・ルディが一番好きなのがこの12番ホールで、夜まででもずっと居たい場所であるそうだ。


設計者のパット・ルディ自身が最も好んでいる12番ホール。非常に海と近く、ショットがビーチへ届く可能性さえある。

このザ・ヨーロピアン・クラブは20ホールある変則コースでも有名だ。特に珍しいことに、そのうち19ホールからは海が見え、距離も非常に近い。ヘリコプターまで使って場所を探したパット・ルディの執念を実感できる。

数多くある深いバンカーに出入りするところに、鉄道の線路の古い枕木(ちなみに英語では「sleeper」というからこれはこれで面白い)が使われているのも、英国のリンクスの伝統を継承している。古いリンクスをこよなく愛したゴルフ評論家のバーナード・ダーウィンが生きていれば、きっとこのゴルフ場を大好きになったに違いない。

ロザペナ・ゴルフ・クラブやバリーリフィン・ゴルフ・クラブなど、アイルランド屈指のリンクスを設計してきたパット・ルディが、最後に集大成として自分のゴルフ場を完成させたザ・ヨーロピアン・クラブ。終わってみると本当に素晴らしいコースであったなとおきまりのビールを飲んでいたら、先ほど「雨でも回ってこい」と背中を押してくれたメンバーらしき方が、なんとパット・ルディご本人だった。当時まだインターネットもあまり普及していないころとはいえ、我々の不明を恥じるばかりであった。

天気まで詳細に理解する、深い愛に包まれた新名門コースに乾杯!

こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

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