【投資の真髄:トヨタ生産方式(9)】資金効率は5〜10倍の「提案型販売」

7月16日(火)7時30分 財経新聞

 自動車産業でも、日本市場の縮小が進んでいる。そして、自動車を販売するディーラーの営業姿勢は「待ちの姿勢」のままだ。すなわち、「潜在する市場」を能動的に掘り起こす動作をしていない。お客様がネットで事前に調べ、買いたい車種をほぼ決めた状態で来店するのを待っている。

【前回は】【投資の真髄:トヨタ生産方式(8)】「待ちの姿勢」で、資金効率が高い「コンビニ方式」

 「待ちの姿勢」でいる営業マンは、キャッチセールスのように契約に持ち込む腕前だけを競っているようなものだ。そのため最近、「クロージング」と呼ばれる契約書調印に持ち込むやり方が、強引になってきた。購買意欲が低い市場の中で、購買意欲を広げる方策をせずに、「刈り取り」ばかりでは「怠慢」と言うしかない。 

 しかし、メーカーであるトヨタ自動車の豊田章男社長が「よいクルマをつくろうよ」と呼びかけるのには、「質のよいクルマを造ろう」という意味と、潜在するクルマ「市場を創造しよう」と購買意欲を呼び覚まそうとする両方の意味があるだろう。「潜在市場」を見定めるところからMR(マーケットリサーチ)の手法をカイゼンし、「顕在化している市場」だけでなく「潜在していてユーザー本人も気づかない」購買意欲を捉え「呼び覚ます」方策をとる必要がある。それが「提案型販売」であり、「広告戦略」が伴うことが絶対の条件となる手法だ。

■資金効率は5〜10倍の「提案型販売」
 小売業商店では「2割の商品で8割の売り上げを作る」と言われてきた。つまり、8割の商品は「見せ在庫」、ダミーに近いのだ。なぜなら、在庫全体が少ないと「売り上げそのもの」が立たないのだ。

 中古車販売チェーンのガリバーの在庫はすごい量で、購買意欲をそそられる。しかし、常時回転する商品はそのうち2割であると思われる。個人商店がどれほど「売れ筋商品」だけ2割取り揃えても、8割のほとんど回転しない商品が同時に展示されていないことによって、大型スーパーに売り上げを持っていかれるのだ。

 そこで、「スーパーの売り場面積を減らし、コンビニと同等の売り場面積にして同じ売り上げを上げられないか?」と考える。つまり売れない8割の在庫を仕入れず、また展示せずに2割の商品だけで商売出来たら、資金効率は5〜10倍になることになる。そして売り場面積が小さければ、「賃貸料、人件費」も大幅に下がる。在庫商品も2割で良いとなったら、資金効率が少なくとも数倍になることは分かるであろう。

 つまり、同じ資金量で「数倍の店舗数」を持つことが出来るということになる。言い換えれば、「少額額の投資でも、普通の利益」を上げることが出来ることになるのだ。

財経新聞

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