はた迷惑な吉本騒動、プロ野球界にも「飛び火」

7月25日(木)8時0分 JBpress

”闇営業”問題で記者会見する吉本興業の岡本昭彦社長(写真:アフロ)

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 世の中は「吉本騒動」で大騒ぎだ。反社会勢力との〝闇営業〟で金銭を授受していながらも虚偽の弁明をしていたことなどの不祥事について、お笑いコンビ・雨上がり決死隊宮迫博之ロンドンブーツ1号2号田村亮が20日に会見。するとこれで急に風向きが変わってしまい、自らの会見開催を強く求めていた宮迫と田村に対して所属する吉本興業ホールディングス株式会社(吉本興業)の岡本昭彦社長が裏側で強く反対し、パワハラまがいの暴言を並べていた事実も新たに発覚した。

 その上、同じく所属するダウンタウンの松本人志に促される形で今度は岡本社長が会見を開き、契約を解消した宮迫への処分撤回などを発表するも、企業のトップらしからぬ口下手な弁明と一貫性のなさに批判が集中。極楽とんぼの加藤浩次が「幹部が辞めないなら自分が退社する」とまで言い出し、一体何が論点なのかさっぱり分からないグダグダな騒動によって世は今も大きく振り回され続けている。


闇営業タレントのコンプラ違反がいつの間にかうやむやに

 そもそもの過ちは言うまでもなく宮迫、田村ら〝闇営業〟にかかわった所属タレントたちが反社会勢力から金銭を授受していたことに加え、金をもらっていながら「ノーギャラだった」とウソをついていたことだ。これがいつの間にか論点は大きくずれ、吉本興業・大崎洋会長と岡本社長のマネジメント能力が問われる形となり、宮迫と田村ら〝闇営業タレント〟たちの犯したコンプライアンス違反がうやむやになりつつある。よく分からない流れだ。

 そうした中でも、ひとつだけハッキリとしているのは、それまで飛ぶ鳥を落とす勢いだった吉本興業のイメージが急落したということである。これにダメージを受けているのは、何も同社でお笑いに関わっているスタッフや芸人たちだけではない。吉本側とスポーツマネジメントの面で関わる人々も同じように肩身の狭い思いを強いられつつある。


スポーツマネジメントでも幅を利かせる吉本興業

「お笑いの総合商社」といわれる吉本興業だが、近年はスポーツマネジメントにも力を入れているのは業界内でも広く知られた事実だ。元プロ野球選手のK氏が引退後に同社社員となった関係でスポーツ部門の設立を2002年ごろに本格化。実を言えば、このプランを後押しして社内での設立に尽力した人物こそ、当時まだ副社長で現在は同社のトップにまで上り詰めた岡本社長である。あの会見ですっかりイメージが悪くなってしまった同社長の〝肝いり〟とも言えるスポーツ部門に携わる側からすれば、今回の一連の騒動ぼっ発はたまったものではない。

 吉本興業のスポーツ部門では、K氏の存在もあってプロ野球関係での契約が多い。古くは戦前、同社が読売巨人軍の前身である大日本東京野球倶楽部の創設にもかつて資本参加していた過去もあるからなのだろう。

 ちなみに、そのプロ野球で吉本興業は日本人メジャーリーガーとなった現役、OBとも数多く契約を結んでいる。メジャーで7球団を渡り歩き、日米通算2000本安打を達成した青木宣親外野手や、シカゴ・カブスなどに在籍した現阪神タイガースの福留孝介外野手、ボストン・レッドソックスなどでプレーした現在FAの田澤純一投手、サンディエゴ・パドレスでメジャーとマイナーを行き来する牧田和久投手ら現役組に加え、引退したOB組にはパドレスでフロント入りしている斎藤隆氏、東北楽天ゴールデンイーグルスでGM職に就く石井一久氏らが契約を締結する〝吉本在籍者〟だ。

日米通算2000本安打を達成した青木宣親も吉本興業所属(2017年6月11日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Bob Levey 〔AFPBB News〕

 吉本側は米ロサンゼルスに拠点を置く有力エージェントのCAA(クリエイティブ・アソシエイツ・エージェンシー)と太いパイプを持っており、大谷翔平投手(アナハイム・エンゼルス)を顧客として抱えるCAA所属の有力代理人ネズ・バレロ氏とも古くからホットラインがある。

 こうしたツテをフル活用しながらスポーツ部門での契約者を全面バックアップ。日本人メジャーリーガーが米国での生活に困らないように住居の手配などプライベートのサポートも「よしもとエンタテインメントUSA」の現地スタッフが基本的に行う。引退後のセカンドキャリアも吉本側が面倒を見てくれるという利点もあるのは契約者たちにとって非常に大きい。

 もちろん、こうした「吉本の厚遇」の恩恵に授かれるのは何もメジャーリーグ経験者に限ったことではない。吉本側とマネジメント契約を結ぶ楽天・岸孝之投手や千葉ロッテマーリンズ・涌井秀章投手ら国内組の〝吉本在籍者〟たちも同様だ。


騒動でスポーツ関係者の「吉本離れ」も

 ところがこれらのメリットがある吉本との契約に対して、ここ最近の吉本ブランドのひび割れ現象によって、球界内で拒否反応が表面化しつつあるというのである。

 球界内の事情通からは次のような指摘も飛び出している。

「今回の吉本騒動では、同社のスポーツ部に携わる面々も、芸人やその関係者たちと同じくらい打撃を受けている。これまでは〝吉本〟という名前だけで多くの選手たちを引っ張って来ることが出来たが、逆に敬遠される材料になりそうだからだ。

 実際に日米で争奪戦ぼっ発必至の高校歴代最速163キロ右腕・佐々木朗希(大船渡高3年)にも吉本関係者が熱い視線を送り、今夏の県大会へも足を運んでいるが、どうやら地元の有力者たちから『あの吉本だろ?』といい顔をされていないらしい。これは間違いなく、今回の騒動の影響だ。

 しかも、契約中の選手やOBからも吉本への不安の声が上がりつつあるようだ。今回の騒動で吉本に対する世間からの信用が薄れることでスポーツ界とのコネクションが途切れたり、盤石とされていたサポート体制に悪影響を及んだり、さらには仕事も回って来なくなったりするのではないかという懸念がささやかれ出している。吉本内部のゴタゴタが今後しばらく続くようなら、イメージダウンと実害を恐れて他のマネジメント会社に乗り換える所属選手やOBが出てくるかもしれない」

 何度も繰り返すが、吉本騒動で頭を抱え込んでいるのは当事者たちだけではない。この日本有数の巨大企業に所属する全員、そして関係する多くの人たちも多大な迷惑を被っている。吉本側にはごちゃごちゃになったお家騒動と闇営業問題を今一度、線引きし直して正しい着地点を世に示してもらいたい。

筆者:臼北 信行

JBpress

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