BIGLOBEトップBIGLOBEニュース

BtoB経営を変える組織的マーケティング5つの要素

JBpress8月14日(月)6時0分
画像:BtoB企業にとって、社会からの支持を増やし続けていくためにマーケティングは必須だ(写真はイメージ)
写真を拡大
BtoB企業にとって、社会からの支持を増やし続けていくためにマーケティングは必須だ(写真はイメージ)
画像:ビッグビート 代表取締役 濱口 豊氏
写真を拡大
ビッグビート 代表取締役 濱口 豊氏
画像:サイボウズ 社長室フェローの野水克也氏
写真を拡大
サイボウズ 社長室フェローの野水克也氏
画像:B2Bhack.comを主宰する飯室 淳史氏
写真を拡大
B2Bhack.comを主宰する飯室 淳史氏
画像:日本の組織は自律型でありながらリーダーシップが欠如していると指摘する
写真を拡大
日本の組織は自律型でありながらリーダーシップが欠如していると指摘する

 去る8月1日、紀尾井カンファレンスにて「Bigbeat LIVE」が開かれた。「マーケティングで経営を変える」をテーマに、BtoBマーケティングの先駆者4名が登壇。会場には300名以上のBtoB経営者やマーケティング担当者が集い、大いに賑わいを見せた。

 冒頭、主催者であるビッグビート 代表取締役濱口 豊氏は「日本のBtoB企業にはマーケティングがないと言われるが、経営とは『社会からの支持を増やし続けていく行為』と考えると、BtoBでは創業社長が自らの感覚でやっているケースが多いために、組織として機能していないように見えるのではないか」と語り、「組織的なマーケティングを取り入れることで、BtoBの経営は大きく変わってくると信じている。今日をきっかけに、BtoBマーケティングのあり方を、みなさんと一緒に考えていきたい」と挨拶した。

 本稿では、4時間半に及んだイベントの中から、今すぐ参考にしたいBtoBマーケティングのエッセンスを5つのポイントに絞ってお届けする。


サイボウズをシェアNo.1に引き上げたマーケティングの力

 まずは、20周年を迎えたサイボウズ社長室フェローの野水克也氏の講演「サイボウズ式マーケティングは弱者の経営戦略史〜会社をコンテンツにするにはマーケティングを経営そのものにするしかない〜」の中から3つのポイントを紹介する。

 20人程度のサイボウズへ入社し、サイボウズ Officeのプロジェクトマネージャーやマーケティングを歴任した野水氏は、ベンチャーから一部上場企業へ成長してきたサイボウズの歴史について語った。

 「知名度が高いのでマーケティングがうまいと思われているようだが、すべては結果論。それでも8年連続シェアNo.1のグループウェアになった理由を振り返ってみた」(野水氏)

ポイント1:弱者の戦略

 サイボウズが創業した1997年当時のグループウェア市場は、大手ソフトベンダーで寡占状態だった。しかし、導入費用が高く、1台ずつPCにインストールしなければならない、など不便が多く、「もっとシンプルで使いやすいものが必要だ」と生まれたのがサイボウズだった。

 「たった3人のベンチャーからスタートしたため、何もかも“ないない”尽くし。集団戦では勝てないので、インターネット広告だけに投資をして、ITレベルの高い現場を直接狙うゲリラ戦を行った。ターゲットは当時35歳くらいのガンダム世代であり、先進的で常識にとらわれない革新的IT推進者。その代わり、50代の大企業の部長がいる保守的な企業は捨てて、とにかく下から攻めることに徹底した」と野水氏は語る。

Product:Webを使ったシステム管理者不要の簡単グループウェア
Price:経費で買える価格(198,000円)
Place:インターネット直販
Promotion:ネットでガンオタ世代をくすぐる

 当時のインターネット広告はBtoC企業も含めて400億円市場だったところに、サイボウズだけで10億円投資していたと言うから、その本気度がうかがえる。とにかく目立つバナー広告とメール広告でホームページへ誘導し、そこから60日間の無償利用ができる試用版を配布。インストールしたユーザーのうち約10%が60日以内に購入に至ったのだという。

 「奇抜だと言われるが、我々としては、ランチェスター戦略とコトラーの教科書通りのマーケティングを忠実にやっているだけのつもりだった」(野水氏)

ポイント2:選択と集中

 先のマーケティング戦略が功を奏し、2000年には東証マザーズに上場。シェアNo.1を奪取していたこともあり、そこからサイボウズはM&A戦略に転じる。

 「上場を機に“メジャー感”を出そうと、正統派のプロモーションに移行しようとしたが、完全に失敗した。製品のコンセプトもグラグラで、売上も停滞期に突入。M&Aで会社が大きくなれば、社員は喜ぶだろうと思ったのに、なぜか離職率は増える一方という、何もかもが空回りする中、Googleの登場によって、突然ゲームのルールが変わった」(野水氏)

 それまでのグループウェアはサーバーにインストールする形式だったが、当時ASPと呼ばれていたGmailはインストール不要。グループウェアもそうした世界に入っていくのかと悟った青野社長は、改めてサイボウズの現状を見つめ直し、「自分たちがやりたいのはグループウェアではなく世界中のチームワークを良くしたいのだ」と気付き、以降はチームワークだけに集中することを決意。買った会社はほぼすべて売り払い、開発リソースのほとんどを売上ゼロのクラウドへ振り向け、反対派のマネージャーは役職を外した。

 クラウドに投じた累積金額は、年間売上50億円に対して100億円超。当然ながら、数年間の赤字と従来のASPパートナーに対する謝罪行脚の日々が続いた。「それでも、安易に売上の立つ大企業向けのプライベートクラウドには手を出さず、理想と未来を信じて耐え抜いた結果、既存の売上は下がらず、クラウド分の売上が積み上がる状態が生まれた」と野水氏は語る。

ポイント3:ファンを増やす

 サイボウズといえば働き方改革だが、そちらへ舵を切ったのは「技術革新と言われているものによって本当に変わっているのはワークスタイルであり、そのために人々はお金を払っている。新しいワークスタイルを自分たちが提言できないで、世界を変えられるわけがない」という考えのもとだったという。

 少子高齢化によって共働きと介護に追われる人が増え、労働人口の縮小が目前に迫る中、人々は拡大よりも自分らしさを追求するようになる。そのように働き方の価値観が変わる中で会社が存続するためには、今いる社員の意識から変えなくてはならない。

 「チームワークという理念を突き詰めると、会社が変わった。今はソーシャルで継続的につながれる時代。一度ファンになってもらえたら、ずっと好意的な目で見てもらえる。今、サイボウズでは広告費の内訳としてコンテンツとメディアで9:1くらいコンテンツに投資をしているのは、お客様が広げてくれるから。ブランドはあらゆる接点で作られるので、会社に関わる人を増やすことを大切にしたほうがいいと思う」(野水氏)


小さな一歩を今すぐ踏み出せ

 続いて、B2Bhack.comを主宰する飯室 淳史氏による講演「マーケティングで経営を変える〜アメリカの経営者にできて、なぜ我々はできないのか?〜」の中から2つのポイントを紹介しよう。

 独立前はGEヘルスケア・ライフサイエンスで世界50名のデジタルマーケティングエキスパートたちを率いて、BtoBのコンテンツマーケティングを推進してきた飯室氏。これまで培ってきた経験則と独自に体系化した黄金律が披露された。

ポイント4:顧客理解

 「今、マーケティングで経営を変えないと、この先の日本企業は世界で戦うどころか、日本国内でも成長がおぼつかなくなる」と語る飯室氏は、我々日本人がマーケティングができない理由は「マーケティングを知らない」「広告代理店に丸投げして覚える気がない」からだと分析し、日本とアメリカの違いを次の図で示した。

「日本の自律分散型を維持した上で、戦略とスピードを重視するハイブリッド型を目指すべきだと考えている。マーケティングはゴールではない。マーケティングで経営を変えることで、成長軌道に乗る変革を遂げよう」(飯室氏)

マーケティングで経営を変える際に、中心に来るのは「顧客理解」である。

 既存顧客への依存度合いが高いBtoBでは、「既存顧客とは直接話してコミュニケーションが取れているし、ニーズにも応えている」と考える経営者は多い。しかし、「『顧客の欲しがるものを売るだけ』『顧客の要求に応えるだけ』では、顧客が本当に求めている“成果”に対してコミットしていることにはならず、ニーズ無き高機能化と多機能化路線を修正できない」と飯室氏は警鐘を鳴らす。

 「顧客自らインターネットで情報収集ができる今、顧客が出すRFP(Request for Proposal)に応じるだけでは、もはや価格勝負にしかならなくなっている。お客様の結果を担保して“成果”を売ることができれば、モノやコトの売買ではなく戦略的なパートナーシップを結べるようになる」(飯室氏)

ポイント5:文化の変革

 企業がマーケティングを始めようとすると、どうしても「ツールを導入しよう」という思考になりがちだ。だが、「すべてを“お客様目線で考える文化”に変えない限り、ツールだけ導入してもマーケティングは絶対に成功しない」と飯室氏は断言する。

 同時に、“失敗から学び、成果を出せる組織文化”を醸成することも重要だ。仮説検証を繰り返すマーケティングは失敗して当然であり、100の失敗から1の成功を導き出すものであるとも言える。そんなマーケティングを根付かせるには、失敗させないように指導するのではなく、成功するまで勇気づけるリーダーシップが欠かせない。

 そして文化の変革を成功へと導く公式を飯室氏は示した。

Quality×Acceptance=Effect

 つまり、「Q(解決策・企画の質)」と「A(受容した人々の行動が変わること)」を掛け合わせることで「E(効果)」になるというわけだが、ここで重要なのは「A」である。当然ながら、「A」が0であれば、Eも0にしかならず、失敗の原因を「Q」に求めるのはお門違いなのだ。

 「Acceptanceを大きくすることは、文化の変革そのものだ。具体的な行動をどう変えるべきかを示し、行動が変わり文化が変わるまでコミュニケーションし続けることも、マーケティングの大切な仕事だと言える。ぜひ明日から何か行動に移してもらいたい」と飯室氏は説いた。


人のためにマーケティングで経営を変える

 300人が収容できる会場が満席となった今回のイベント。他にも、イマジナ 代表取締役社長 関野吉記氏がBtoB企業に求められる「成長実感を生み出すブランディング」について講演し、そしてPDCAソーシャル代表 ニール・シェーファー氏が日本のBtoB企業がどうデジタルと向き合うべきかを指南した。

 最後のセッションまで席を立つ参加者はほとんどおらず、BtoBマーケティングに対する注目の高まりを感じずにはいられなかった。

 マーケティングで経営を変えなければならないのは「人(ステークホルダー)」のためであり、「人(お客様)」を知り、「人(従業員)」を変えることこそ、マーケティングの真髄であると学んだ。

筆者:野本 纏花

Japan Business Press Co.,Ltd. All Rights Reserved.

はてなブックマークに保存

JBpress

最新トピックス

経済トピックス

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

話題の投稿画像

ページ設定

「マーケティング」をもっと詳しく

注目ニュース
中国「強烈な不満」=米通商調査に報復も 時事通信8月21日(月)18時50分
【北京時事】中国商務省は21日、米通商代表部(USTR)が対中貿易制裁を視野に米通商法301条に基づく調査を始めたことを受け、「強烈な不満…[ 記事全文 ]
マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!ついに決着!マクド軍が勝利! Digital PR Platform8月21日(月)15時56分
8月22日(火)から、勝利軍バーガー「大阪ビーフカツバーガー」「大阪ビーフカツマフィン」がお得になる“優勝セール!クーポン”を配信!さらに…[ 記事全文 ]
バイク販売低迷、ピークの1割…原付き振るわず 読売新聞8月20日(日)11時38分
国内バイク市場の低迷が続いている。手頃な価格の軽自動車や電動アシスト自転車が人気となり、身近な移動手段だった原付きバイクの販売が振るわないためだ。二輪車大手は利幅の大きい中・大型に力を入れるなどして打開したい考えだが、若者のさらなるバイク離れを招く恐れもあり、難しい対応を迫られている。[ 記事全文 ]
ゲーム専用機「復権」、「スイッチ」の品薄続く 読売新聞8月21日(月)7時35分
国内のゲーム市場で、専用機が「復権」している。スマートフォン向けに押されていたが、今年3月に発売された任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が爆発的に売れ、人気ソフトも販売を伸ばす。上半期として、専用機の国内売上高が今年、3年ぶりに前年同期を上回り、活況を呈している。[ 記事全文 ]
7月の熱中症救急搬送は2万6702人、単月で最多 TBS8月21日(月)16時32分
7月の全国の熱中症による救急搬送の人数は2万6702人と、7月としては、2008年に調査を開始して以来、最多となりました。[ 記事全文 ]

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア