中国が皇居・官邸の3D地図入手、北朝鮮にも流出か

8月19日(月)6時12分 JBpress

天皇に即位され、一般参賀にご挨拶される天皇陛下と皇后陛下(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

写真を拡大

 平成から令和への御代替わりを国民は誇らしげに、また興奮と冷静の複雑な気持ちで迎えた。

 災害の多かった平成時代の日本人の心を和まし続けられた上皇・上皇后陛下への限りない愛惜と、新しい元号の典籍(万葉集)が示す日本の歴史を顧みる画期となったことなどからであった。

 多くの国民が「日本は天皇と共にある」「聖なる天皇は社会安寧の芯柱」と、身をもって実感した。

 同時に、安倍晋三首相が率いる自民党政権を観ながら、国家の威信と運営は安定した政治によってもたらされることをひしひしと感じている。

 国政選挙で国民が自民党を支持し、安倍首相が「世界の真ん中で輝く日本」と公言できるのも、安定した長期政権で地球儀外交をやってきた自信がもたらす発言であろう。

 そうした中でも、日本の安全を毀損しかねない事象が見え隠れしている。

 一つはドナルド・トランプ米大統領の日米同盟に対する不満である。

 日本側にも米軍の訓練や横田空域設定など、日本の主権が行使できない不条理を感じており大いに協議すべきである。

 もう一つは日中友好を謳う裏で中国が行なっている日本侵略工作であり、本小論ではこの点に焦点を絞る。


帰化中国人の怪しい行動

 8月9日付「産経新聞」は1面中央下に、「都心3D地図 中国で転売」「帰化の男 書類送検 情報機関関与疑い」の見出し記事を掲載した。

 30年前に帰化して「日本人」になっているはずの元中国人が、皇居や首相官邸がある千代田区をはじめ、中央区、港区の全域、そして新宿区の一部の3次元地図(NTT空間情報)を中国企業の元同僚に転売した容疑で書類送検されたというのである。

 帰化日本人は貿易会社役員である。

 建物の高さや形状が分かる高精度のNTT空間情報の3次元地図は海外への転売が禁止されている。

 高精度の3D地図は海外では諜報や軍事目的で使用される恐れがあり、同紙27面の関連記事見出しが「中国流出 3D地図 軍事利用も」「ミサイルのルート選定」と書いて危惧を表明する通りである。

 容疑者は「日本への不動産投資を考えている顧客向けに案内図として使う」と利用目的を語り、特定地域に限定すると怪しまれるとみてか、「段階的に別の区の地図も買う予定」などと偽って説明していたという。

 新聞では「中国情報機関に流出か?」としている。

 その可能性は非常に高いし、その場合は軍事目標情報や日中間に問題が発生した場合などの「圧力」に利用するとみていいだろう。北朝鮮への横流しも危惧される。

 2015年4月には、クワッドコプターと呼ばれる4つのプロペラをもつドローンが首相官邸の屋上で見つかり大騒動になった。

 1980年代中期に巡航ミサイル(CM)が出現し始めた頃、デジタルマップの応用に関与した経験からみれば、3D空間情報の適用で地域目標だけでなく、要人の執務室がピンポイントで特定されるなど、脅威は格段に増大する。

 3D情報をCMやUAV(無人機、ドローンも含む)などに組み込めば、意図する場所にピンポイントで化学・生物・核(CBR)物質などを搬入・拡散することも可能とみなければならない。

 テロや軍事的攻撃への活用も然ることながら、交渉時などの「圧力」として外交的な活用は大いにあり得よう。


中国が民主党政権にかけた圧力

 米国が天皇を人質に憲法を押しつけたと同様に、中国は尖閣諸島をはじめとした領土問題や重要な要求を行う場合、要人を人質に圧力をかけてこないとも限らない。

 民主党政権を樹立した鳩山由紀夫首相(当時)は、「日本列島は日本人だけのものではない」と嘯いた人物である。

 ほとんどの日本人は「戯言(ざれごと)」と一笑に付したが、中国の日本蚕食(特に北海道)はこれを機に一気に高まり、今では日本全土で8万ヘクタール(広島市や仙台市に相当)にも上っているとされる。

 民主党政権は伊藤忠商事の社長・会長を務めた丹羽宇一郎氏を駐中国日本大使(2010年6月〜12年12月)に任命した。大使に必要な国家観・歴史観・安全保障観のすべてが欠落した単なる商売人で、赴任すると早速売国奴に変身する。

 丹羽氏は「(靖国参拝を中止すべきとの見解に加え、)日本が中国と本格的に付き合おうと思ったら、日本は中華世界の一員になることが必要」(『文藝春秋』平成16年12月号)と語っていた。

 また「将来は大中華圏の時代が到来」「日本は属国として生きていけばいい、それが幸福かつ安全に生きる道」(深田祐介氏のインタビューに応えて、『WiLL』2012年7月号)とも語っている。

 2011年3月11日、東日本大震災が起きると、日本は未曽有の混乱に陥る。その2か月後の5月14日付「産経新聞」は、「中国、都心の一等地落札」「大使公邸用地 外相『適法』と容認」と報道した。

 かねて関心をもっていたであろうが、国民に気づかれないようにどさくさに紛れてKKR(国家公務員共済組合連合会)の所有地5677平方メートル(0.57ha、約1800坪)を購入したのである。

(細部はチャンネル桜のキャスターによる参院議員浜田和幸議員インタビューあり、16日放映)

 さらに2か月後の7月、駐中国日本大使館が新しく完成する。しかし、中国は申請になかった「吹き抜け」(陰謀の臭いもする)を見つけ大使館の使用を認めない。一方で、名古屋と新潟総領事館に関わる土地買収で便宜を要求する。

 理不尽な要求を大使は拒否せずに本省に泣き付きつく。玄葉光一郎外相、野田佳彦首相は「中国側の要請に関連国際法に従って協力する」との口上書を中国政府に提出すると、2日後に大使館の使用許可を出したのだ。

 2012年9月には大使の公用車から日本国旗が奪い捨てられる事件が起きる。笑いごとではないが、国際社会においては「葱を背負って来る鴨」がどのように扱われるかがよく分かる事例である。


反相互主義を許す日本の姿勢

 KKRの土地購入前の中国大使館敷地(1.3ha)は米国大使館敷地(1.32ha)に匹敵する地積をもっていたが、新しく取得したことにより、膨大な敷地(1.87ha)を有することになる。

 また総領事館はビザ関係の仕事が主で十数名・1フロアで十分とされ、中国の大阪総領事館は0.12ha、長崎は0.33haである。

 ところが、中国が食指を動かした新潟の民有地は1.5ha、名古屋は3.1haであった。

 通常業務には大使館用地の10分の1しか必要ないにもかかわらず、大使館相当かその2倍に匹敵する総領事館敷地である。隠された意図があると思うのが当然ではないだろうか。

 外交では相互主義が重んじられ、大使館や総領事館敷地は米国をはじめとする諸外国とはすべて賃貸である。駐日米国大使館も駐米日本大使館も共に賃貸で相互に賃貸料を払っている。

 日本は中国で土地を取得することができないので、駐中国日本大使館は賃貸である。ところが、先述のように中国は大使館用地ばかりでなく、総領事館用地まで購入による「所有」で、相互主義となっていない。

 浜田議員は自身の2011年5月13日付ブログで、「『外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令』があり、外国政府が日本国内の土地を取得する際には財務大臣の許可を得なければならない決まりになっています。ところが、驚くべきことに、昭和27年の大蔵省告示によって中国は『指定対象』から外されている」と書き、「このことを理由に、菅(直人)政権は『中国大使館が日本の土地を買っても問題にできない』と強弁」したと記している。

 加計学園獣医学部開設では半世紀前の文部省告示が時代錯誤の岩盤規制として問題になった。ところが、この大蔵省告示はさらに前のものであり、外交では相互主義が重視されている視点からも大問題である。

 総領事館活動をはるかに超える新潟、名古屋における用地取得の意図に住民が反対運動を起こしたのは当然であるが、当時の民主党政権は一片の危惧も抱かなかったのだろうか。

 安全保障に無関心で為体の政権を許してはならない。


国防動員法が科す義務

 近代以降の日中関係でいえば、中国は困ったときの「日本頼み」で接近してくる。

 しかし、日本はその都度裏切られた。中国が「友好」を口にするのは力が不足している時の外交辞令で、力をもった今は「一帯一路」戦略を掲げて覇権追求を隠そうとしない。

 文化大革命で荒廃した中国は反覇権(対ソ連)を掲げて日本との国交正常化を求め、多大のODA(政府開発援助)をつぎ込ませた。

 天安門事件で世界の顰蹙を買い、制裁を受けた中国は天皇訪中を画策し、日本に制裁破りの突破口を開かせた。

 いまは米中貿易戦争に苦しむ中国である。2年前までそっぽ向いて握手していた中国が、「日中関係は正常に戻った」と鼓吹しながら日本接近を図り、日米同盟に楔を打ち込もうとしている。

 この中国は2010年から国防動員法を施行している。

 有事の際に発令され、対象者は18歳から60歳の男性と18歳から55歳までの女性である。個人や組織が持つ物資や生産設備が徴用されるだけでなく、交通、金融、マスコミ、医療機関は政府や軍が管理し、中国国内に進出している外資系企業も対象となる。

 有事発令とはいえ、平時からの準備(心構え教育や施設など)が大切であり、また、法は中国本土の中国人や中国企業ばかりでなく、外国在住の中国人や中国に在る日本企業にも適用されるということである。

 日本にいる中国人は70万人以上で、ほとんどが20〜40代であり、動員法の該当者である。

 中国に詳しいノンフィクション作家で評論家の関岡英之氏は、日本には50個師団のトロイの木馬(潜入した兵士)が居るといった通りである。

 北海道で買い漁られている山林では衣食住がまかなえ、秘密裏に武力集団の育成もできるであろう。

 他方で、在日中国人の司令塔になる大使館や総領事館は異常に広大な地積を所有し、治外法権に守られている。

 日本の官憲さえ踏み込めない状況下で、一連の行動は連動していると見るのは考え過ぎであろうか。杞憂であれば幸甚である。


真剣でない日本政府の対応

 ぜいたく品の輸入が禁止されているはずの北朝鮮の店頭に、日本製のぜいたく品がずらりと展示されていることがしばしば報道される。ぜいたく品に限らず、制裁対象物品が北に流れ込んでいるのは明らかである。

 米国のシンクタンク「C4ADS」は、国連が対北輸出を禁じている「ぜいたく品」の北朝鮮への流入に約90か国が関与しており、北朝鮮は2015〜2017年に高級車803台を輸入し、うち3割の256台が日本車(トヨタ自動車がレクサスなど211台、日産自動車43台、三菱自動車2台)であったことを明らかにした(「産経新聞」令和元年7月18日付)。

 こうした制裁破りがいかにして起きているかの一端を、元国連安保理北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏が「日中合弁の闇 対北で利用される日本企業」(『正論』令和元年8月号所収)で明らかにしている。

 和歌山県に本社を置くB社(役員は中国人、A、C社も同じ)と丹東に本社を置くC社が、大連にA合弁会社を設立する。すなわちA社(在中国)がB社(在日本)から輸入した製品をC社(中朝国境)が北朝鮮で売る構図を確立しているのである。

「丹東C社の代表者は大連A社を使って、日本から北朝鮮に大連経由で貨物を不正に輸出した。にもかかわらず、いずれの企業も普通に営業を続けている」という。

 B社は福岡、群馬、静岡各県および大阪府にも営業所を有して日本各地で事業を展開し、「主な仕入れ先として、日本国内の有名企業の名前がずらりと並んでいる。

 主要取引銀行は、メガバンク3行と地方銀行1行の計4行」で、「特に不審な点は見当たらないが、ホームページで、和歌山B社の『事業所』の一つとして大連A社を記載している」という。

 米国であれば、「大連の企業を米国内で起訴・訴追し、制裁対象に指定していただろう(いわゆる2次的制裁)」が、「日本では、国連安保理か米政府が制裁対象に指定しない限り、日本政府が独自制裁を科した前例はほぼ皆無」という。

「日本の民間企業や金融機関が知らずに北朝鮮関連の取引に巻き込まれていた可能性は十分に考えられる」というが、「(日本の)現行の行政枠組みでは、独自制裁のための関係省庁間の役割分担も意思決定プロセスも不明確」と断言する。

 現状では「このプロセスを主導する組織はなく、日本国内の法的手続きに耐えうる高い証拠能力を持つ情報を海外で収集・分析する作業は行われていない」し、「『関係省庁間で責任を押しつけ合っている』との指摘も政府内から聞こえる」という。

 そして「米政府のように、2次的制裁のための強い根拠となる法制を整備し、政府としての意思決定プロセスを明確に定める必要がある」と提言する。


おわりに

 以上からも分かるように、日本は防諜の視点からの法制がほとんど整備されていないということである。国会議員の責務は外交と防衛だといわれるが、スパイ天国では相手に利用されるだけである。

 米国は2016年頃からファーウェイと中国政府の密接な関係を国家安全保障に対する脅威と見始め、2018年8月には国防権限法を成立させ、2019年8月13日から適用して中国企業の閉じ込めを狙う。

 具体的には米政府は中国のスパイ活動を警戒してファーウェイなど5つの企業からの調達を禁止し、企業は軍事転用を阻止するためにファーウェイなどの対象企業への輸出を禁止するなどである。

 米国のこうした動きに対して、3D地図やぜいたく品に見るように日本は何をやっているのだろうか。

 「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼しているというが、そのような諸国民は僅かに存在するだけで、大国を称する国々(をはじめとするほとんどの国)は平和と反対の戦争で他国の領土などを簒奪してきたし、その遺伝子は古来組み込まれたもので今も変わりない。

 複数の日本人がスパイ容疑などで中国に拘束され、一部は判決を受けて服役しているが、ほとんどは嫌疑に覚えがないとされる。

 他方で、日本にはスパイ防止法など、国家の安全にかかわる法制が未整備である。

 四海環海で以心伝心の社会を育み、性善説を信じて已まない日本と日本人は、ほとんどの国が弱肉強食の性悪であることにそろそろ気付くべきである。

 相手を信じることは大切であるが、そのことによって自国が滅亡しては元も子もない。

筆者:森 清勇

JBpress

「中国」をもっと詳しく

「中国」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ