救える命が救われる社会へ。救急救命学の専門家らが非営利組織を立ち上げ、119番救急システムのアップデートに挑む。

2024年8月22日(木)14時10分 PR TIMES STORY

——一般社団法人OPHISについて——

はじめまして。一般社団法人OPHIS(オピス)代表理事の匂坂(さぎさか)と申します。

OPHISは2024年1月に設立された非営利団体で、119番通報時の救急車出動体制をより良い仕組みにアップデートすることを目指しています。

現在は、救急業界の関係者、地域の自治体や救急医療関係機関をはじめ多くの方々のお力を借りながら、官民連携型の新たな119番救急搬送システムの構築に向け活動しています。

今回は、私たちOPHISが取り組む救急搬送の新たな仕組みづくりの展望について、創業ストーリーと合わせてお伝えします。

消防機関や民間搬送事業者など、関係者の皆様と力を合わせて活動を推進

(前列右から3番目: 代表匂坂)

——原点は、非常勤救急救命士としての経験。救急搬送体制への問題意識——

代表の匂坂は国士舘大学防災・救助総合研究所の講師であり、救急救命学博士として多数の学術研究や教育を通じて救急業界の発展に寄与してきました。

その背景には、大学院時代に非常勤救急救命士として現場に立ち、現場の逼迫や隊員の過酷な労働環境を目の当たりにした経験があります。少子高齢化とともに年々救急隊の出動件数はさらに増え続け、このままでは119番通報で本来救えるはずの命が救われなくなる社会になってしまう可能性があることを肌感覚として痛感しました。

以後、研究者としてこの課題へさまざまな角度からアプローチを続ける中で、救急現場の最大の問題は119番通報時の救急搬送の仕組みそのものであり、これは国でも10年以上議論されながら解決されていない複雑なアジェンダであることがわかりました。

この課題に対し、地域消防、病院、地域メディカルコントロール協議会、自治体、学会、省庁、民間患者搬送事業者、一般市民といった多様なステークホルダーの垣根を超えて持続可能な救急搬送システムの構築に取り組む必要性を感じ、2024年1月にOPHISを設立しました。

——民間救急と公的救急の連携により、救える命を増やす——

具体的なビジョンは「民間救急」と呼ばれる医療搬送に特化した民間患者等搬送事業者を公的な救急医療システムに組み込む「官民連携型救急搬送システム」の実現です。

【官民連携型救急搬送システムとは】

現時点では次の2つの搬送シーンで官民の救急・患者搬送車両が連携する構想をしています。

①病院間の患者搬送(転院搬送)

②119番通報時の軽傷者搬送

これらは、現行の救急搬送システムでは基本的には公的(消防)救急車が担うケースが一般的です。①と②を合わせて日本全体の救急搬送の約半数を占めるため、これらを官民の車両が連携して搬送する体制が実現できれば、救急現場の逼迫の解消が期待されます。

そして、それに伴って重症患者の元へ迅速に救急車が到着できるようになり、119番通報によって救える命を増やすことにつながります。


この構想は救急先進国とされるアメリカ(シアトル)やシンガポールを参考としていますが、日本とは制度や慣習などさまざまな点で異なるため日本独自の新たなシステムの考案が必要となります。

国士舘大学の活動にてシアトル型救急体制を視察

このビジョンを達成するために、

①地域での官民連携型救急搬送システム構築事業

②調査・研究

③政策提言

の3つを柱に活動しています。

OPHIS事業3つの柱のイメージ


現在は複数の地域において地域消防、病院、地域メディカルコントロール協議会、自治体、学会、省庁、民間患者搬送事業者、介護福祉施設といった関係機関との協働により実現に向けての意見交換、ルール整備、事業計画の検討を進めています。

——予想を超えるスピードで進行中。救急業界の可能性(代表理事 匂坂)——

根本的な救急の仕組み自体へのアプローチということで、5年、10年、もしくはそれ以上の長い戦いになると覚悟していました。しかし、設立からわずか半年で、各所に予想以上の動きがあり、私自身驚いているというのが率直なところです。

「官民連携型救急搬送システム」の構築には一定規模の予算や詳細なルールの策定が必要となるため、今すぐに実現とはいかないものの、活動地域では予想を遥かに超えたスピードで調査、調整や準備が進んでいます。

また、政策提言という文脈でさまざまな方へご相談やご提案などをさせていただく機会も増えてきましたが、省庁向けのとある提言の一部に我々の案を採用いただくなど、前向きなお力添えやご助言をいただくことが多くあります。

いわゆる「民間救急」と呼ばれる業界についてよく知らない状態からスタートしたため、我々の構想が実現可能なものか心配な点もありましたが、業界のフロントランナーとして活躍される方々と意見交換の機会もいただくことができ、民間と公共が力を合わせた救急搬送システムの理想像が描けるようになりました。

私自身、学生時代からの救急業界歴は10年以上に及び、多くの先生方や先輩方からご指導をいただいてきましたが、この取り組みに対しては特に多くの期待と関心を寄せていただいており、大変心強く感じるととともに身が引き締まる思いです。長い道のりではありますが、救急業界のさらなる発展に貢献できる兆しが見えてきています。

——使命を全うするために、周囲を巻き込む事業づくりを(副代表 前原)——

救急のバックグラウンドを持たない「よそ者」として、救急システムが担う「人の命を救う」という社会的責任の大きさに加え、救急搬送の課題が実は深刻なのにあまり知られていないことに課題を感じています。

この課題を広く社会に知ってもらい、問題解決に向けて周囲を巻き込んでいけるように日々事業づくりに取り組んでいます。

その中で「政策を軸にした社会課題解決のための寄付基金 SoilxPolicy Fund」(株式会社PoliPoli 所在地: 東京都千代田区、代表取締役: 伊藤和真 及び 一般財団法人Soil 所在地: 東京都渋谷区、代表理事: 久田哲史)の支援団体に採択いただいたことは大きなターニングポイントでした。ルールメイキングの専門家チームからの伴走支援を受け、救急業界外の多様な関係者様からも多くのご協力をいただけるようになりました。

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「119番通報で救急車が当たり前に来てくれるウラにはそんな課題があったんだ。知らなかった。」

そんな声をご支援いただく多くの方々からいただいています。

救急業界の内外をつなぐハブとなり、救急現場にソーシャルインパクトを生み出す。

これがOPHISのミッションであり、その使命を全うできる団体としてさらに成長していきたいと考えています。

——さまざまな課題を乗り越え、「持続可能な救急搬送システム」の実現へ——

当初は法的な懸念、市民の安全性への懸念、予算の問題などさまざまな課題がありました。しかし、これらのハードルを一つ一つ乗り越え、社会実装に向けて具体的な見通しが立ちつつあります。

このシステムは決して夢物語ではなく、関係機関の知見や力を結集することで実現可能だと確信しています。

お力添えや応援をいただいている皆様のご期待に応えるべく、今後も引き続き「持続可能な救急搬送システムの構築」に全力で取り組んでまいります。

<代表者プロフィール>

匂坂 量 Ryo Sagisaka

博士(救急救命学), 救急救命士

国士舘大学防災•救急救助総合研究所 講師

東京都出身。2013年に救急救命士国家資格を取得。2018年、国士舘大学大学院救急システム研究科博士課程修了。国士舘大学大学院助手および三次医療機関(救命センター)、二次医療機関における非常勤救急救命士を経て、2019年より中央大学理工学部助教に就任後、2024年4月より現職。

病院前救急医療、疫学、心理学、行動科学、教育学、VRといった多様な分野の知見を用いた複合的な研究アプローチを強みとし、救急医療の業界発展に資する研究を多数手掛ける。2024年 Forbes JAPAN「NEXT100 100通りの世界を救う希望」に選出。

一般社団法人OPHIS

〒156-0043 東京都世田谷区松原3-27-10

担当: 前原

TEL: 090-1659-1864

mail: info@ophis-ems.org

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・団体HP: https://ophis-ems.org

・サポーター募集: https://syncable.biz/associate/ophis


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