「消防応援団」蝶野正洋が訴える地域防災の重要性

8月29日(木)6時14分 JBpress

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。生田新道・東急ハンズあたり(出所:Wikipedia、撮影:松岡明芳)

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 日本は災害大国と言われるほど、地震をはじめ様々な自然災害が多い国。阪神・淡路大震災では、自分で自分の命を助ける「自助」や「共助」「公助」のそれぞれの役割が注目を集めた。一方ではそんな災害時、どこの現場でも地元の消防団が「ファーストレスポンダー(初動救援者)」として現場に駆け付け、最前線で活動している。消防団は地域防災の中核を担う存在であり、「共助」活動の要といわれる。

『防災減災119』(加藤孝一監修、主婦の友インフォス発行)は、そんな命を守るプロから、災害時に自分たちの命を守る術を学ぶ119の防災減災マニュアル集だ。本書の企画・発案者は、プロレスデビュー35周年の蝶野正洋氏。蝶野氏は消防と我々を結ぶ懸け橋として日本消防協会「消防応援団」を務め、地域防災の講演を多く開催し、防災の啓蒙に幅広く貢献。また、AED普及のため「AED大使」(日本AED財団)としても活動している。

 今回から3回にわたって、本書『防災減災119』の内容を抜粋・再編集し、防災減災に必要な考え方と、地震・火災・風水害時の「防災減災」実践マニュアルをお届けする。

 まずは、蝶野正洋氏と、東京消防庁OBで防災アドバイザーの加藤孝一氏との対談から紹介する。災害時に少しでも被害を減らすために必要なこととは。(JBpress)

企画・発案:蝶野正洋
監修:加藤孝一
発行:主婦の友インフォス
発売:主婦の友社

防災減災には「自助」と「地域防災情報」が肝心

蝶野 全国には約84万人の消防団員がいますが、私は少しでも消防団員の方々のためになればと、日本消防協会「消防応援団」の一員として活動しています。そこで、今回は東京消防庁に長年お勤めした加藤さんと消防の観点を中心に防災減災、さらには今、注目の「自助」「共助」「公助」を考えていけたらと思います。

加藤 蝶野さんがおっしゃるとおり、被害を少しでも抑えるために、まずは自分で自分の命を助ける「自助」が非常に大切です。

蝶野 そうですよね。そして、各市区町村による被災は自宅でとは限らず、職場や通勤途中、初めて行った外出先など、さまざまな場所が考えられるため、各市区町村によるハザードマップなど、地域の防災情報が重要になってきます。その地域で予想される災害や避難関係の情報があれば、正しい行動を取れると思うんです。

加藤 地域の防災情報は重要です。また、その土地のことは、地元の「消防団員」に聞いてみるのもいいですね。長年、その土地で暮らしてきた方々ですから、その地域に愛着もあり、過去の災害などもよく知っていると思います。

筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。36年間、東京消防庁に勤務。海外研修生としてドイツや英国の消防機関に派遣。予防行政や地域防災を担当。在職中、早稲田大学の非常勤講師を兼職。現在は東京ビルメンテナンス協会委員兼講師、防災士。
蝶野 正洋氏(右)

消防団は災害時、「共助」活動の中核です

蝶野 日本は災害大国といわれるほど、地震をはじめ、さまざまな自然災害の多い国ですが、どこの現場でも地元の消防団の方が献身的な活動をしていますよね。

加藤 そのとおりです。消防団員も消防官も人々の生命財産を守るために災害の最前線で活動をする「ファーストレスポンダー(初動救援者)」ですね。ちなみに1995年1月の阪神・淡路大震災では「自助」「共助」「公助」、それぞれの役割が注目されるようになりましたが、消防団は地域防災の中核を担うボランティアで、共助と公助の両軸を結ぶ大きな力だと思います。私もかつて消防隊員、隊長、副署長などとして、災害現場などでは消防団員の方々とともに連携活動をしてきました。どこの災害現場でも、「共助」活動の中核あるいはリーダーを務めているのは地元の消防団員。献身的な活動には本当に頭が下がります。

(対談は次回に続きます)


防災減災・実践マニュアル(地震編)

【セレクト1】キッチンで夕食を料理中に大きな揺れが!

 夜7時、キッチンで夕食を作っているA子。「今日はみんなが好きなカレーよ」とうれしそうにガスコンロでチキンカレーをグツグツと煮込んでいます。そんな時、大地震が発生!

 揺れている最中、頭に浮かんだのは「とにかく、火を消さなきゃ!! 火事になったら大変!」ということ。そんなA子の近くでは食器棚や冷蔵庫が転倒寸前。窓ガラスにはヒビが入り、食器棚からは食器が勢いよく飛び出して、床に散乱しています。こんな時はやっぱり、何が何でも火を消して、それから避難するのが正解?

⇒ A. テーブルの下へ潜る!

揺れの最中は頭を守ることが先決

 まずはダイニングテーブルの下に潜り、頭を守って。テーブルがなければ、落下物や倒れた冷蔵庫などから離れます。揺れが収まった後に火の始末をし、出口の確保。いつでも避難できるよう、玄関のドアや部屋の窓を開けます。その際は飛散した食器やガラスで足をケガしないように、底の厚いスリッパを履きましょう。

震度5以上の地震ならガスは自動的に止まる!

 1980年代以降は、マイコンメーター(ガス遮断装置付きガスメーター)の普及により、震度5程度以上でガスは自動的に止まります。だから、慌てて火を止めに行くより、身の安全を。

【セレクト2】地震後散乱した部屋を見て避難すべきか悩む

 揺れが収まった後、散乱した食器やヒビの入った窓ガラスや壊れた電化製品を目の当たりにし、とっさに頭に浮かんだことは「避難すべきか?」ということ。夫が不在のなか、小さい子どもと愛犬、さらには持ち出し用の非常袋を持って、避難所へ行くのも容易ではなさそう・・・と悩むA子。とはいえ、避難所で集団生活した方が何かと安心できそうだし、救援物資ももらえそうと考え中。そもそも、避難所に行くか、自宅に残るかはいつどう判断するのがいいの? みんなはどうやって決めている?

⇒ A. 在宅避難がベター

住み慣れた家での在宅避難がよいことも

 避難所へ行くかどうかの判断は揺れが収まったあと、周りの様子と家の被害状況が決め手になります。例えば、土砂崩れや津波、液状化などの危険性があれば、すぐにでも避難所へ行く必要がありますし、家が倒壊して中に入れない場合もしかり。ただし、ライフラインは止まっても、家の中を多少片づけた後に住めるようなら、在宅避難を選択した方がベター。避難所生活で不眠や体調不良、感染症、セクハラ、盗難などのトラブルに遭って疲弊するより、よほどいいケースも。避難所が全てではない! と知っておきましょう。

◎第2回は明日(8月30日)公開します。

筆者:蝶野 正洋、加藤 孝一

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