「う〜ん、マンダム」CMを演出した大林宣彦監督が明かす裏話

9月7日(金)16時0分 NEWSポストセブン

乗馬はお手のものかと思いきや…(時事通信フォト)

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 白馬に乗ったチャールズ・ブロンソンが荒野を駆け、水を頭から浴び、顎を撫でて「う〜ん、マンダム」──。昨年90周年を迎えたマンダム社の、1970年代に一世を風靡したCMだ。CMソングは130万枚の売り上げを記録し、店頭に貼られたポスターは次々と持ち去られた。CMを制作した西谷尚雄氏(当時大阪電通)が、ブロンソン起用のいきさつを語る。


「周りからは『ハリウッド俳優なんて使えるわけがない』と呆れられましたが、ビートルズの来日を実現させたプロモーターの永島達司さんを通してオファーを送ると、『ブロンソン映画の宣伝に好都合』と破格に安い出演料3万ドル(約1000万円)で承諾してくれたのです」


 当時、ブロンソンとアラン・ドロンが共演した映画『さらば友よ』が日本でもヒットしていたが、2人の知名度の差は歴然だった。「男性化粧品のCMなら美男のドロン」に傾いていたマンダムの西村彦次社長が、最終的にブロンソンを指名したのは、西谷氏と演出を担当した映画監督・大林宣彦氏の熱意だった。


 渡米して撮影に入ると、ブロンソンは大林監督に「僕の人生初の単独主演作品。何でも一所懸命やるから」と握手を求めてきた。


「西部劇の聖地として知られるモニュメントバレーでの撮影を提案すると、『僕にも憧れの場所だが、家族も一緒で良い?』と。結婚したばかりのジル・アイアランドと前妻の子どもたちを呼んで、総勢20人のロケに(笑い)。強面なイメージですが、愛妻家で家族思いなんですよ」(大林監督)



 ロケ地でブロンソンは、意外な一面を見せたという。ハリウッド俳優は危険を避けるため吹き替えが基本だったからか、馬に乗れず、拳銃の使い方もお世辞にも上手とは言えなかった。「私の方がよほど上手」(大林監督)だったという。


 さらに、CMラストの「う〜ん、マンダム」と呟きながら髭を触る演出にも、意外な裏話があった。


「演出プランにあったわけじゃないんです。撮影スタジオの控え室で、生やしはじめた髭を気にして手で撫でていた彼の仕草を見て閃いた。『僕は演技者です。これは演技じゃないけど』と戸惑っていましたけどね(笑い)。普段の仕草が、彼の人柄で愛されたのですね」(大林監督)


 一世を風靡した映像は、こうして才気溢れる気鋭のクリエーターとハリウッドスターの出会いによって誕生した。


※週刊ポスト2018年9月14日号

NEWSポストセブン

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