JR西日本がついに宇宙へ、人工衛星に活用期待の「意外な技術」とは?
2024年9月11日(水)6時0分 ダイヤモンドオンライン
横浜衛星管制センターの通信用アンテナ(筆者撮影)
9月12日は、毛利衛宇宙飛行士が1992年にスペースシャトル「エンデバー」で宇宙に飛び立った日付にちなんで「宇宙の日」と定められている。そんな記念日を間近に控えた8月27日、JR西日本の広報担当者に誘われて横浜市緑区のスカパーJSAT「横浜衛星管制センター」に赴いた。JR西日本はこれまでも、サバの養殖、家具の製造販売など、鉄道以外にもさまざまな事業に取り組んできたが、ついに宇宙分野に参入するという。果たしてどのような事業なのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
JAXA、スカパーJSATを加えた3社で共同実証活動を開始
本連載でたびたび取り上げてきたJR西日本の新規事業の取り組み。サバの養殖から家具の製造販売、米子の下水処理場管理業務受託まで、鉄道事業者の枠組みを超えたさまざまな事業を紹介してきたが、なんと次は宇宙だという。次はどんな業界と手を結ぶのだろうかと思っていたが、さすがに宇宙とは驚いた。
この壮大な計画が動き出したのは2022年10月。JR西日本と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が機械故障予測AI技術について、人工衛星などの宇宙分野への適用を目指し事業コンセプト共創活動に着手したことに始まる。そして2024年5月、実運用への適用に向けてアジア最大の衛星通信事業者であるスカパーJSAT株式会社を加えた3社での事業共同実証活動が始まったのである。
JAXAは政府全体の宇宙開発利用を基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して担う中核的実施機関であり、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団(NASDA)の統合で2003年に誕生した。ちなみにNASDAの初代理事長は東海道新幹線開業の生みの親こと元国鉄技師長の島秀雄、最後の理事長及びJAXA最初の理事長はJR東日本元会長の山之内秀一郎氏が務めており、何かと鉄道と縁のある組織でもある。