【砂糖は、常に世界史を動かしてきた!】人々を魅了しつつ、人類や環境にとって両刃の剣でもある砂糖の歴史を最も完全に描いた決定版。『砂糖と人類 2000年全史』、9月12日発売。
2024年9月12日(木)10時46分 PR TIMES
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株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、『砂糖と人類 2000年全史』(ウルベ・ボスマ著、吉嶺英美訳)を、2024年9月12日に発売します。
本書は、砂糖の歴史を紐解きながら、砂糖に関する製造技術、食品業界、健康産業、医療などあらゆるテーマを網羅的に取り上げ、世界的な視点で俯瞰的にまとめた画期的な書籍です。
砂糖は、人類の歴史にも大きな影響を与えてきました。本書は、砂糖そのものの歴史や製糖技術の発展史から、政治に与えた影響、プランテーションが産んだ砂糖ブルジョワジー、製糖業社が支配する強力な砂糖資本主義といった点からも歴史を追って行きます。またその裏にある人間の搾取、人種差別、肥満、環境破壊といった負の側面も明らかにして行きます。
誰もが知り、好み、毎日何らかで摂取している甘い食品・砂糖。その歴史をたどっていくことで、地球的規模の驚くべき物語を味わってください。
■砂糖は世界史を映し出す!
2000年以上にわたる砂糖の歴史は、北インドで始まりました。粒状の砂糖であるグラニュー糖の歴史は最大で2500年程度、白い結晶糖の歴史はさらに短く約1500年です。当初、権力と富の象徴であり贅沢品とされた砂糖は、貴族の宴会や儀式に使用されるか、薬に使用されていました。その後、世界中に広がりつつ製糖技術が発達し、砂糖が世界中の料理に使われるようになってから約700年が経ちました。今や砂糖を含まない加工食品はほとんどないほど、多くの料理や飲料に使用されています。
砂糖の原料の一つであるサトウキビは高温多湿の気候で育つため、長い間欧州は育てることが困難でした。インドを起点に東アジア、東南アジアへ、あるいは中東からエジプト・地中海沿岸へ砂糖の生産技術は伝播して行きました。なかでも品質の良い砂糖はアジアで生産され、陸路や海を渡って、欧州市場に流れていました。
大航海時代以降、世界各地の植民地や新大陸では欧州資本によって砂糖が増産されて行きました。大規模な砂糖プランテーションを開発し、そこでは奴隷制や強制労働が取り入れられました。タバコや綿花、コーヒーよりも砂糖のプランテーションが最も過酷で危険だったと言われており、18世紀末には労働者の年間死亡率が4〜6%もありました。産業の振興にもつながりましたが、資本家と労働者の富の格差を拡大させ、一方では巨大企業の誕生を、一方では搾取による貧困の助長を促しました。また、砂糖貿易や関税に対しては各国の国策や世界事情も絡み、国家間の対立や紛争の原因となることもありました。
現在、拡大するグローバル資本主義と強大化する国家が組み合わさったことで、砂糖は過剰に生産され人為的に安価な商品となり、工業生産される食品や飲料に大量に使用されています。その結果、大規模な砂糖プランテーションによって甚大な環境破壊がもたらされています。また、私たち人間にとって砂糖の過剰摂取は、体の代謝が追いつかないため、肥満、糖尿病の発症率を驚くべき速さで上昇させています。そして1999年には、世界保健機関は「肥満」に対するパンデミック宣言を発表しました。
このように私たち人間にとって砂糖は、文明や文化とは切っても切れない関係にあり、産業や国家の発展、現代のグローバル世界の構築にも大きく貢献してきた奇跡の食品です。一方で負の側面、地球や人間への悪影響や重大な人権的問題ももたらしています。長い人類史から見れば砂糖は比較的最近誕生したものであって、人間はそれをコントロールする術を持っていません。
砂糖の歴史には、世界史の明暗が色濃く映し出されています。
■目次より
はじめに
第1章 アジアの砂糖の世界
インド──ここですべてが始まった……/中国の砂糖と貿易/東南アジアにおける中国の砂糖/アジアの砂糖は海を渡る
第2章 西へ向かう砂糖
地中海の残光/医薬品からごちそうへ/ヨーロッパの都市と産業における砂糖
第3章 戦争と奴隷制
ヨーロッパの砂糖独占を狙うオランダ/イギリスとフランス、それぞれの砂糖革命/奴隷たち/農園主たち/砂糖から得たヨーロッパの利益/サン=ドマング、イギリス領インド、そして奴隷貿易の禁止
第4章 科学と蒸気
科学と熱帯農業/植物学/学術団体と経済団体/蒸気機関の到来/甜菜糖
第5章 国家と産業
真空釜/サン=シモン主義と奴隷制廃止論/中間技術/工場、技術者、資本家/プランテーションの資金調達/新しい砂糖資本主義と古い君主制
第6章 なくならない奴隷制度
アメリオレーションと抵抗/アメリオレーションから奴隷制廃止へ/インドの砂糖、工業生産の急成長と破綻/世界中で砂糖を探すイギリス/奴隷制は続く──キューバ、ブラジル、ルイジアナ/砂糖農園の年季奉公労働者/ジャワの強制栽培システム(1830〜70)/ジャワの農業のインボリューション/工業化と強制労働
第7章 危機と奇跡のサトウキビ
集約とカルテル化/植民地における砂糖ブルジョワジーの復活/アジア向けのジャワ島産砂糖/世界に広がるサトウキビと病害/奇跡のサトウキビPOJ2878
第8章 世界の砂糖、国のアイデンティティ
砂糖と共和主義/ルイジアナ──プランテーションの再建/文化的素養と白人性/ラテンアメリカでしぶとく残る農民の砂糖/インドの農民がつくる砂糖の進化
第9章 アメリカの砂糖王国
トラスト/ソルガムのブーム/甜菜糖/トラスト、アメリカの金融界、そしてマヌエル・リオンダ/カリブ海地域での征服/国内のサトウキビ・フロンティアになったフロリダ
第10章 強まる保護主義
ブリュッセル条約(1902年)/砂糖大手の衝突/関税の壁に隠れた砂糖/イギリス帝国の砂糖政策
第11章 プロレタリアート
アメリカとドイツの甜菜畑における人種差別/ハワイとカリフォルニアの労働者による抵抗運動/共産主義と労働者の国際的連帯/開発経済学の誕生
第12章 脱植民地化の失敗
植民地主義を超えた砂糖──生産者組合/英連邦砂糖協定の勝者と敗者/残された二つの砂糖帝国/異性化糖とその影響
第13章 企業の砂糖
サトウキビの刈り取り作業者の苦境/砂糖ブルジョワジーの終焉?/くびきから放たれた巨大製糖企業/全体主義的資本主義、それとも緑の資本主義?
第14章 自然より甘い
バンティング・ダイエットは、どうやって葬られたのか/食品規格と大量消費/肥満との戦い/砂糖摂取の指針/企業の甘味料ビジネス
*1000項目を超える膨大な索引付き
■著者紹介
ウルベ・ボスマ(Ulbe Bosma)
1995年、オランダのライデン大学で歴史学博士号を取得。社会史国際研究所(IISH)の上級研究員であると同時に、アムステルダム自由大学で「国際比較社会史」の教授として教鞭をとっており、パリの社会科学高等研究院(EHESS)の客員教授でもある。専門は労働と商品生産の歴史、とりわけ砂糖と国際労働力移動。『The Making of a Periphery』、『The Sugar Plantation in India and Indonesia』など、開発経済やインドおよびインドネシアの砂糖プランテーションについての著作もある。
■訳者紹介
吉嶺英美(よしみね・ひでみ)
翻訳家。サンノゼ州立大学社会学部歴史学科卒業。訳書に、J・マレシック『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』、R・ダンバー『なぜ私たちは 友だちをつくるのか』、J・ピアス/M・ベコフ『犬だけの世界──人類がいなくなった後の犬の生活』、S・メイ『 「かわいい」の世界──ザ・パワー・オブ・キュート』、 R・ホートン『なぜ新型コロナを止められなかったのか』など多数。
■書誌情報
書名:砂糖と人類
副題:2000年全史
著者:ウルベ・ボスマ
訳者:吉嶺英美
仕様:四六判/上製/520ページ
発売日:2024年9月12日
税込定価:4,290円(本体3,900円)
ISBN:978-4-309-22931-7
装丁:岩瀬聡
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229317/
出版社:河出書房新社
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